大東文化大学百年史編纂

資料紹介

Introduction of Research Materials

Research Materials 06

大東文化大学学部増設認可申請(1961年)

 この資料(国立公文書館蔵)は、1961(昭和36)年9月に大東文化大学が、文学部(日本文学科・中国文学科)と経済学部(経済学科)の両学部増設について文部省へ認可申請した件に対する、文部省からの通知内容を表したものである。62年1月、文部省は板橋区志村西台町に新たに設置される文学部と経済学部の増設を認可した。両学部の開設は、1962年度からであった。

 ただし、この引用資料に挙げてあるように、校舎建築計画の順次遂行、教員組織の経済学部における中堅教員(助教授)らの増強、一般図書や専門図書(中国文学関係を除く)の整備充実、研究費や図書費の増額、機械器具類の整備充実、などの点について、文部省からは遺漏のないよう留意すべきと指摘されていたのであった。

 実際のところ、本学としては学部増設の設置は、いち早く1961年度からの開始を当初考えていたのであったが、あまりにも申請手続きとして拙速であったため、教員組織の不備が文部省側から示唆されるなどして、いったんは申請を取り下げた経緯もあったのである。

 そもそも「学部増設の理由」については、次のとおりであった。本大学は文政学部でもって、日本文学、中国文学、政治経済学の各専攻を有し、卒業時には日本文学、中国文学の専攻者には文学士、政治経済学の専攻者には経済学士の学士号が与えられていた。しかしながら、「元来系統の異なった分野の学問が同じ学部の中において授業するということは全く非合理なことであり、これを分離することによってそれぞれの学問体系を整え、その特色が充分発揮でき、大いに社会のため貢献し得る優秀な学生を養成することができる」という狙いであった。

 さらに、現存している大東側の理事会記録などを丁寧にみていくと、上記の留意点に加え、校舎建設のための資金に充てる寄附金の募集を積極的に行う、大学後援会組織の募金活動の状況を明確に示していくことなどももとめられたのであった。これに対して、本学としては、大学の経費は、学生の入学金・授業料(施設利用費を含む)・入学検定料などを基本としながらも、教職員や校友同窓関係者をはじめ、多くの賛同有志者や法人後援者からの相応な寄附金を建設資金として調達することを約束する方向とした。これに加えて、在学生父兄や卒業生、一般有志らに対して学校債を発行し、本学発展のための協力をつよくもとめる計画も示している。

 なおこの他に、大学の経営維持の方法として、これから充実させていく附置研究所である東洋研究所において、学術的な研究論文だけでなく、学術刊行物や教科用図書の発行を順次行って、それらの収益を大学の設備費等に充てる姿勢を明らかにしたのであった。

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