Joint Research

2017(平成29)年度の共同研究部会

東洋研究所専任研究員
兼担研究員=本学の学部に本務を持つ研究員
兼任研究員=本学外の専門研究者
特別兼任研究員=本研究所が特に必要と認めた兼任研究員以外の学外研究者     

第1班

課題
20世紀・21世紀における日中関係と中国の対外抵抗・対内改革・世界大同
期間
2015~2017年度
概要
 研究班の研究計画は3年間の短期計画と10年をかけた長期計画から構成される。
 まず、20世紀以来の日中関係、中国の対外政策、内政、さらにそこで提起された「世界大同」の事実を検証する。20世紀中国は、帝国主義への抵抗から、建国後平和共存の五原則の提起へと対外関係(世界認識)を変化させ、また中国国内の対内改革は、民衆の自由、民主の要求と社会主義建設を巡って大きく変貌を遂げてきた。その間、平和共存の中国外交や人民公社などの新たな世界、社会モデルが提起され、社会の共存とそれを支える文化革命が求められてきた。これを現代中国の「世界大同」の創造の一部とみて、これを検討していくことである。
 さらに中国20世紀以来の対外抵抗、対内改革は日本と深く関わりをもっており、課題も多いが、日中間で「世界大同」のモデルを経済から政治、さらに文化面へと実践していくことも可能である。
 10年長期計画については、1921年から2021年間の中国共産党史の資料整理と100年史研究を進める。
メンバー(20名)
専任研究員:岡崎邦彦(主任)
兼担研究員:村井信幸、葛目知秀、高安雄一、篠永宣孝、内田知行、柴田善雅、鹿錫俊、齊藤哲郎、田中寛
兼任研究員:鐙屋一、伊藤一彦、上野英詞、植松希久磨、嶋亜弥子、由川稔、江崎隆哉
特別兼任研究員:小島麗逸、近藤邦康、中島宏

第2班

課題
日中文学の比較文学的研究-『藝文類聚』を中心にして-
期間
2017~2019年度
概要
 本邦に伝来する最古の現存類書の『藝文類聚』は、我が国の古典文学に多大の影響を与えていることは周知の事実である。
 それが今日に至るまで雑家の書として等閑視されてきた嫌いがある。それ故、未読解の本書を訓読して、原典との校勘、典拠の解明、索引の作成をすることは、単に国文学への影響のみならず、類書学上においても大いに貢献するものであると考える。
 その研究成果を逐年刊行して今日に及んでおり、斯学の評価を得ている。
メンバー(10名)
専任研究員:田中良明
兼担研究員:中林史朗(主任)、日吉盛幸、浜口俊裕、小塚由博、藏中しのぶ
兼任研究員:福田俊昭、芦川敏彦、大兼健寛
特別兼任研究員:成田守

第3班

課題
西欧植民地主義再考
期間
2017~2019年度
概要
 西欧植民地主義の成立、発展、思想的背景については数多くの研究がなされて来た。これら西欧植民地主義の歴史研究はヨーロッパと新大陸つまり大西洋世界、ヨーロッパと旧大陸つまりインド洋と太平洋世界を対象とし、それとは別に植民地宗主国の歴史研究が存在した。
 これら大西洋世界における西欧植民地主義の歴史研究からはインド洋と太平洋世界における植民地主義が見えてこない.逆にインド洋と太平洋世界における西欧植民地主義の歴史研究からは、大西洋世界の植民地主義は見えてこない。
 そこでこの研究班では、大西洋世界、植民地宗主国、インド洋と太平洋世界の3大研究対象を比較統合し、西欧植民地主義を再考することを目的に、いくつかの個別的研究を分担して研究しようとする物である。
メンバー(5名)
専任研究員:山田準(主任)
兼担研究員:滝口明子、齋藤俊輔
兼任研究員:岡倉登志
特別兼任研究員:生田滋

第4班

課題
唐・李鳳撰『天文要録』の研究(訳注作業を中心として)
期間
2016~2018年度
概要
 前田尊経閣文庫蔵『天文要録』(唐、李鳳撰)、第二冊(「日占」)、さらには第三冊(「月占」)の訓読、訳注作業をおこない、その成果を『「天文要録」の考察[一]』(2011年3月)、 『「天文要録」の考察[二]』(2016年3月)につづけて、『「天文要録」の考察[三]』として上梓する。
メンバー(11名)
専任研究員:小林春樹(主任)、田中良明
兼任研究員:小坂眞二、小林龍彦、中村聡、中村士、細井浩志、山下克明、渡邉義浩
特別兼任研究員:進藤英幸、濱久雄

