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新元号「令和」を揮毫した大先輩が母校・板橋キャンパスを訪れました

2019.08.02 / 16,715PV

新元号「令和」を書いた茂住修身さんは本学の出身。

内閣府大臣官房人事課に勤務し、長嶋茂雄さんや羽生結弦さん達が受賞した国民栄誉賞の賞状や辞令を筆で書く仕事をされている方です。

さらに遡ると「平成」を書いた河東純一さんも本学の卒業生なんですよ!

その茂住さんが母校を訪れたのは6月28日。

「大学の名誉を高めた卒業生に対する表彰」の式典の後、門脇学長、河内副学長を交えた3人で、書道と漢学そして「道」について語っていただきました。

※上の写真左から

門脇学長、茂住さん、河内副学長

思想や精神がベースにあるからこそ 書は「書道」となり、人の心を動かすのです

河内副学長に揮毫いただきました 河内副学長に揮毫いただきました

多くの方に快く受け入れられて嬉しいです

河内副学長(以下、河内):

菁邨(せいそん)の号で書家としても活躍される茂住修身さんが本学の経済学部経済学科を卒業されたのは1980年(昭和55年)です。

 

茂住修身さん(以下、茂住):

大東文化大学に合格した旨を、当時東京の大学の書道部に在籍していた兄に伝えると、「大東(の書道部)はすごいんだよ」と返ってきました。いざ入部すると、じつにレベルが高く、個性豊かな面々ばかり。ある種の驚きとともに、私は自分がめざす道をみつけたと思いました。後に私が師と仰ぐ青山杉雨(さんう)先生の書に出会えたのも大きかったです。

河内:

書道部では部員300名を束ねる幹事長を務められたとのことですが、まさに本学で、茂住さんご自身が書という「道」に出会ったように思いますが、どうでしょう。

 

茂住:

書道のイメージは文系ですが、日々の挨拶など体育会系に近い「礼節」が求められます。ですから今回のテーマである「道」についても自然に身についたのだと思います。現在も「大東文化大学書道卒業生の会」で幹事長を務めていますが、そこに通じているのは礼節であり、道。年齢を重ねるうちにその実感が増しています。

河内:

前回の「平成」を揮毫した河東純一さんも大東文化大学の出身ですから、二つの元号に本学の卒業生が関われたことは大変誇らしく思いますが、

実際に新元号の「令和」を書かれた今の感想をお聞かせください。

茂住:

日々の業務では香りもわからなくなるくらい墨を擦り続けて(笑)、任務を遂行しているので、この度の依頼もその延長線上にあることに変わりはありません。

話がこれほど大きくなるとは想像もしていませんでしたが、多くの方に快く受け入れられたことはとても嬉しく感じております。

漢学を通して見えてくる東洋人としての道

河内:

「令和」の出典が我が国初の国書である『万葉集』ということも大きな話題となりました。

一方、「令」と「和」の二文字が記された序文は漢文で書かれており「結局は中国の古典が元では」という指摘もあります。

 

門脇学長(以下、門脇):

日本の文化は三つの層から形成されている、と私は考えています。一つは日本古来の文化、二つめは4,5世紀に入って来た中国の文化、三つめは明治維新以降に日本に入ってきた西洋の文化です。そして最初の二つの文化は融合して江戸末期まで続きます。そういう意味では、万葉集というのは国書でありながら中国文化の影響も色濃くあるわけです。大東文化大学は日本伝統文化を尊重することを「建学の精神」としている大学ですから、新元号が万葉集から取られたことは我々にとっても大変意義深いことです。

 

河内:

にも関わらず中高での漢文の授業が減っている昨今、漢詩・漢学を学ぶ意義や重要性について門脇学長はどのようにお考えですか。

門脇:

私の専門は中国の古典文学理論ですが、以前中国の北京大学で「詩・書・画・楽(音楽)論」という授業を受けた時に気づかされたことがあります。それは文学論を研究しただけではダメで、これらの分野を一緒に研究し、そしてその底辺にある思想や考え方を会得する必要がある、と。文学でも書道でも技術的な要素は必ずありますが、そこに思想や精神が加わってはじめて本当の文学、真の絵画が生まれるのです。そしてその大切な部分が忘れられがちなのが現代です。

 

茂住:

思想というベース、人としての道があるから今日につながっているという証ですね。今の若い人は入口を知らないだけで関心がないわけではない。三国志などの中国の歴史はコミックやゲームなどで若い世代にも人気ですから、そんなところから興味を持っていただけると良いかもしれません。

書道を学びたい学生は2.4倍に増えています(河内)

河内:

本学では1,2年生を対象に、「論語」「自校史」「英語」「キャリアデザイン」「体育」等の科目を推奨する「DAITO BASIS」という取り組みを行っています。

そこに「書道」を加えたところ、履修を希望する学生が2.4倍に膨れ上がりました。

 

茂住:

それはすごい!書って、良いものですからね(笑)。ボールペンと違い、筆は力の入れ具合をコントロールしないといけません。それが表現する上での面白さにつながる、まさに毛筆ならではの特徴であり魅力です。

 

門脇:

学生に書を学ばせたいと提案したのは、じつはスポーツ・健康科学部の先生なんです。緑の植物を見た時に起こる体内の変化について調べている先生で、書道ではどのような反応が起こるか、と。「書」と「スポーツ」のコラボというのは、まさに大東文化大学ならではの試みといえるでしょう。

河内:

研究ブランディング事業の中で、「書道を科学する」というチームを作りました。

AIには負けないぞ、というライバル心ですが(笑)、これについては次の機会に紹介できればと思います。

茂住さん、門脇学長、河内副学長、ありがとうございました。

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