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第9回経営シンポジウム


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第9回経営シンポジウムの記録

テーマ
中小・中堅企業のリスクマネジメント―未来に向けた現場の知の結集―

 2011年11月26日(土)、経営研究所主催(大東文化大学経営学会後援)のもとに、財団法人板橋区中小企業振興公社の御後援をいただいて、板橋地区を中心として活躍される経営者・実務家を本学にお招きしてのシンポジウムが行われました。総勢約80名の参加者を得て、講師の貴重なお話があり、また質疑応答で深い議論がおこなわれました。

今回のシンポジウムは、2011年3月の東日本大震災を受けてのものですが、その狙いは2つあります。
第一は、これからのわがくにの中小・中堅企業は、変化と不確定の環境にいかに立ち向かうべきかについて考えること、知恵を共有することです。これは、地域を振興し、強く活力のある世界にしていくことにつながります。
第二は、こうした中堅・中小企業の精神から、われわれの生き方、行動の指針を考えることです。現在は価値観を創り直し、個人としても働くことの意味や仕事への取組みについて模索する人々へのヒントが得られると考えます。

このシンポジウムで紹介いただいた考え方、情報、提案は、わがくにビジネスにとって貴重なものであり、また、とりわけこれから社会に出ようとする多くの若い方々にとって、その生き方の指針としても非常に有益なものであると考えます。主催者として、講師と参加いただいた方々に深く御礼申しあげます。

以下、その概要をご紹介します。

プログラム
開会の挨拶
大東文化大学 経営研究所長 熊沢 孝
セッション1
パネリストの講演
・板橋区立企業活性化センター 中嶋 修
  「頑張れニッポン~ピンチをチャンスに」
・うつぼや池田食品株式会社 池田 武文
  「働くってどういうこと」
・山芳製菓株式会社 山崎 光博
  「当たり前のことながら、何よりも人が一番大事」
・巣鴨信用金庫 村山 幹夫
  「喜ばれることに喜びを~お客様とともに販路開拓」
セッション2
パネリストによる討論および質疑応答
コーディネーター:中嶋 修
閉会の挨拶
大東文化大学 経営学会会長 青木 幹喜
セッション1(講演)での主な提言

ご自身が経営者としての様々な課題に直面された経験のもとに、様々な地域企業のコンサルティングを実践されてきたことを踏まえてのお話であった。

(1)頑張れニッポン~ピンチをチャンスに

板橋区立企業活性化センター 中嶋 修

2011年は有史上最大の東日本大震災と原発事故が起きた。しかも3.11以前から日本経済は財政赤字、社会保険制度の危機、失業者300万人、生活保護者205万人、就職難などが社会問題となっており、まさに日本国存亡のピンチに陥ったのである。世界に目を向けても、EU危機、米国の不況、中国を始めとした新興国経済にも陰りが見えてきている。
世界も日本も、すべてが混沌として何が起こるか判らない時代に突入している。

  • リスクマネージメントの重要性(発想の感覚と知恵が大切)

・備えあれば憂いなし
情報収集→分析→予想→対策
・驕る平家は久しからず
何が起こるか判らない時代(東電、オリンパス、JALなど)

  • 日本のチャンス —— 景気回復・雇用回復・就職難の解消

[1]来年度から復興需要(公共事業)が10年間は飛躍的に増大する
[2]建設業だけでは無く、関連業界(裾野は広い)すべての業績が上がっていく
[3]仕事がある東北への移動(出稼ぎ)により関東地区では人手不足に陥る
[4]団塊世代の完全引退(65才からの年金満額支給の影響)が始まる
・人手不足の時代に突入するので雇用回復(失業対策)と就職難の解消は間違いない

  • 学生へのエール

[1]情報収集と知識は必須条件
[2]学歴が通用するのは学生時代だけ、他校に負けるな
[3]辛い事や困難に立ち向かう精神を養うこと
[4]就職率は大幅に改善する(明けない夜はない)

