Asia education

中学生のためのアジア理解講座が開催されました(11月17日)。

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 11月17日、新5号館0313,14教室及びMホールにおいて、地域連携センターの主催により東松山市立白山中学校の1学年(42名)を対象に「一日体験入学」(中学生のためのアジア理解講座)が実施されました。2013年から四年連続の開催となりました。

参考資料

 講師は、昨年に引き続き小尾淳先生が担当しました。国際関係学部の研究補助員を務める傍ら、非常勤講師として「アジア言語講座(タミル語A・B)」や「比較文化特殊講義(アジアの身体とパフォーマンスA・B)」などの授業を担当されています。講座のテーマは「インドの文化を知ろう~カレーからインド舞踊まで~」。インドは現在、経済成長の著しい国として注目され何かと話題になっていますが、その文化的側面に実際にふれる機会はあまりないでしょう。今回は、座学やインド舞踊の体験を通して、その一端を知ってもらおうという企画です。

 まず、クイズ形式でインドの国土、人口、国旗、通貨単位など基本情報をおさえていきます。事前学習のおかげか、正解率はかなり高かったようですね。インドのお札には13の異なる言語で額面が書かれており、多言語社会であることが一目でわかります。同じ国で地方によって異なる文字や言葉が使われているというのは、標準語がいきわたっている日本に住んでいるとぴんとこないかもしれません。中学生の皆さんには連邦公用語のヒンディー語と、南インドのタミル・ナードゥ州の公用語であるタミル語の書き取りにチャレンジしてもらいました。

 次に、日本人の大好物の一つであるカレーについて。インドといえば「カレー」を連想する人も多いかもしれませんが、カレーという料理名は英語で、現地の香辛料を使った料理を欧米の人たちが呼んだのが始まりだそうです。また、日本のカレーを作る時に使うカレールーやカレー粉というものもインドにはなく、具材にあわせてスパイスが調合されるので、色も風味も異なる多彩な料理が存在します。

 

 さて、いよいよ南インドの古典舞踊バラタナーティヤムの紹介です。この踊りはもともとはヒンドゥー寺院で行われていた奉納舞を起源としますが、今日踊られているものは20世紀になって舞台芸術として作り直されたものです。踊りでは様々な身体技法のほか、マイムでヒンドゥー神話を語る際にハンド・ジェスチャーを多用します。歌を交えたジェスチャーのデモンストレーションでは、皆さん見よう見まねで手を動かしていました。座学の最後に、特別に小尾先生が持参したビンディシール(インド女性が額につける吉なる印)をおでこに貼ると、にわかにインドらしい雰囲気となりました。会場をMホールに移し、いよいよ踊りの実践です。

 インド舞踊のレッスンは独特のあいさつで始まります。映像で見た基本のポーズを実際にやってみると「難しい!」の声が多くあがりました。さらに、中腰の姿勢のまま踊ると言うと、皆さん驚いていたようですね。それでも、順を追ってやっていくと、だんだんとそれらしい動きになっていきました。

 今日チャレンジしたのは3種類の型(アダヴ)です。ただ手足の動きを真似するだけだと苦行のようですが、皆で一緒にそれぞれの掛け声「テイヤ テイ」、「テイユンタッタ テイユンタ」、「ターテイテイタ ディッテイテイタ」を大きな声でかけると、どこからともなく笑いが起こり、終始なごやかな雰囲気で授業が進められました。最後に、3つのグループそれぞれの成果を発表しあった後、インド舞踊のごあいさつで締めくくられました。

 私たちの身の回りでは日々国際化が進み、異文化理解の必要性が高まっていることは言うまでもありません。ただ、今はインターネットで手軽に情報を得られるので、調べただけでわかった気になりがちです。しかし、実際にイベントに足を運んだり、身体を使って体験してみることで異文化への親近感が増し、さらに日本の文化を見直す目も養われます。今回の講座が、中学生の皆さんにとっていろんな異文化に関心をもつきっかけとなるとよいですね。