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研究部会

諸相を呈した古筆切の研究


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研究班代表
髙城 弘一

本研究班は、標記のテーマをもとに、通常は各班員が個々に研究をしている。

研究成果の一つとして、小林強兼任研究員著・高城弘一専任研究員編『出典判明仏書・経切一覧稿』(2009年度大東文化大学人文科学研究所報告書、大東文化大学人文科学研究所、2010年3月20日)を発行した。また、中村健太郎兼任研究員は、11月8日に開催された第20回(’09)書学書道史学会大会(於:日本大学文理学部・百周年記念館)において、「古筆家伝来手鑑『翰墨林』とその痕跡   古筆家正統の秘帖の行方   」という題目で研究発表を行ったので、その要旨を掲げることによって、報告の一端に代えたいと思う。

現在、国宝に指定されている4件の古筆手鑑のうち、3件が古筆の鑑定を家職とした古筆家に伝来したものと考えられている。京都国立博物館蔵『藻塩草』及び出光美術館蔵『見ぬ世の友』が古筆本家において、MOA美術館蔵『翰墨城』が古筆別家において、それぞれ古筆の鑑定基準として活用されていたと推測される。また、内容も名物切を中心に、手鑑行列(身分を中心とする配列)をかなり意識した構成となっており、古筆手鑑の基準作例としてとらえることも可能であろう。このような観点から、国宝の指定も首肯されるものである。

しかしながら、古筆鑑定の家職を世襲した古筆本家、古筆別家では、この3件の古筆手鑑のみを鑑定の基準として用いたとは当然のことながら考えにくく、この他にも複数の鑑定基準となり得る古筆手鑑などの鑑定材料を所有していたものと考えられる。

本発表で取り上げる古筆手鑑『翰墨林』については、田中塊堂編『昭和古筆名葉集』(昭和22年、鳩居堂刊)において、「古筆家正統の秘帖『翰墨林』に記されたる名物切を併記し」と言及されているものの、現在その所在はもちろん、内容についても一切不明の古筆手鑑である。『昭和古筆名葉集』編纂に際し用いられ、また「古筆家正統の秘帖」とわざわざ特記する点から、現在国宝に指定されている古筆家伝来の手鑑に匹敵する伝来と内容を有する品であるかと思量するものである。

今回、この古筆手鑑『翰墨林』に関係する可能性が高いと考えられる古筆切の一群について、実見し調査をする機会を得たことから、先ずはこれらの古筆切について、具体的な報告を行う。また『昭和古筆名葉集』に記載される名物切の名称についても、これら古筆切の一群から注目すべき知見を得たことから、古筆切に付される名物切の名称の問題についても言及したい。最終的には、古筆手鑑『翰墨林』の復元を目的とし、古筆家に伝来した第4の古筆手鑑の実体について部分的解明を試みたい。「西周青銅器銘文研究」班報告附:西周時代の晋侯


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