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2008年度現地研修報告―パキスタン

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去る9月12日から10月6日まで25日間にわたるパキスタンでの現地研修が、学生8名(女性1名、男性7名)の参加により実施されました。昨今パキスタンの政治情勢が不安定なことから、現地研修の実施は難しいのではと懸念する声も出発前にはありました。しかし滞在中大きな問題はなく、参加者全員にとって満足のゆく充実した研修となりました。

研修期間中は、協定校のパンジャーブ大学で10日間、パキスタンの共通語であるウルドゥー語の語学研修を受けました。

授業中は講師の先生方から熱心な講義を受けた他、夜には家に招待されて夕食などをご馳走になりました。また休み時間中には外国人の私たちに興味津々の現地の学生達と交流を深めました。「忍者」スクールのインストラクターやおしゃべり好きの女子学生など、個性的な学生たちと会うことができました。放課後は習ったばかりのウルドゥー語を使って、キャンパスの近くにあるラホール博物館や世界遺産のラホール城を見学したり、宿舎近くの運動場で現地の子供たちとクリケットやバスケットをして遊んだり、バザールでショッピングなどをして楽しく過ごしました。国民のほとんどがイスラム教徒ということで、禁欲的でちょっと固いイメージをパキスタンの人たちに抱いていた学生が多かったのではないかと思いますが、実際の現地の人びとは陽気で気さくでした。

語学研修の合間や修了後は、歴史や文化、そして経済や政治などを肌で学ぶため、パンジャーブ州のあちこちを訪問しました。古代文明の1つインダス文明のハラッパー遺跡や、仏教芸術が花開いたガンダーラ地方の中心地タキシラの遺跡などを見学したほか、日系企業であるホンダのオートバイ工場、世界のサッカーボールの3分の2が作られるというシアルコート市のサッカーボール工場など訪問しました。サッカーボール工場の社長さんの叔母さんは、パキスタンに嫁いで30年以上になるという日本人の女性で、パキスタンで生活することの苦労話や楽しい思い出話などを聞くことができました。インドとの国境の町ワガーでは、パキスタンとインドの国境で行われる国旗降納式を見学し、もともと一つの国だった英領インドが分離独立してできた両国の歴史と現在の緊張を肌で感じました。

今年度のパキスタン現地研修の特徴は、これまでの現地研修ではあまり行くことのなかった農村に足を伸ばし、ホームステイをしたことです。大東大講師のダーネシュ先生の実家がある村を訪問し、農家や畑、田んぼ、灌漑用の水路などを見学しました。また村の子供達から女性、そして長老達まで幅広い人びとから温かいもてなしを受けました。ちょうど断食月(ラマダーン)明けのお祭りの日だったこともあり、大変なご馳走をいただき、皆大満足でした。そしてその日の夜はなんと、家の屋上にベッドを並べ、星空を見ながら眠りに就いたのです。

日本を発つまでは少し不安もありましたが、大変充実した研修となり、みなパキスタンが大好きになって帰ってきました。滞在中は、日本ではできない経験や発見、そして色々な人びととの出会いの連続でした。研修を終えた学生の1人は、来年1年間パキスタンに留学することを早速予定しています。

(国際関係学科准教授 須田敏彦)