Admission

お知らせ

令和2年度前期学位記授与式行う

  • Facebookでシェア
  • Xでシェア
  • LINEでシェア

前期学位記授与式が9月15日板橋校舎多目的ホールで行われ、64人が学部を卒業、ならびに博士課程前期課程・後期課程を修了した。

学位記授与者の詳細は以下のとおり。

法学研究科 博士課程後期課程政治学専攻1人
外国語学研究科 博士課程後期課程日本言語文化学専攻1人
経済学研究科 博士課程前期課程経済学専攻1人

外国語学研究科 博士課程前期課程日本言語文化学専攻2人
文学部 日本文学科1人、英米文学科2人、教育学科3人
経済学部 社会経済学科8人、現代経済学科9人
外国語学部 中国語学科7人、英語学科2人
法学部 法律学科3人、政治学科7人
国際関係学部 国際関係学科3人
経営学部 経営学科9人
環境創造学部 環境創造学科4人
スポーツ・健康科学部 健康科学科1人

学長告辞・内藤二郎学長

2020年度前期で学部を卒業される皆さん、ご卒業おめでとうございます。また、大学院を修了し、学位を取得された皆さん、誠におめでとうございます。併せて、御父母、ご家族、関係者の皆様にも、心よりお祝いを申し上げます。

 

卒業・修了の日を迎えるにあたって、改めて本学での日々を振り返っておられることと思います。楽しい思い出もたくさんあるでしょう。一方で、苦しかったこと、辛かったことも少なからずおありでしょう。特に今年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、これまでに例をみない非常事態に直面し、授業その他の大学生活は大混乱しました。授業もオンラインというほとんど経験したことのない形式で行って参りました。学部卒業、大学院修了を目指しておられた皆さんは、様々な負担や不便があるなかで、不安を抱えて大変だったのではないかと推察致します。そのなかで、困難、苦労を乗り越えて本日の日を迎えられたことは、きっと皆さんの自信になったことでしょう。また、色々と思い、悩み、考える中で得るもの、発見も多かったのではないでしょうか。この経験をどうぞ大事にしてください。

 

世界に目を転じれば、グローバリゼーションの課題や弊害が徐々に露呈しており、資本主義の行き詰まりや限界、終焉とまで言われるようになり、世界中で保護主義的な動きが強まって、ギクシャクした状況が続いています。格差や地球環境問題も深刻化しています。こうした問題が今回のコロナウイルス感染症の世界規模での拡大によって、一気に炙り出された、という感じも致します。世界は大きな変化の渦の中にあり、先が見通せず不安が広がっているともいえるでしょう。
このような状況もあり、私はしばしば「共生」という話をします。皆さんもお聞きになったことがおありだと思います。これには二つの視点があります。一つは人間と自然とのかかわりにおいて、そしてもう一つは人間同士の関係においてです。経済、社会が発展し便利になり人間が豊かな生活が送れる一方で、激しい気候変動、地震や台風などの大規模な災害が頻繁に起こり、地球の存亡が危ぶまれる時代になっています。人間と自然との共生がうまくいっていない、失敗しかかっているとも言えるでしょう。人間同士はどうでしょうか。令和の時代に入った今でも、世界では紛争や争いごとが絶えず、また貧困や飢餓の問題も解決されず、それどころか益々深刻化しています。今、世界はまさにこのことを問われているのではないでしょうか。人間が、人間の都合で行ってきたことで、皮肉にも人間自体が危機に直面しているのです。いずれ人間社会が持続不可能になってしまうでしょう。今こそ、真の「共生社会」を真剣に考え行動しなければいけません。特に若い皆さん方にはこのことをしっかりと認識し、実感していただきたいと強く思います。卒業後、色々な仕事、また活動をされるでしょう。自分のやりたいこと、やらなければならないことが多々あると思いますが、仕事や社会での活動など様々な場面でも常に「共生」の重要性を心に留め、それぞれの立場で自分にできること、世の中に貢献できることを探し、実践していただきたいと強く願っています。

