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経済学部
2012年09月21日

社会経済入門(葛目知秀先生)

開講される学科:社会経済学科

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先生の講義「社会経済入門」とは、どのような授業ですか?

 この授業は、経済学部社会経済学科の1年生が後期に受ける必修科目になります。経済学部の1年生は前期に「経済学の基礎」という必修科目を受講することになっていて、まずはそこで経済学の基礎の基礎を学んでいきます。そして、2年生になると選択必修科目の中に「金融」「財政」「国際経済」という専門的な科目が出てきます。ですから1年生前期で学ぶ経済学の基礎部分と、2年生以降から始まる専門科目とのちょうど橋渡し的な役割を果たすのが、この「社会経済入門」になります。
 授業の内容は、今話したように2年生以降から始まる「金融」「財政」「国際経済」の入門編ということで教えています。例えば、財政というのは政府や地方自治体といった公共部門の経済活動のことを言い、それには「所得分配を公平化する機能」、「資源配分において民間経済を補完する機能」、「マクロ経済を調整する機能」という3つの役割があるということを話しています。あるいは注目を集めている時事問題を取り上げて話すこともあります。今ですと、消費税増税の問題。消費税の税率の引き上げは、財政において考えなければならない重要な問題のひとつです。消費税増税に対して、反対・賛成、意見はさまざまあると思うのですが、経済学部の学生ならば、やはり感情論ではなく経済学の基本的な知識に基づいて、根拠を示せる意見を言えるようになることが大事だと考えています。例えば「消費税が上がったら生活が大変だから嫌だ!」ということでなく、社会保障や年金との兼ね合いなども考えて、広い視野で考えていくことが大切なのです。ですから学生にも、そういう視点で消費税増税について考えてみてほしいと思っています。
 また、金融の部分では、金融システムとは何かとか、金融市場、金融機関、あるいは貨幣の歴史について話していきます。少し前にはなりますが、2008年9月に起きたリーマンショックを取り上げて話すこともしています。これも学生たちが関心を持って聞いてくれる話のひとつですね。リーマンショックとは何だったのかということを、バブルの話や金融政策、財政政策を含めて話していきます。
 このように授業では具体的な経済問題や学生の好奇心を高めるようなニュースを紹介し、それに対して経済学ではどういうアプローチをするのかということを話しています。そうすることで学生が興味を持ちつつ、経済学への理解を深めてくれればと考えているんです。

授業を進めるうえで、工夫していることや心がけていることはありますか?

 ひとつは今、お話ししたように、学生が関心を持つような話題性のある経済問題を取り上げることですね。あとは、数式を使っての具体的なモデル分析はしないように心がけています。2年生から本格的に数式を使うミクロ経済学やマクロ経済学を学ぶので、1年生のうちは、現実の経済問題に対する経済学の考え方を紹介する形にして、なるべく専門的にならないようにしているんです。恐らく多くの高校生の方は、経済学で数学が用いられることを知らないと思います。中には経済学部を文系と思っている人も少なくないでしょうが、実際は文理両方の面がある学問なんですよ。もちろん応用経済学の中には数学を使わない分野もありますが、ミクロ経済学でもマクロ経済学でも分析するときには数学が必要になります。ただ、経済学部に入ってくる学生の中には、高校時代に数学を学んでいない人もいます。ですから私としては、1年生対象の科目を教える際のひとつのポリシーとして中学までの数学を使って考えてみるということをしているんです。この「社会経済入門」でも数学を使う場合は、高校以上で教わる数学を使わないようにしています。

では経済学の面白さとは、どういうところにあるとお考えですか?

 経済は人々の期待や予想によって、その状況を変えます。例えば、今、日本は不景気で、なかなか資金がまわらない状況が続いていますよね。その原因のひとつには、人々が将来に対して期待より不安を大きく感じているため、お金を使わずに貯め込んでおきたいという心理になっていることが挙げられます。企業も中小企業を中心に、金融機関からお金を借りにくい状況です。借りたいけれど返せるかどうか不安で、将来景気が上向くと見通せれば借りるけれど、なかなかそういった期待ができない。そういう状況があります。ですから、結局のところ経済学とは、人間を考える学問だと思うんです。経済を動かしているのは人間です。企業もその中で働いている人たちがどういう動きをするのか、政府も首相や国会議員がどういう動きをするのか決めていくわけですし、私たち消費者も同じですよね。ですから人間を考える学問だと思えるところが、経済学の面白さだと思います。
 ただ、学生が経済学を面白いと感じるようになるには、少し時間がかかるかもしれません。正直なところ、最初はつまらないと思うんです(笑)。需要曲線、供給曲線、GDP(国内総生産)にしても色々な統計の難しい名前を覚えることが最初ですから。でもそこでつまらないと諦めずに、もう少し踏ん張ってもらいたい。スポーツでもそうですが、最初の基礎トレーニングは面白くないけれど、試合に出ると面白くなってきますよね。試合に出るところまでがんばらないと、その醍醐味は味わえない。それと同じです。特に1年生の科目は基礎が中心で、バラバラの科目を学んでいるような気がすると思いますが、3年生になると、そのバラバラに思えていた科目が関連してくることがわかってきます。自分が学んでいることって、こういうことだって見えてくるんですよ。そうなるとゼミでの研究にすごく力が入ったり、4年生の卒業論文への士気が高まったりするはずです。

学生が経済学や経済への興味を深めるには、どうすれば良いでしょうか? また、大学の4年間をどんなふうに過ごしてほしいと思いますか?

 経済学や経済への興味を深めるには、やはり少しでも社会と接点を持つことだと思います。教員として積極的に勧められるものではないかもしれませんが、社会との接点を持てるという意味では、例えばアルバイトをすることも重要だと思います。アルバイトを通して、働く場所によって時給が違うのはなぜかというような疑問を持つなど、経済問題を身近に感じられるのではないかと思います。あるいは、大学の学費は「高い」と言う学生がいますが、本当にそう言えるのかと考えてみる。講義を受けるだけならば、確かに高いかもしれませんが、図書館やグラウンド、データベースなどいろいろな施設を使いこなせば、それは「安い」と言えるかもしれません。そういうふうに身近にあるお金との関わりに目を向けてみることもひとつですね。また、そういう問題に目を向けたとき、今あるものをそのまま捉えるのではなく、疑問を持って見てほしいです。「なぜ?」と思うことで、面白い発見があるかもしれません。
 あとは、大学時代にさまざまな挑戦をしてもらいたいと思っています。何にチャレンジしても良いのですが、海外にはぜひ行ってほしいです。夏休みなどを利用して海外旅行に行ったり、留学制度を利用したりするのも良いですよ。そして現地でぜひ“不便”を経験してほしいですね。言葉が通じない、お金を払うにしても計算が大変とかいうことを、ぜひ味わってほしい。実際に海外へ行って経験してみることで、日本のことが俯瞰で見えたり、世界の経済を体験として知ったりするきっかけになるかもしれませんから。

この内容は大東文化大学メールマガジン2012年9月号において配信した内容です。
そのため、他の授業ゼミ紹介ページと原稿テイストが異なります。

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