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「地域文化の探求」の最終報告会が行なわれました(12月17日)。

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 12月17日、13時30分より、東松山市役所総合会館4階Aホールにおいて、「キャリア特殊講義(地域文化の探求)」の最終報告会が開催されました。「地域文化の探求」は「問題解決学入門」や「旅行産業論」と並ぶPBL型の授業の一つ。9月下旬から3ヶ月にわたっ て、6グループ、総勢26名の学生が、東松山市商工観光課より提示された「東松山市の観光を振興するための具体的な方策を提案せよ」という課題に取り組んできました。10月29日の中間報告以後の、それぞれの悪戦苦闘の成果が、贄田美行副市長、塚越総務部長、屋代環境産業部長ほか、課題出しをご担当いただいた商工観光課をはじめとする市役所の方々の前で報告されました。

6班














 「行かぬなら行かせてみよう大東生」。6班の提案「大東文化×東松山」は、新歓企画として「大東松山ウォーク」を開催し、新入生に東松山を知ってもらおうというものです。コースは、大学を出て岩殿観音、農産物直売所「いなほてらす」を経由して吉見百穴、さらに東松山ウォーキングセンターを回り、ゴールはぼたん通り商店街となります。

3班














 3班は「インバウンド」に着眼。「日本人には当たり前のものが、外国人には魅力的!」「江戸以前の歴史と里山の自然」は、外国人を惹きつける東松山の魅力。「川越に来た外国人観光客を東松山に呼び込もう!」と、川越発着のバスツアーを提案しました。「タイムトラベル~東松山」は、川越駅から東松山埋蔵文化財センター、化石発掘センター、吉見百穴の古代空間に外国人をいざないます。「市民権ゲットツアー」では、和紙づくり体験や農業・料理体験、ホームスティや温泉など、日本の里山文化を満喫できるプランになっています。それだけではありません。これらの企画には、外国人観光客の受入れのために市役所と市民と学生が連携することにより東松山を元気にする(活性化する)という狙いが潜んでいるのだとも。

2班 






    






2班の皆さん

 2班は、東松山観光協会のホームページの改善策を提案しました。三つの評価基準(「第一印象」「項目の見つけやすさ」「内容のわかりやすさ」)で、全国100の自治体のHPを評価しました。得点が高かったのは、出雲市、佐久市、大阪市、和歌山市、天草市のHP。これらの調査をもとに、東松山市の観光協会のHPのフロントページが提案されました。

5班












5班の皆さん

 「浅いところに光が灯った~灯台下暗し~」。これは、東松山の駅舎を観光資源として活用しようという5班の提案です。「川越になくて東松山にあるもの」という問いを突き詰めた結果、東松山市の玄関口である駅舎のすばらしさに気付いたのだと言います。まさに「灯台下暗し!」。「プロジェクションマッピング」「イルミネーション」で駅舎を飾ること、日本スリーデーマーチのときに設けられる「キャンドルナイト」を軽井沢並に華やかで美しくし、駅舎を引き立たせることなどが具体的な方策として提案されました。

4班












 「市内でもっとも多くの観光客が集まるところはどこ?」。「大学の下にある子ども動物自然公園には年間70万人もの来場者があるそうだ」。ここに着眼した4班は、動物公園に来た親子連れを、どうやったら東松山市内の別のスポットに導けるかを検討してきました。「『子ども動物自然公園+アルファ』プロジェクト」の提案は二つ。一つは「季節ごとの限定クーポン」の配付。しかし、クーポンだけで観光客は動かない!そこで、二つ目の提案。クーポンを使わせるために、日曜日に1日二回程度、動物園発着の市内観光バスを運行するというものです。自家用車は動物公園の駐車場に置いたまま参加できるので、動物園の延長感覚(お父さんも気楽に)で行ってみようという気になるのではないか。ただし、動物公園のリピーターを飽きさせないために、季節クーポンに合わせ、季節ごとに運行コースをかえることが肝心。春は吉見百穴、秋は東平の梨園へ、夏と冬には東松山駅周辺へ、そして四季を通じて「いなほてらす」でお買い物といったコースが提案されました。

1班














1班の皆さん

 最後は1班「そうだ東松山行こう。」どこかで聞いたことのあるコピーですね。「Digital Signage東松山バージョン」を検討していましたが、実現性の観点から計画を断念し、プロモーションビデオやSNSによる広報に方向転換しました。東松山市の観光名所や特産品、日本スリーデーマーチの風景を盛り込んだスライドショーが披露されました。

贄田美行東松山市副市長

 6つの班のプレゼンの後、贄田美行東松山市副市長から、次のような全体講評を頂戴しました。「6つの班の提案は『東松山をどうやって知ってもらうか』という問題に収斂するのではないか」。現在、東松山市では「まち・ひと・しごと創生」事業に取り組んでおり、大東文化大学の周辺地域にも「学びの道」が展開することになる。数々の文化施設を創造的に活用するにはどうすればよいか。今後は、このような問題にも智恵を貸してもらいたい」。

 最後は、東松山市との二回目のPBLを体験した尾白拓也さんが、受講生を代表して東松山市役所への感謝の言葉を述べ、最終報告会を締め括りました。

授業を担当した新里孝一教授より

新里孝一教授

 M-lodgeに泊り込んでプレゼンを準備したいくつかの班がありました。さすがに見事な出来栄えです。優秀賞は「川越に来た外国人観光客を東松山に呼び込もう!」とインバウンドに着眼した3班。「大東東松山ウォーク」を提案した6班が準優秀賞といったところでしょうか。昨年に引き続き「PBL地域文化の探求」に参加した学生のリーダーシップがとりわけ光っていたように思います。
 
 一方で、最終プレゼンに半数が欠席をするという班もありました。一人一人の無責任な振る舞いは「チームワークの未熟」に起因するわけですが、こうした事態が、一人だけの問題、一つの班だけの問題に止まらず、学部あるいは大学全体の評価に影響してくるのが、地域連携型PBL授業の怖さです。
 
 いくつかの活発な班の活動をクラス全体に波及させ、PBL全体の活力(チームワーク力)に繋げられなかった点が、ファシリテーターとしてのもっとも大きな反省点です。

  観光振興方策を具体的に提案するという難問中の難問でしたが、なんとか最終報告会まで漕ぎ着けることができました。課題出しから最終報告にいたるまで、真摯にご指導いただいた三村和之課長以下、東松山市の商工観光課の方々には改めて深く感謝の意を表します。

ありがとうございました!