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研究班「大豆のアジア学」の第二回農業実習が行われました(8月6日)

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発芽後の状況

 今年の関東地方の梅雨明けは7月28日。7月7日に発芽をはじめた大豆も、昨年のように「野うさぎのご馳走」にされることもなく、8月上旬までにすくすくと成長しています。鳥獣ネットが役立っているようですね。

ピンチ

 今年の大豆栽培の目標として、「高齢者にでもできる『負担の軽い』大豆栽培」に、「『集客できる枝豆』のための『身延方式』の試行」を加えました。昨年10月、日本一の枝豆「曙大豆」の原産地である山梨県身延町の枝豆収穫体験に参加しました。西嶋地区で「曙大豆」を栽培する川口建設の望月治社長に、『曙』栽培上の工夫をご教示いただきました。

 今年度は『曙大豆』にあやかるべく、その工夫を宇宙大豆の栽培でも試してみようということになりました。その一つが「ピンチ」。茎や葉の線部分ばかりが成長するいわゆる「草ぼけ」を抑え、莢を太らせるために施す、「茎の先端部分を摘み、植物の成長を止めたり、あるいは枝葉を増やすために行う操作のこと」です。

 7月26日、「ピンチ」を施し、1株の葉の枚数を7~8枚程度にしました。また、発芽状況がよかったため株間が狭くなりすぎているところがあったので、根圏を傷つけないように、茎を根元から切り取ることにより株間を広くしました。「集客できる大豆」の第一条件は、何と言っても莢の大きさ。この秋、太った三連の莢がたわわに実りますようにとの願いを込めて。

中耕と培土

 梅雨明けの頃から、雑草が目立ちはじめました。そこで、7月30日に、畝間に管理機を走らせ、大きな雑草を沈めることにしました。

 8月6日、午前9時30から、大豆栽培に不可欠の「中耕・培土」作業を行いました。中耕は、除草を目的に畝間を耕す作業。倒伏の防止を目的として、畝の左右から土を寄せて茎下部を覆う作業が培土。

 本日の隊員は2名。学生隊員は1名のみです。船橋、根岸両氏の“マンツーマン”の指導により、猛暑の中を、中耕には「三角ホー」を、培土には「草カキ」と、農具を巧みに使い分けながら30分ほどで作業を終了しました。

 作業終了後は、昨年の『鍬学講座』に続く『ワンポイント農具講座』。中耕や培土の作業には、一般に「鍬(平鍬)」「草カキ」「レーキ(熊手・手把)」「三角ホー」「鋤簾(ジョレン)」などが使用されます。農具類の写真をご覧ください。左から、関東地方の「平鍬」、主に関西で流通する刃床部が短い「鍬」、「三角ホー」「レーキと草カキの両用具」「草カキ」。右側の写真が「鋤簾(ジョレン)」。船橋邸で「鋤簾」を見学した際に、60年以上も前の田んぼで活躍していた草取り機も見せてもらいました。

 雑草もすっかり消えました。大豆は、まだまだ枝は細めですが、培土を施された土にしっかりと支えられ、背筋をピンと伸ばしているようにも見えます。しかし、ここは、全国の最高気温を記録する鳩山町。酷暑や台風の影響など、油断はできませんが、お盆過ぎになれば、薄紫色の花を付けはじめ、10月の稲刈りの頃には枝豆になるでしょう。

縄綯い実習

 中耕と培土を終えた後、ときがわ町の船橋春雄氏のご自宅に伺い、縄綯いの実習を行いました。機械の名称は「日の出式製縄機」。藁2本を2箇所の挿入口から途切れないように入れていきます。片方の挿入口に気を取られていると、もう片方の藁が途切れてしまいます。挿入する藁の本数が多すぎると機械が止まってしまう可能性がありますが、少なすぎても、強度の低い細い縄になってしまいます。そのあたりの匙加減は、やはり「習うより、慣れろ」の領域でしょう。藁入れの操作さえ大きく間違わなければ、あとは機械が、実に綺麗な縄に綯い上げてくれます。まさに藁の藝術作品(!)

 12月上旬に大豆を刈り取った後、数週間、大豆を畑で乾燥させますが、刈り取った大豆を束ねるために、本日の実習で作った縄を使用することになります。

 

後期の活動について

 小学生の枝豆収穫体験。10月中旬には、小学生の枝豆収穫体験を計画しています。今年は、地元の亀井小学校の児童だけでなく、ときがわ町の萩ヶ丘小学校の児童も招いて、「枝豆収穫ゲーム」などで盛り上げ、賑やかな小学生の交流事業に発展させたいと思っています。

 昨年の枝豆収穫体験ではじめての試飲会を行なった「飲む枝豆」。11月には「飲む枝豆」製造までの国際関係学部「大豆のアジア学」の地域連携の取組が公刊され、いよいよ製品化に向けて動き出します。

 それだけではありません。後期からは「枝豆(ずんだ)パン」の製品開発に着手します。2013年秋に山崎製パンと共同開発した『豆乳きなこクリーム&豆乳入りホイップクリームパン(マロンクリーム)』と『ロールちゃん(きなこクリーム)』に続く、大豆パン企画の第二弾となります。学生たちの創意と工夫、奮闘と努力に大いに期待したいところです。