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"周囲の支え"に感謝 パラ閉会式出演 日本語学科4年 秦優人さんインタビュー

2021.11.18 / 1,040PV

生まれつき左腕がなく、右耳は難聴、側彎症という障がいのある、外国語学部 日本語学科 4年生の秦 優人(はた ゆうと)さん。

 

これまで生きていく中で、自分一人ではできないことをたくさん経験し、幼い頃はそんな自分を受け入れられずにいたそうです。それでもこうして22年間、明るく楽しく生きてこられたのは、家族や友人をはじめとした”周囲の支え”があったからだとお話してくれました。

 

そんな秦さんですが海外でも高い評価を得た、2021年9月5日(日)東京2020パラリンピック閉会式では、公募キャストとしても活躍。

今回のDaito Eyesでは、秦さんのインタビューを行いました!

僕の生活を支えてくれている方々へ、恩返しをしたい、感謝を伝えたい

僕が、東京2020パラリンピックの公募キャストへ応募したのは、普段から僕の生活を支えてくれている方々へ”恩返しをしたい、感謝を伝えたい”そう強く感じたからです。

 

高校生の頃、書道の授業を履修していたのですが、書道部の顧問の先生が「片手でもとても上手に書いている」と自分の字を褒めてくださったということを友人から聞きました。

そのことをきっかけに、書道部に入部。文化祭では書道パフォーマンスを監督するなど「何かを作り上げる」ということの楽しさを見出してきました。

キャスト審査は二次審査まであり、一次審査では2,000字の志望理由書と3分間の自己PR動画を送りました。

二次審査は対面で面接を行い、1年の延期を経て2021年の3月に二次審査通過のメールをいただき、晴れて公募キャストの中の「オリジナルキャスト」として活動することが決まりました!

後にニュースで知ったことですが、今回の選考は5,550人の応募の中から161人が選ばれる狭き門だったそうです。

 

応募当時は「やってはみたいけれど、落ちるんだろうな」と思っていました(笑)。だから、連絡をいただけた時は本当にうれしかったです!

1年の延期を経て、決意したこと

本来であれば東京2020オリンピック・パラリンピックは、僕が大学3年生のときに開催される予定でした。しかし新型コロナウイルスの影響で1年の延期となり、開催は僕が4年生のときになってしまいました。


教職課程を履修していたため、教育実習や教員採用試験のある大学4年生の時間は本当に大切で、出演を断ろうかとも考えました。また、コロナ禍における東京大会という点においても、どこかで後ろめたい気持ちや、申し訳ない気持ちがありました。

辞退も考え悩みましたが、本大会がコロナ禍という壁を乗りきり成功へと導くことが一つの目標であるとするのならば、「障がい」という壁を乗りきった僕らやパラリンピアンにしかできない大会・開閉会式だと考え、キャストとして携わることを決意しました。


決意が固まってからは、リハーサルや練習に専念し、ときには友人との約束を断り活動に励みました。

▲教職課程センターの岩田先生と秦さん▲教職課程センターの岩田先生と秦さん

教育実習や教員採用試験に関しては、教職課程センターの岩田先生に勉強方法や、スケジュールについて相談にのっていただき、無事に終えることができました。本当に感謝の想いでいっぱいです。

自分がキャストとして閉会式に参加するか悩んでいたときも「教員採用試験はまた受けられるチャンスがあるけれど、東京で開催するオリパラは人生で一回の機会かもしれないよ。パラに集中しなさい」と後押しをしてくださいました。

 

そして皆さんのご支援もあり、教育実習も終え、教員採用試験にも無事合格することができました!

なによりも自分が楽しむこと

写真:スポニチ/アフロ ※写真中央前列が秦さん写真:スポニチ/アフロ ※写真中央前列が秦さん

閉会式当日、パフォーマンス中は不思議と緊張はしませんでした。

教育実習でお世話になった実習校の先生がおっしゃった「先生が授業を楽しんでいなければ生徒は全く楽しくない。当事者が楽しむことが大切」という言葉が心に残っていて、なにより”楽しくやろう!”というその気持ちだけで、ステージに上がりました。

また、リハーサルを重ねるにつれ、共演者の方々と「ここはこうしませんか?」「この振り付けかっこいいですよね!」と、コミュニケーションをとる機会が増えていくことがとても楽しかったですし、うれしかったです。

 

本番中に、ステージに立つ僕の横を通るダウン症の女の子のパフォーマーとアドリブでグータッチをしたとき、自然と涙が溢れました。その女の子は、なかなか振り付けを覚えられなかったり、日によって体調の善し悪しが変わったりするそうなので、アドリブに応えてくれたことに感激しました。きっとそのうれしさや、自分の出番が終わったことへの安心感から涙がでたのかなと思っています。

周囲の支えのおかげで、こんなことができた

  • ▲秦さんの幼少期 ▲秦さんの幼少期
  • ▲2019年夏、日本語学科の友人たちとBBQ ▲2019年夏、日本語学科の友人たちとBBQ
  • ▲パラリンピック閉会式本番前 ▲パラリンピック閉会式本番前

パラリンピックに出演することで、これまで支えてくれた家族や友人、周囲の方々に「皆さんの支えのおかげでこんなことができました」という感謝を伝えたいと思っていました。

出演後の家族や友人からの感想がとてもうれしかったですし周囲の方々へ感謝の気持ちを届けることができ、本当にうれしく思います。閉会式が終わった後、祖父が祖母に向かって「これが俺の孫だよ」と言ってくれて、冗談交じりに「いや、僕はおばあちゃんの孫でもあるけどね(笑)」と、家族と和気あいあいに話すことができました。

▲パラリンピック閉会式本番前▲パラリンピック閉会式本番前

パラリンピックに携わるまで、自分以外の障がいを持った人と関わることが少なかったので、さまざまな障がいや病気、悩みや不安を抱えているパフォーマーたちと一緒の時間を過ごすことで、障がい者の自分が障がい者を理解していないことに気がつきました。

障がいも「見て分かる障がい」と、「見た目だけでは分からない障がい」があります。僕自身も片耳が聞こえないので話しかけられても、聞こえなくて無視してしまうこともありました。さまざまな人と関わって「この人はこうなのかもしれない」と普段から想像力をもって生活することが大切なんだなと気づかされました。

 
この経験を経て、もっと自分自身のことを発信していきたいと思っています。
喋ることが好きなので遠い未来になるかもしれませんが、ラジオ番組に出てみたいです!

障がいの有無を問わず、なにか自分に自信が持てなくて、あと一歩踏み出せない人に、自分が少しでも背中を押せるような、そんな活動をしていきたいです。
 
ありがたいことに、都内の高校から閉会式をきっかけに講演会のお仕事をいただきました。

まずはそれをスタートに、日本そして世界で、多様性に溢れた社会を実現できるような活動をしていきたいです。

秦さん、ありがとうございました!

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