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創立100周年のメモリアルイヤーに就任。高橋進学長インタビュー

2023.04.24 / 3,920PV

創立100周年を迎える記念すべき年、新たに学長に就任した高橋進学長。

健康科学科の教授として長年、学業だけでなく学生たちの健康とメンタルも支えてきたホスピタリティマインドあふれる高橋学長のメッセージをご覧ください。

創立100周年という記念すべき年に学長に就任されました。就任された時の率直な思いをお聞かせください。

 大東文化大学は1923(大正12)年に、東洋の文化を教授・研究するために創立された歴史ある大学です。「東洋の文化を基盤として西洋の文化を摂取吸収し、東西文化を融合して新しい文化の創造を目指す」ことを建学の精神に掲げ、大学の理念を「アジアから世界へ―多文化共生を目指す新しい価値の不断の創造」として、これまでに10万人を超える卒業生を社会に送り出してきました。
 本学では開学の当初から、ダイバーシティの重要性を高らかにうたってきました。これまで大切に育んだその理念を、時代の潮流に対応しながら守り続けていくことが次の100年に繋がっていくと確信しています。
 100年という歴史の重みにプレッシャーも感じていますが、楽しみにしている部分も多いです。一緒に新しい文化を創造していきましょう。

 

大東文化大学の優れた点、他校と比較して誇れる点はどこにあると思いますか。

 学生たちにアンケートを実施したところ、9割以上の学生が「入学して良かった」と回答していました。この数値は大学生活の満足度を示しているといって差支えないでしょう。
 このアンケート結果は、教員、職員の面倒見の良さに起因すると考えています。書道やスポーツが他校と比較して卓越していることは言うまでもありませんが、学生を思う教職員の心意気こそが本学の本当に素晴らしいところだと自負しています。本学には旧来からそういった雰囲気があり、私自身、職員のみなさんには、とてもお世話になっています。本当に心強い存在です。
 また、教員1人に対して学生12名という規模で、丁寧に教えてくれる大学はとても希少です。すべての学部学科でゼミが必修となっているわけではありませんが、相当数の学生がゼミに所属し卒論に取り組んでいます。先生方が学生に寄り添い、親身になって “あきらめさせない”指導で学生を導いているのも本学の大きな特徴です。私もゼミを持っていたので、2022年から23年の年末年始は卒論の指導でほとんど休みはありませんでした。ただそんな苦労も、卒論発表会で「やった!」と言わんばかりの学生たちの喜びの表情を見ると、すべてが報われます。教員としての技量は、学生といかに学びを共有し、どれだけ分かち合えるかにかかっているのではないでしょうか。
 キャリアセンターで実施しているキャリア教育の充実ぶりからも職員の熱心さや温かさが伝わってきます。そんな教職員たちは本学の誇りです。

 

長年、スポーツ・健康科学部 健康科学科で教鞭を取ってきた経験を、学長としてどのように活かしたいですか。

 スポーツ・健康科学部 健康科学科は、その名の通り、健康を科学する学科です。何かを始めることができるのは健康だからこそ。健康といっても身体や心のことだけではありません。経済的にも社会的にもすべてが健康であることが、真に健康な状態です。ひとりでも多くの学生、教職員がその状態に近づけるよう心血を注ぎ、「健康経営」の実現に向け努力したいと考えています。

大東文化大学の学生の特徴を教えてください。また、学長として、学生にどんなことを望みますか。

 外から見るイメージとは少し違うかもしれませんが、「優しい」「穏やか」「マイルド」──、そんな気質を有しています。かといって、優柔不断というわけではありません。しっかりと芯があり、社会で活躍している卒業生がたくさんいます。
 一方で、学生たちには、「もう少し自己主張をしても問題ない」と伝えたいですね。遠慮しているわけではないとは思うのですが、多様性が求められる現代社会を生きていく上で、自分を知ってもらうための表現力は不可欠です。素直で穏やかな本学の学生に、こういったスパイスがプラスされれば完璧です。“You are OK”あなたたちは大丈夫です。もっと自分に自信を持ってください。

 

次の100年に向け、大東文化大学をどのように進化させていきたいですか。

「国際交流」の面からの進化

 本学では、世界中の人や文化が国境を越えて交差する大学でありたいという願いのもと、国際交流センターを中心に「国際交流」に力を注いでいます。

 現在、27の国や地域の109の大学と連携・提携し、また、アジアを中心に70を超える世界の大学、研究機関と交流協定を結んでいます。多くの留学生を受け入れるとともに様々な留学制度を設け、学生の海外留学を支援しています。

 国際交流センターのホームページに「異文化との出会いには多くの感動と学びがあります」と記載しているように、本学では学内にいながら、多種多彩の異文化交流を図ることができます。これはすべての学生に感動を引き起こす可能性を有しているということであり、本学の大きな強みです。さらなるダイバーシティの醸成に向けて、大東文化大学はよりグローバルに発展していきます。
 時流は常に変化しており、「国際交流」は新しいフェーズに入りましたが、今後、以下の2点を推進していこうと考えています。まず、これは他大学も行っていることだとは思いますが、コロナ禍で影響を受けた国際交流の基盤を再構築することが急務だと考えています。そして、外国人留学生を受け入れる門戸をより広く長く開けておくことを意識しています。

