「漢学・書道の学際的研究拠点の形成による『東洋人の“道”』 研究教育の推進」

事業概要

現代社会が直面する人文主義の諸問題に、東洋の”道”と”書”の思想と芸術の立場から提言を試みます。建学以来、「漢学・書道の大東」として培ってきた東洋人の知的資源(漢籍・書跡)を基盤とするデジタル・アーカイブスを整備・構築し、東洋人の”道”の学際的研究拠点としてのイノベーション研究を行い、全学的研究機構を設置して国内外に向けて発信することにより、「東洋人の”道”を育てる大学」というブランド確立を目指します。

研究テーマについて

本学では、建学の歴史とともに「漢学と書道」を中心にアジアの文化的かつ人文学的研究・教育を積み重ねてきました。加えて、創立百周年に向けた将来基本計画「DAITO VISION 2023」において、「アジアから世界へ-多文化共生を目指す新しい価値の不断の創造」を、建学の精神を踏まえた大学の理念として掲げています。
創立95周年を迎える本年から、百周年記念事業の柱としてアジアに軸足を置いた全学的研究支援体制を整備し、建学の精神に謳う「儒教に基づく道義の確立」を期して、東洋人の”道”思想、東洋の”人文主義”文化を基盤とする教育・研究事業に取り組んでいくことが決定しています。
その根幹であり、中心となるのが「漢学・書道」研究であることから、「漢学・書道の学際的研究拠点の形成による『東洋人の“道”』研究教育の推進」を研究テーマに選定しました。

期待される研究成果

東洋人の道を育てる大学

以下のA~Fの8つのプロジェクトチームを構成し、“道”と“書”をめぐる漢籍・書跡の「知的資源の学術芸術文化研究の基盤整備」と「学際的イノベーション研究拠点の形成と推進」を行い、さらにG「経営道」、H「書道の科学」の2チームとの共同研究により、人文科学系を主とする研究成果を社会科学系・自然科学系の研究と連環させ、「東洋人の”道”」思想、「東洋の”人文主義”」文化に係る学際的イノベーション研究拠点の形成を展開します。

A「漢籍のデジタル・アーカイブス化」チーム

文学部(中国文学科)・文学研究科(中国学専攻)・図書館・国際交流センター

B「書跡のデジタル・アーカイブス化」チーム

文学部(書道学科)・文学研究科(書道学専攻)・図書館・国際交流センター

本学が所有する貴重書(漢籍・書跡)に係る特別資料を中心としたデジタル・アーカイブスの構築。これら所蔵品の一部はすでに目録を刊行していますが、なお未刊行が多いです。知的資源(漢籍・書跡)の総点検と精査を行い、本学を始め国内外研究者の活用を促進するとともに、中国・台湾等海外の研究教育諸機関(中国社会科学院歴史研究所、中国美術学院、國立臺灣藝術大學など)とも連携して、デジタル・アーカイブスを基盤とする〈中国学〉、〈書道学〉のイノベーション研究拠点を形成します。

C「自校史教育・研究の推進」チーム

大東文化歴史資料館・百周年記念事業準備委員会

漢学・書道研究に貢献した教員の活動や業績等を調査・研究することによって、本学の教育史(自校史)を再認識し、創立以来、近100年の日本漢学と日本書道における位置づけや、漢学・書道において本学が果たした役割を明らかにし、在学生・卒業生の自校史教育に寄与させます。

D「“道”研究」チーム

文学部・人文科学研究所(文学部附置研究所)

“道”と”書”をめぐる漢学・書道の知的資源の基盤整備を行い、中国美学の観点から「東洋人の”道”」思想を明らかにするための学際的研究拠点を形成することで、本学が“道”と“書”という分野のリーディング大学であるという地位の確立をめざします。

E「東洋学研究の基礎的読解技術の確保と研究交流の活性化」チーム

東洋研究所

漢籍を中心とした東洋学研究の原典資料に対する整理・読解を行い、その訳注などを公刊します。以て、各研究分野の基礎を確保し、他者との対話の方法を確立することによって、より実証的な研究成果に対する学術的貢献を果たします。また、グローバル社会における異文化への理解を支援するとともに、東洋文化を継承する国内外の研究者を育成することで、研究交流の活性化を企図します。

F「拓本コレクションのデータベース化」チーム

書道研究所

宇野雪村氏(本学元教授)寄贈拓本類、西林昭一氏(跡見学園女子大学元教授)寄贈新出土拓本類に高島文庫(故高島菊次郎氏(王子製紙元社長)の旧蔵書)・杉村文庫(故杉村勇造氏(本学元図書館長)の旧蔵書)中の拓本類を加えた拓本コレクションのデータベースを構築します。研究成果に基づき、参考文献、地名、人名、事項等が検索可能な総合データベースを整備することにより、国内外の研究者のみならず、書道担当現職教員の教育インフラ整備に資することとなります。

G「経営学と”道”の研究(経営道)」チーム

経営学部

学問・教養としての「漢学・書道」にとどまらず、「東洋人の“道”」思想に係る研究を経営・企業倫理に拡げ、企業経営における東洋思想の活用を探求します。

H「書道とスポーツ・健康科学の研究(書道の科学)」チーム

スポーツ・健康科学部

書道の「芸道」としての技芸・技能に着目し、AI(人工知能)では解明し得ない精神的・感性的な内面を、運動学・生理学などの観点から科学的な分析・考察を行い、主として書道を専門としない小学校・中学校教員に対して、書写・書道教育指導方法の普及に寄与させます。