おかやま はじめ さん
経済学部経営学科 1987年度卒業
俳優(劇団「ラッパ屋」所属)
多くの「初めて」を体験した大学時代
それを与えてくれたのは、先生であり友人でした。
100周年を機に制定されたこの新しいタグラインは、
大東文化大学のあるべき姿を表現しています。
大東文化大学は、創立以来、
漢学をはじめとする様々な文化との出会いを通じて
社会を豊かにすることを目指してきました。
文化と向き合って100年。
地域・領域・時代を超えた多彩な文化が交差し、
出会う場へ。
今日も新しい価値が生まれている。
その真ん中には、いつも、大東文化大学がいます。
真ん中に文化がある。
大東文化大学
活躍する大東人SP
2023.03.15
1923年(大正12年)の設立以来、多くの優秀な人材を輩出してきた大東文化大学。
年代も活躍する分野も多様な本学の卒業生たちに、大学時代の思い出から現在の活動スタイルまで、貴重な話をお聴きしました。
おかやま はじめ さん
経済学部経営学科 1987年度卒業
俳優(劇団「ラッパ屋」所属)
多くの「初めて」を体験した大学時代
それを与えてくれたのは、先生であり友人でした。
──俳優を志したきっかけと、現在の活動についてお聞かせください。
おかやま:人前に出るのは好きではなかったのですが、ふとしたきっかけで大学内にあった劇団「虚構」に参加することになりまして。照明の手伝いから始まって演者となり、その後在学中に現在も所属する劇団「ラッパ屋」(当時の名称は「サラリーマン新劇喇叭屋」)に入団しました。芝居づくりが楽しくてずっと続けていましたが、30代になると今さら就職も難しい。そこでプロの俳優としてやっていこうと腹を括ったのです。恥ずかしながら、この「腹を括る」が「志したきっかけ」に当たるのではないでしょうか。現在は、舞台、テレビ、映画とジャンルを問わず活動しています。
──仕事をするうえで心がけていることはありますか。
おかやま:俳優としての準備を怠らないようにすることです。セリフを覚えるだけでなく、作品全体の構成や時代背景、方言などの言語や人物造形等、その準備は多岐にわたりますが、それらを充分行ったうえで現場に臨む。1本の仕事に対し準備が8割ほどで、ここを固めておかないと怖くて現場に立てません。
──演技に向き合う気持ちはどんなものですか。
おかやま:いただいた仕事に対して、一つひとつ丁寧に取り組んでいるつもりです。きちんと準備をし、自分なりに納得のいく演技をして……その後は編集によって、監督さんによって作品として仕上げられ、最終的にそれは作品を観てくれるお客さまのものになる。作品全体でいえば私の役割は一部ですが、そこにベストを尽くしますし、結果として作品が評価されたら嬉しい。まさに役者冥利に尽きるというものです。
──大東文化大学時代、印象に残っているのはやはり劇団に加入したことですか。
おかやま:そうですね。劇団「虚構」を通し、演劇と出会ったことが大きかったです。多くの人が集まり、コミュニケートしながら芝居の完成に向けて力を尽くす。その過程では食い違いもありましたが、私自身本気で喧嘩したのはこのときが初めてだったと思います。この時期は、人間関係もどんどん変わっていきました。もっと面白い作品を、もっと面白い人をと何かに引き寄せられていったような感覚です。私にとってはこの20代が、ある意味思春期と呼べるものだったと感じます。
──経営学科での学びについてはいかがですか。
おかやま:私は宮城県出身で、実家は飲食店を営んでいました。長男である私はいわゆる跡取りだったので、大学で経営について学びたいと。本音は東京に行きたかっただけなのですが(笑)、そこで大東文化大学の経営学科に進学しました。学科ではインドネシア語を専攻、ヘルマワン先生にお世話になりました。インドネシア語専攻は4人しかいませんでしたから、先生とも仲間とも密に関われた。先生からは語学だけでなく、日本について、インドネシアについて、さまざまなお話を伺うことができました。いつもニコニコして、優しい日本語を使われていた方と記憶しています。
──大学に入って環境が変わり、何か感じるものはありましたか。
おかやま:いろいろな地方から人が集まり、彼らはみんなそれぞれ違う背景を抱えている。そんな人たちと関わることで、確かに刺激は受けました。当時の私にとって東京、大学は外国のようなもの。毎日が異文化に触れているような感じだったと思います。
──大学で入った劇団と、勉強のバランスはどんなものでしたか。
おかやま:正直に申しますと、力を注いでいたのは劇団のほうですね。ただ、勉学ももちろん真面目にやっていたつもりです。私は自信を持って「自分は真面目」と言いますが、真面目さは俳優になった今でも大事なことで、それがないと続けられません。誠意を積み重ねて作品に取り組まないと、結局いいものができない。もちろん、そんなふうに真面目にやったからこそ大学も卒業できたということです(笑)。
──今後の目標、展望についてお聞かせください。
おかやま:俳優には定年がありませんから、できるだけ長く作品づくりに携わっていきたいです。それから、演劇の素晴らしさをもっと多くの方々に知ってほしい。そのために劇団で全国巡回したり、地方のコミュニティーでワークショップも開催してみたいです。もう何年か経ったら東京と宮城の二拠点生活もいいなと。加えて、個人的には若手の後押しもしていきたいと考えています。
──最後に、後輩たちへのメッセージをお願いします。
おかやま:「金儲けや成功だけが人生じゃない」。先日私が出演した舞台でのセリフです。俳優として、私もそれを実感しています。何が幸せなのかは自分自身で決めていい。だからこそ、その何かを感じる感受性を、大学での学びを通して育てていってほしいと思います。