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今井 凌雪(1922〜2011)書「道」

本紙:縦49×横60cm 額装:縦72×横84cm
印「冰齋道人」・画仙紙・墨・1992年作・個人蔵
筑波大学名誉教授・大東文化大学元教授

たっぷりと墨を筆に含ませて、ゆっくりと筆を運んでいる。威風堂々として重厚感溢れる逸品である。キッパリとした書きぶりで迷いも無駄もない。静止画像なのに動的に見えるのは、最終点画「辶」の潤渇のバランスが絶妙で、一番力強く見える線であり、それが無限の広がりを予測させるからであろう。加えて右に入れた落款「凌雪92」の瀟洒な線質が、「道」本体を浮き上がらせるからであろう。(文・河内利治 書道学科教授)