 

ご存知のとおり、大東文化大学は2023年に創立100周年を迎えます。皆さんは、長い歴史と伝統のある大学、大東文化大学の卒業生です。どうぞそのことに誇り、プライドを持ち、同時に大学の良き理解者、応援者になっていただければ大変うれしいです。まだ実感はないでしょうが、皆さんが社会で色々と経験され、20年、30年という時間を経た頃に、母校というのがこの上なく懐かしく、また共に青春時代を過ごした仲間が懐かしく思い出されるようになることでしょう。是非末永く母校に思いを寄せていただければと思います。

 

大東文化大学の理念に「アジアから世界へ―多文化共生を目指す新しい価値の不断の創造」があります。また、100周年を機に、「文化で社会をつなぐ大学」というミッション、そして「真ん中に文化がある」というタグラインも策定しました。これらは、「共生社会で違いを認め、尊重する」ということだと考えています。国や民族の違い、言葉や文化、宗教の違いもありますし、また同じ国や地域であっても生まれ育った環境、ジェンダー、年齢の違いなどもあるでしょう。大切なことは、それぞれの違いを認め、尊重し合い、共に生きるということです。特に大東文化大学の一員である我々は、違いを受け入れると同時に、「寛容さ」を大切にする心をもたねばならないとも思っています。是非この思いを皆さんと共有できればと思います。

 

社会へ出ると、さらに多くの、そして多様な場面に遭遇します。むしろ厳しい状況の方が多いかも分かりません。でも人生には本当に色々なことが起こります。色々な波があり、山あり谷あり…です。そこで一喜一憂することなく、自分自身を上手に律する、ということが大切となる場面が多々あります。色々な状況に直面した時に、やはり大切なのは心の持ちようではないでしょうか。人にはそれぞれ性格があります。細かいことがあまり気にならない人、逆に色々と気になって思い悩む人、明朗快活な人、大人しい人等々…。もちろん性格やものの考え方は人それぞれですが、一つ言えることは、色々な問題に直面した時、心の持ちようで随分変わるものだ、ということです。そして、心の持ちようを整えるのはもって生まれもった性格にも関係あるようですが、それ以上にむしろ訓練だといいます。是非「心の持ちよう」を整える訓練をしてください。訓練といっても大げさなことではないと思います。折にふれて心掛ける、「今の考え方は良くないな」と感じたら改める、「よし、少し前向きに考えてみよう」と意識する、といったことの地道な繰り返しでしょう。また順調にいっている時には、逆に少し謙虚になる、腹八分目=足るを知る、勝って兜の緒を締めよ、といったところでしょうか。と、こういうお話をしながら、実はこのことを今、私は自分自身にも言い聞かせています。道はそれぞれですが、是非一緒に頑張っていきましょう。

 

厳しい時こそ、平常心を保つことが何よりも大切です。よりによって、大学院、大学を卒業する時に何でまたこんな非常事態が起こるんだろう、という不安ややり切れない思いもあるでしょう。でもこれは我々が試されているのではないか、と感じることもあります。決して諦めることなく、進んでいきましょう。

 

皆さんの人生はこれからです。私としては少し残念なのですが、私と皆さんの違い、私が皆さんにかなわないことが多々あります。特に、若さ、吸収力、エネルギー、これは皆さんには到底かないません。さらに何よりも、皆さんには多くの時間、そして未来があります。困難な状況ばかりがクローズアップされがちですが、厳しい時は必ずいつか終わります。これからの長い人生、是非明るい未来を夢見て、そして具体的にイメージしてください。そして少しずつでいい、一歩一歩前進してください。仮に今の状況に満足できなくても、とにかく健康に気を付けて過ごしてください。健康であれば、いつか必ず好機は巡ってきます。私はそう信じています。皆さんの成長、発展を心からお祈りしています。改めまして、本日は誠におめでとうございます。