| Marriage à-la-Mode 「当世風の結婚」 1745 |
6枚構成の絵画物語。同種の絵画物語のなかで最高傑作と言われ、上流階級の不道徳な生活とその末路を芸術作品として画き出すことが目指された。登場人物は 「遊女一代記」と異なって、特定個人を表わしてはいない。当時流行した親同志の思惑による結婚を諷刺し、愛なくして結婚させられた若夫婦がそれぞれ不義のみちを歩んで破滅に至る過程を語る。また元の油絵が完成した後、版画を作成する際に、ホガ−スは、通例の場合と異なって、自分自身では版を彫らず、フランスから招いた専門の彫り師に彫版を依頼し、技巧的にも完璧を期した。 |
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第1図 The marriage settlement(結婚契約) 場所は伯爵家の応接間。もはや流行遅れの衣服をまとい、痛風を病む伯爵(左側)は、右手で家系図を自慢げに指し示している。相対する花嫁の父(右側)は成金の上流市民で、元ロンドン市長。二人は子供の結婚をめぐって、地位と財産の駆け引きに没頭している。間に立つ弁護士は片手に抵当証書、他方の手に£100という金額の書類を持っている。これは花嫁が持参金付きであることを示す。右端に花嫁花婿。花嫁は花婿に背を向け、脇に立つ弁護士の囁きに耳を傾けている。 | 第2図 The tête-à-teit(差し向かい) 時計の針はすでに昼を過ぎている。夜遊びに疲れて家に戻った若主人はだらしなく腰掛けているが、ポケットからのぞく婦人もの帽子を犬が嗅ぎつけている。若夫人もまた眠そうに欠伸をする。こちらも夜通しのトランプ遊びに疲れ果てている。召使の手には請求書の束。 |
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第3図 The inspection(藪医者の診察) 乱行を重ねた挙げ句、若伯爵は梅毒に冒されて医者へ。ガニまたの医者は薬を差し出しているが、若伯爵は薬が効かないと言って、ステッキを振り上げる。中央の女は正体不明。左の若い娘がかぶる帽子のリボンは、犬が嗅ぎつけた物と同じで、この娘が若伯爵の愛人であることが分かる。 | 第4図 The toilette(化粧の間) 若伯爵夫人が弁護士や取り巻きを私室に招き入れる。ベッドから降りたばかりの若夫人は、美容師に髪を結わせながら客人に応対している。弁護士は舞踏会の切符を手に、若夫人に誘いをかけている。黒人の子守が赤ん坊の生まれていることを示す。鹿の角は若夫人の不義を象徴する。 |
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第5図 The bagnio(売春宿での事件) 舞踏会の帰り道、若夫人と弁護士はあいまい宿に入ったが、二人に気づいて後を追った若伯爵は、現場に踏み込んだものの、弁護士に刺されて重傷を負う。夜警が駆けつけるや、弁護士は寝間着のまま臀部まで見せて窓から逃げ出す。その窓からの夜風にろうそくの火が揺れる。 | 第6図 The lady's death(若伯爵夫人の死) 夫の死後、実家に戻った夫人は、情夫の弁護士が死刑になった号外を読んで生き甲斐を失い、毒をあおって臨終を迎える。今や息を引き取ろうとする母親にお別れのキスをする佝僂病の幼児が哀れ。こと切れたと知って娘の指から指輪を抜き取る父親。遣り切れない結末である。 |
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