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スポーツ・健康科学部
2013年02月15日

「体育・スポーツ史」「スポーツ社会学」(春日芳美先生)

開講される学科:スポーツ科学科

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「体育・スポーツ史」「スポーツ社会学」は、どのような授業ですか?

 「体育・スポーツ史」は2年の前期、「スポーツ社会学」は同じく2年の後期に開講されている授業になります。「体育・スポーツ史」は、その名の通り“歴史”という名目で、古代ギリシャ時代から第二次世界大戦後まで、約3000年間の体育・スポーツの歴史をざっと辿るという内容です。基礎の授業ということで、どこかの時代に特化して深く掘り下げることはせず、あえて広く、色々なことを知ってもらう構成をとっています。例えば、古代では古代オリンピックがどのような意味合いで行われていたのか、近代オリンピックと何が違うのかということを取り上げて説明します。今、行われている近代オリンピックは、1896年からはじまったもので、当時、ヨーロッパで起きていた古代ヨーロッパブームに乗じて、その昔、アテネで行われていたオリンピックを復活させようと起こったいくつかのイベントのうちのひとつです。ただ、古代オリンピックは、現代のオリンピックのような平和を目的としたスポーツの祭典ではなく、ギリシャを中心としたヘレニズム文化圏の宗教行事でしたから、内容や目的は随分違っています。古代では、男性がスタディオン(スタジアム)で競走したり、レスリングや総合格闘技などをしたりと、種目も今とはかなり違っていました。
 それから、学生が特に驚く話としては、サッカーやフットボールの歴史です。中世ヨーロッパのフットボールは、ボールを足で蹴るのではなく、手で扱うスポーツでした。地域によりますが、街の男たちが川を挟んで2チームに分かれ、一日がかりでボールを取り合います。2kmほど離れた街の外れにゴールが設定されていて、どちらかのゴールにボールを運び入れた方が勝ちということ以外、ルールはありません。ですから殴るなどの暴力行為が起きるといった問題にも発展しました。また、参加人数もまちまちで、見ていた人の近くにボールが来たからと、突然その人が参加することも許されていました。今でもイギリスのとある地域には、このような中世の古いフットボールの形が残っていて、その映像を授業で学生に見せたところ、かなり驚いていましたね。こんなふうに授業では、できるだけ学生が意外に思ってくれるようなものを扱うようにしています。

「スポーツ社会学」では、どういう内容を扱うのですか?

 スポーツ社会学は、社会学を親学問としていて、スポーツを通して社会問題やスポーツと社会の関わり、あるいはスポーツの現状を見ていく学問になります。専門的な授業をする場合、研究の方法論や社会学とはどういうものかということを説明する方が丁寧ですが、それだけでは学生がイメージしにくいと思うので、毎回、事例を挙げて教えるようにしています。例えば「スポーツと日本文化」というテーマのときは、スポーツと日本人にはどういう関係があるのかとか、スポーツと関連した日本人論などの研究を紹介したうえで、事例として日本で発祥したスポーツや日本独特のスポーツについて説明しています。先日の授業では、日本発祥のスポーツである駅伝を取り上げました。学生たちが興味を持っている箱根駅伝の話などです。それから駅伝とメディアの関わりについても取り上げます。ロードレースのような長距離を移動するスポーツは、メディアを通じて見なければ、私たちはその全容を把握できません。そのとき、メディアがどういうふうに、ドラマティックにそのスポーツを描き出しているのかといったことを考えていきます。この「スポーツとメディア」に関しては、1テーマとして別に時間を設けていて、メディアとスポーツの関わりの深さをきちんと学生に理解してもらうようにしています。そのときは、スポーツのルール変更とメディアの関連やメディアを通して競技を見るときの問題点などを扱います。例えば、私たちはゴールデンタイムにライブ中継で、サッカーなどの試合を見ることができますが、選手にとって夜7時や8時のキックオフはどうなのか。それはメディアの都合で決められた試合開始時間であって、選手にとっては必ずしも良い状況とは言えないという問題提起をすることもあります。本学科の学生は、スポーツに関わっている人が多いので、こういう問題に対してアンケートで色々な意見を書いてくれるのですが、私が考えたこともないような意見や質問を出してくれる学生がいて、こんな考え方もあるのかと、私自身、勉強になることが少なくありません。

では、授業で何か工夫していることはありますか?

 できるだけノートを取ることに必死にならないように、パワーポイントを使って、書き写すべき要点がわかるようにしています。また、「体育・スポーツ史」では、とりわけ多くの画像を使って、視覚的にイメージをつかめるようにしています。画像が残っていない古代に関しては、発掘された土器に描かれた絵を見せることもありますよ。また、学生たちは朝練などもあって、座学で単に話だけを聞くスタイルでは眠くなってしまうので、動画を見せたり、何かしら作業をしたりしてもらっています。それから「体育・スポーツ史」「スポーツ社会学」どちらの授業でも、毎回、授業終わりに、その日学んだ中から問題を出して、翌週の授業内でごく短いレポートで回答してもらうようにしています。次の授業では最初の10分ほどで、前回の授業のおさらいと出題の回答をし、反復することで学んだことを忘れないよう工夫しています。また、短いレポート課題は、学生にとって“書く”トレーニングにもなっているので、半年も続ければ、かなり文章を書く力が付いてきます。

最後に授業を通して、どんなことを身につけてほしいとお考えですか?

 受講する学生は、スポーツ科学科の学生なので、基本的にスポーツに肯定的な意見を持っています。ですから「スポーツは素晴らしい」という前提で何事にも取り組むのですが、私が授業で意識的に行っているのは、そういうスポーツ好きの人に「え?」と思わせることです。例えば、「スポーツは教育的だと言われているけれど、本当に教育的なのだろうか」とか、最近扱ったものでは「果たしてドーピングは本当に悪いことなのか。ドーピングを解禁するという方法もあるのではないか」というものです。このように学生の考えとは逆の方向から意見を出すことで、学生にスポーツのあり方や考え方にも色々な意見があることを理解してもらいたいと思っています。そういう多様な意見があることを理解したうえで、「スポーツが好きだ」と主張してほしいんです。現代におけるスポーツは、必ずしも良い面ばかりではないということを受け入れ、その上で自分の意見を言ってほしい。体育・スポーツの歴史を知る意義も同様です。今、当たり前だと思っていることが、スポーツの場合は2、30年遡っただけで、まったく違っていたりします。当たり前だと思っていることが、そうではない場合もあるのだということを知ってほしいんです。ただ、こんな話ばかりしているので、学生は私をスポーツ嫌いだと思っているかもしれません(笑)。私としては、これまでと違った角度からスポーツを見ることで、スポーツへの理解をより深めてほしいという思いからなんですが。また、スポーツをするうえで何か壁にぶつかったときに、自分を見つめなおす手段として、自分がすごく大事にしているスポーツとは一体何なのか、ということを問えるようになってほしいんですね。それによって壁を越えることができたり、次の一歩が踏み出せたりすれば良いなと思っています。

この内容は大東文化大学メールマガジン2013年2月号において配信した内容です。
そのため、他の授業ゼミ紹介ページと原稿テイストが異なります。

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