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研究部会

『万葉集』現行注釈書の比較研究


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研究班代表
山口 敦史

本研究班では、《古典の現代語訳という行為が本来的に孕んでいる問題》に照準を合わせて、研究を進めてきた。対象作品としては『万葉集』を選択し、その現代語訳における表現上の特徴や問題点について考察した。現行注釈書の中から数本を選定した上で、構成員各自が担当歌を決め、それぞれの視点、それぞれの手法によって分析を行った。本来ならば『万葉集』全体を分析の対象に据えることが望ましいのであるが、現実的に考えて、対象歌を以下に示した巻第一収録の柿本人麻呂作歌15首に絞った。

  1. 「過近江荒都時柿本朝臣人麻呂作歌」及び「反歌」(一・二九~三一)
  2. 「幸于吉野宮之時柿本朝臣人麻呂作歌」及び「反歌」(一・三六~三九)
  3. 「幸于伊勢國時留京柿本朝臣人麻呂作歌」(一・四〇~四二)
  4. 「軽皇子宿于安騎野時柿本朝臣人麻呂作歌」及び「短歌」(一・四五~四九)

具体的には、『万葉集』の本文校訂を踏まえた上で、語釈及び、現行注釈書の現代語訳の比較・考察を行った。重視したのは、以下の二点である。

  1. 本文と複数の現代語訳との比較対照及び、その妥当性について。
  2. 現代語訳それぞれにおける表現上の違いの要因について。

以上の考察により、本研究班は、総じて古典文学のテキストに現代語訳を付随させるスタイルが孕む問題点に光を当てたと言える。また、これらの分析作業を通して、《古典の現代語訳という行為が本来的に孕んでいる問題》に対する根本的な問いかけを行うには、『万葉集』現行注釈書への更なる掘り下げや、異なるテキストの現行注釈書への分析が不可欠であることも再確認された。


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