 

「スポーツ」の面からの進化

 「駅伝の大東」「ラグビーの大東」と言われているように、陸上競技部やラグビー部は「スポーツの大東」を体現する華々しい活躍をしています。また、近年では、男子駅伝をはじめ、女子駅伝、バスケットボール、テコンドー、スケート、スキー、弓道なども「スポーツの大東」に相応しい躍進を見せています。
 しかしながら、「強い大東文化大学」を目指すことだけがスポーツの良さではないとも考えています。強いことは、もちろん素晴らしいことです。しかし、強さがすべてではありません。
 現在、全体の1割を超える1,400人もの学生が体育会系のクラブに所属しています。その大半はスポーツ推薦で入ってきた学生ではありません。経験の差異、競技力の差異を凌駕して、目標に向かって部員一同練習に打ち込める環境──。これも「ダイバーシティ」と言えるのではないでしょうか。
 スポーツが果たす教育的意義の大きさについては、ここで論じるまでもありません。共同と努力、相互理解と相助相譲の気持ちが育まれてこそ、本当の意味での大学スポーツであると私は考えます。そして、それらを実現するためには、スポーツコンプライアンスの遵守のもとに自立した選手として努力を重ねることが肝要です。そういった意味においても、大東文化大学のスポーツは、現代のスポーツの理想を具現化できるよう進化し続けなくてはならないのです。

 

「教育学上のシステム」での進化

 大学は旧来から学問の学び舎であり、今も変わらずその役割を担っています。しかしながら、時代はこれまでの「教職員がいて学生がいる」という構図から、「教職学協働」という考え方へと大きく動いています。
 この変化により、これまで以上に、学生に主体性が求められるようになってきました。最高学府の中で、教員や職員と新しい大学を創造し、新しい文化の担い手になるためには、学生自らが、「学びを求める姿勢」を深化すること、同時に大学における研究や教育も、そういった背景を理解した上でのシステムづくりが必要となってきます。一例を挙げると、「学修成果の可視化」が課題になっていることは、その証といっていいのではないでしょうか。
 教員が専門的な知識・技能を学生に教授し、受動的に学生が学修を進め、納得するかしないかは関係なく評価が付与され、職員はその仲介役でしかないという状態は、学修のシステムの中に教職学共同は存在しないことを意味します。
 COVID-19の影響で、manabaやZoomなどを活用したオンライン、オンデマンド、あるいはハイブリッド授業が進化し、教育の手立ての幅が広がったことは明白です。manabaなどを導入したことで、本学の、教員、職員、学生間のコミュニケーションに対する利便性は確実に高まりました(ただし、心理的距離が必ずしも近づいたとは言えないかもしれません)。
 さらに、学生が主役になるための数多くの整備(3つのポリシーのブラッシュアップから、manabaを活用した学修成果の可視化まで多岐にわたる教学上の整備)が行われました。端的にいえば、学生がより主体的に学問を楽しむための用意が進んだということです。
 今後、本学の学生たちは、教員が示す教育の目標とミッションを理解したうえで、自分自身の学びの目標を確立し、その目標がいかに実現されたかを確認しながら、より充実した学びを経験するフェーズに達する、私はそう確信しています。

 

大東文化大学の学生は地域貢献活動にも積極的に取り組んでいると聞いています。くわしくお聞かせください。

 社会貢献活動は本学が誇るべき特色のひとつです。2011年の東日本大震災で、甚大な被害を受けた宮城県東松島市とは連携協定を結んでおり、これまで12年間にわたって脈々と支援活動を行ってきました。
 その精神は大学在学中の学生の社会貢献活動に留まらず、卒業後も社会貢献活動に従事している卒業生も散見されます。自発的にボランティアを行っている学生が大多数を占め、ある学生は「支援することは当たり前のこと」と話していました。
 政治学科・法学研究科の卒業生で、難民支援のNPO法人で活動された宮﨑淳氏もその一人です。残念ながら2011年11月、トルコ東部地震の被災者支援中に落命されましたが、忘れてはならない卒業生のひとりです。2013年5月には、本学内に銅板碑を設置いたしました。
 現在進行中の、あるいは過去に実施されてきた社会貢献活動を列挙するには、紙面のスペースも時間も足りませんが、大東文化大学の学生たちは他者に寄り添える素晴らしい学生であるということが、その一端をお示ししただけでもきっと理解いただけると自負しています。

 

最後に、大東文化大学を受験する学生たちにメッセージをお願いします。

 世界の歴史・社会・文化・健康・医療・スポーツに関心を持ち、日本文化への深い理解と異文化への共感をもって地域社会と国際社会に貢献したいという高校生のみなさんにとって最適の大学であることは確かです。基礎的な学力を有し、自ら学び発展しようとする高い勉学意欲を持ったみなさんも大歓迎です。そして、入学後は、より主体的に自らの学びを深めていただきたいと切に願います。
 大学が最終地点ではありません。学びを体現し、それを咀嚼できるのが本学です。私たち大東文化大学の教職員と共に、あなたの未来を創造してみませんか。本学で真摯に学び、修学を完遂すれば、豊かな人間性と深い学識を持った、現代社会のさまざまな課題の解決に力を尽くすことができる人材になれるはずです。

 

高橋学長、ありがとうございました。

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