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文学から学ぶ埼玉の歴史

講座内容

≪古代・中世の東国史を学ぶ Part 33 ≫

『万葉集』からみた奈良時代の埼玉 (10月4日)
『万葉集』には、当時の埼玉(旧武蔵国)に暮らした人々が作った歌が多数収められています。これらの歌を、文献史学・考古学・文学といった様々な分野の研究成果を用いて読み解き、奈良時代の人々の暮らしに迫ります。
(担当講師:宮瀧 交二)

『伊勢物語』の「東下り」から見る埼玉 (10月11日)
『伊勢物語』は平安時代の歌物語である。在原業平の一代記として読まれる向きが多いが、業平の名は一切見当たらず、ただ「昔男」とのみ記される。書き手が業平を主人公とした歌物語を意図したことは明らかであろう。男はあるとき、「京にありわびて」、「身をえうなきものに思ひなして」東国へと下っていく。途次武蔵国では「みよしの」が詠いこまれた贈答がなされる。ここより考察してみたい。
(担当講師:内野 信子)

『廻国雑記』からみた戦国時代の埼玉 (10月18日)
『廻国(かいこく)雑記』は、戦国時代初期に、近衛家出身の修験僧道興准后(どうこうじゅごう)が記した紀行文。東国を歴訪した際の記録・記憶に基づいており、地名にちなむ和歌も多く残されている。当時の交通路や、道興が武蔵国で活動拠点にした十玉(じゅうぎょく)院について、また、同時期の紀行文や中世遺跡の調査成果とのかかわりなどを紹介する。
(担当講師:早坂 廣人)

紀行文学に記された江戸時代の埼玉 (10月25日)
俳諧紀行文や滑稽道中記などを通して、江戸時代における埼玉を紹介します。松尾芭蕉の「おくのほそ道」では奥州道沿いの旅の行程と詠まれた俳句を確認します。小林一茶の「寛政三年紀行」から中山道沿い、「草津道の記」から川越街道沿いの旅の行程と現地の風情・詠まれた俳句を明らかにします。十辺舎一九の「続膝栗毛」「金草鞋」から中山道、秩父や坂東巡礼の実態を紹介します。
(担当講師:加藤 光男)

近代文学者のみた明治・大正時代の埼玉 (11月8日)
これまでの講義・古代から近世の文学作品を踏まえたうえで、戦前の紀行文学について検証します。紀行文学は名所や旧跡を紹介した単なる「観光ガイド」ではありません。紀行文学書とガイドブックの相違点を明らかにします。そのうえで、国木田独歩『武蔵野』(明治34年)や田山花袋『東京の近郊 一日二日の旅』(大正9年)などを通して当時の埼玉を紹介します。
(担当講師:加藤 光男)

追悼講義/《森村文学》と熊谷 (11月15日)
熊谷市出身で日本を代表する作家の一人である森村誠一氏が、昨年7月に逝去されました。そのことを受けて、森村氏が作家を志した幼少期の出来事から近年の「写真俳句」に至るまでの作家生活と、代表作等の紹介や小説が出来上がるまでの過程、そして森村氏の郷里熊谷への思いと森村氏との思い出などをとおして《森村文学》の全貌をご紹介したいと思います。
(担当講師:大井 教寛)

テキスト

レジュメを配付します。

講座番号(会場)
105(東松山キャンパス)
回数
全6回
曜日・時間
金曜日 10:00-11:30
期間
10月4日(金)~11月15日(金)
日程詳細
10/4・11・18・25
11/8・15
定員
34名
受講料
12,000円(学生受講料 9,600円)
受付終了

講師紹介

宮瀧 交二(みやたき こうじ)
大東文化大学文学部歴史文化学科教授
図書館長
立教大学大学院文学研究科博士後期課程史学専攻(日本史専修)博士予備論文提出退学。博士(学術)[新潟大学大学院現代社会文化研究科]。専門は日本古代史、博物館学、観光歴史学。著書に『岡倉天心 思想と行動』[共著]他。(公社)日本博物館協会 平成25年度棚橋賞受賞。歴史科学協議会『歴史評論』編集長等で活動中。
内野 信子(うちの のぶこ)
元國學院大學兼任講師
讀賣カルチャー講師
國學院大學大学院文学研究科日本文学専攻博士課程修了 博士(文学)。専門は中古文学。著書に『蜻蛉日記の表現論』他。カルチャーセンター講師等で活動中。
早坂 廣人(はやさか ひろひと)
富士見市立水子貝塚資料館学芸員
埼玉大学理学部卒業。専門は考古学。著作に「難波田城資料館企画展図録 難波田氏とその時代」(共著)ほか。
加藤 光男(かとう みつお)
さいたま文学館学芸員
立教大学大学院文学研究科博士前期課程修了。札所に関しては「特別展 埼玉の札所めぐり」(埼玉県立博物館・1997年)を企画・運営。論文に「豊国・国貞・広重画『音霊験記』について」(速水侑編『観音信仰辞典』)他。
大井 教寛(おおい のりひろ)
熊谷市立熊谷図書館副館長・学芸員
中央大学文学部卒業。専門は日本中世史・郷土史。著書論文に「武蔵国熊谷郷の開発と在地領主」他。埼玉県地方史研究会会員等で活動中。