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国際関係学科国際文化学科

小尾淳先生の著書『近現代南インドのバラモンと賛歌-バクティから芸術、そして「文化資源」へ-』が第38回田邉尚雄賞(東洋音楽学会)を受賞しました。

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 国際関係学部の小尾淳先生の著書『近現代南インドのバラモンと賛歌-バクティから芸術、そして「文化資源」へ-』が、第38回田邉尚雄賞に選出されました。

 同賞は東洋音楽学会によって設立された優れた東洋音楽研究に贈られる権威ある賞です。

 東洋音楽学会会報 第112号に掲載された授賞理由は以下のとおり。

 

 小尾淳氏の『近現代南インドのバラモンと賛歌-バクティから芸術、そして「文化資源」へ-』は、長期のフィールドワークに基づくデータと歴史研究によって、「賛歌」について南インドのカルナータカ音楽界全体の相関関係、担い手となったバラモン階層のあり方を中心とした社会的背景との関連を柱にしながら丁寧に論じた、学術性の極めて高い著書である。信仰表出と芸術表現との間を行き来する賛歌の多層的な実践とその変遷がリアルに描き出され、ヒンディー文化を支える音楽的資料の集合体としての賛歌のあり方を明らかにしている。博士論文を発展させ、バラモン階級にとって賛歌が「文化資源」としての新たな意味を獲得したという分析に至った点については、十分に論じ切れていないところはあるが、研究に対する意欲が感じられる。本書の取り組みは、宗教性との結びつきが強い東洋各地の諸芸能の研究促進に資するものとしても、高く評価できる。