第5班

課題
茶の湯と座の文芸
期間
2017~2019年度
概要
 平成16年度~18年度(2004~2006年度)日本学術振興会科学研究費補助金・基盤研究(C)(2)「茶の湯と座の 文芸の本質の研究ー『茶譜』を軸とする知的体系の継承と人的ネットワーク」の成果、および2008~2011年度の東洋研究所研究班「茶の湯と座の文芸」の成果として刊行した『茶譜 巻一注釈』~『茶譜 巻七注釈』を発展的に継承すべく、江戸時代中期寛文年間の成立とされる茶道百科事典『茶譜』全十八巻の注釈研究を継続しておこなう。
  研究参加者には加藤泰加子・北井千鶴(裏千家茶道パリ支部)、飯島奨(文化人類学)を加え、 茶道文献を対象とした学際研究をめざす。
メンバー(14名)
兼担研究員:藏中しのぶ(主任)
兼任研究員:相田満、安保博史、藏田明子、矢ヶ崎善太郎、三田明弘、高木ゆみ子、フレデリック・ジラール、王宝平、オレグ・プリミアーニ、菅野友巳、笹生美喜子、松本公一、布村浩一

第6班

課題
イラン文化圏における50年の社会・文化変容―フィールドから歴史へ―
期間
2015~2017年度
概要
 イラン文化圏とは、現在のイラン国を中心に、周辺のアフガニスン、タジキスタン、クルディスタンなどを含む文化圏をいう。イラン系民族、ペルシア語系言語、太陽暦の春分を新春(Nouruz)として祝う生活リズムなどに特徴がある。ここでは「ノウル-ズ文化圏」と呼びたい。
 それは、インド文化圏、中央アジア・トルコ文化圏、アラブ文化圏など隣接する周辺の文化圏との歴史的交流のなかで育まれたものである。また、ここでいう文化、文化圏とは、人間の生活舞台である自然生態環境、生業を基盤とした経済活動、その上に展開する社会や文化を含む総体を意味している。
 本研究では、 イラン文化圏を中心に置き、それをとりまく周辺の文化圏と重なりあう混合地域にも注意をはらう。なかなか変わりにくい基層文化、近現代における外から押し寄せてくる西欧近代化、さらに、今日のグローバリゼーションの大波によってあわただしく変化する表層文化の動き。ここでは、基層と表層の両者の相互作用の過程が大きな変化要因として考察する。したがって、研究視座は、現在のフィ-ルド現場から出発して過去へと時間を遡航するかたちで研究をすすめたい。
 第2期の2年目にあたり、先輩たちの研究成果や手法などを総括し、自らの新しい研究視点や手法を確立し、その成果を論文や単行本のかたちで積極的に表現していきたい。
メンバー(14名)
兼担研究員:吉村武典(主任)
専任研究員:山田準
兼任研究員:原隆一、鈴木珠里、南里浩子、林裕、斉藤正道、中村菜穂、星山幸子、吉田雄介、アブドリ・ケイワン、石井啓一郎、ソレマニエ(福元)貴実也、深見和子

第7班

課題
岡倉天心(覚三)にとっての「伝統と近代」
期間
2015~2017年度
概要
 岡倉天心(1862-1913)は、幼時より漢籍とヘボン塾で英語を学び、東京開成学校に入学、1877年東京大学で政治学、理財学ならびにフェノロサについて哲学を学び、卒業後、フェノロサの日本美術研究に協力し、古美術の研究と新しい日本画の樹立を目ざした。1886年文部省の美術取調委員としてフェノロサとアメリカ経由でヨーロッパを巡り翌年帰国、東京美術学校の創設、1890年校長に就任した。
 この間美術専門誌『国華』を創刊、日本絵画協会主宰、帝室技芸員選択委員、古社寺保存会委員に任ぜられ、1898年校長を辞職、橋本雅邦、横山大観、菱田春草、下村観山らと日本美術院を創設、新しい日本画を目ざして美術運動をおこした。1904年(明治37)大観、春草を伴い渡米し、ボストン美術館の仕事にあたり、1905年同館の東洋部長となり、1906年ニューヨークで『茶の本』を出版、その年の末に日本美術院を茨城県五浦へ移し、大観、春草、観山らと住み、1907年文部省美術審査委員会委員となり、1908年国画玉成会を結成、1910年東京帝国大学で「泰東巧芸史」を講義した。翌年欧米旅行を行い、ハーバード大学からマスター・オブ・アーツの学位を受けた。続いて1912年インド、ヨーロッパを経て渡米し、1913年(大正2)病を得て帰国、療養に努めたが、同年9月2日新潟県赤倉山荘で没した。英文著書『東洋の理想』(1903)、『日本の覚醒(かくせい)』(1904)、『茶の本』(1906)などは外国人はもちろん、翻訳されて広く日本人にも影響を与えた。
 岡倉天心研究はまだまだ研究されなければならない点あるが、本研究部会においては、岡倉天心の「伝統と近代」に着目し幅広い研究を進めていきたい。
メンバー(8名)
兼担研究員:田辺清(主任)、宮瀧交二、篠永宣孝
兼任研究員:池田久代、岡倉登志、岡本佳子、依田徹、佐藤志乃