(2)働くってどういうこと

うつぼや池田食品株式会社 池田 武文

街のそば屋や日本料理屋にむけて鰹節を製造販売してきた老舗を若くして受け継いだ社長の、経験のなかからの経営観、経営実践論をお話しいただいた。

入社してまず、自分を見つめ、自社を見直すところから始めた。一軒ずつ回り配達する商売も大切にしつつ、新しい分野の外食チェーンや食品メーカー、さらには、一般消費者向けの商品によるスーパーチェーンなど新たな販路を開拓して企業成長をもたらした。

自分を見つめ、良いところ悪いところをわきまえて、新たな可能性へ向かうことが出発点である。企業はある程度の規模の大きさになると、調達力・生産性・商品開発・市場開発・福利厚生などを向上させ、次の一手が打てることもあり、リスクの回避につながる。

新しいことは、怖さがあるが、発展のための条件である。特に、業務用から一般消費者向けに進出することは、安全性などさらに大きな課題があったが、HACCP(食品製造工程の安全管理の科学的手法)への取り組みで工場の改善も実現された。

大手スーパーのPBに取り組んだ。一般消費者向け商品を持つことが社員の誇りを生み、この取引先の厳しさが社員の意識レベルの向上につながった。

経営は利益という結果を求められる。

会社の寿命30年説に実感がある。同じものを続けていれば必ず終わってしまう。変化の中で気づきをもって対応しなくてはならない。働く、ということは、好きなことを仕事にするか、仕事が好きになるかしかない。仕事に本気になれば、その取り組みのなかで、何かが生み出せる。

(3)当たり前のことながら、何よりも人が一番大事

山芳製菓株式会社 山崎 光博

昭和28年創立のポテトチップなどのスナック菓子で知られる企業に2代目経営者として入社し、試行錯誤のうちに打ち立てられた経営の根幹について語っていただいた。

経済学部出身であったが、専務として入社した時には、何もわからなかった。まず、経営理念、経営計画を創ることに取り組んだ。
そこで、会社が何のためにやっているかについて考え、人をつくり人に尽くす、を理念とするようになった。人のための商品を提供し、そのための切磋琢磨で社員も経営者も力をつけ、それを人々のために反映する、というスパイラルが働く。

頑張っていても変化に気づかなくては駄目である。社員が組織として気が付くことが経営者の判断に結び付く。つまり、企業のリスク対応や利益実現は、社員が伸びていくことで可能となる。

業務とは、その人が何を感じ、掴み、伝えるかということである。これは、自分で気づくようになっていく、分かるようになっていく、という生き方ができるということである。

したがって、経営者としては、可能性を実現できる企業であるためには、社員の働きやすい、やりやすい、誇りをもてる場をつくることに取り組んできた。
社員が朝礼で、自分の信条を発表しオープンに共有する、上司が部下と話し合ってはげます、社員の役割を明確化し、それによって公平・公正な処遇を行う、縁の下の力持ちのような人々の情報を得て会長がメールしてはげます。

社員は、人の話を本当に聞けるということ、つまり、実践をすることが求められる。こうしたことは、日々の一歩一歩であり、これが成長である。

自社にしかできない、他社との無益な競争に消耗しない、ブルーアイランドというべき事業を構築する。これは、社員の知恵を結晶させて当社でないとだめだというユーザーを生み出すこと。これが持続的な利益を創るということになる。根底には、自分はどのような人間でありたいか、ということを徹底して考える、自立人としての社員がある。

(4)喜ばれることに喜びを~お客様とともに販路開拓

巣鴨信用金庫 村山 幹夫

地域に密着した営業活動によって知られる巣鴨信用金庫において、事業創造・事業支援に広く経験と情報をお持ちの立場から、地域におけるビジネス活性化の仕組みや可能性についてお話いただいた。

巣鴨信用金庫は、1922年創業以来、巣鴨地蔵通り商店街の入り口に本店を構え、心からのおもてなし、「ホスピタリティ」を経営理念としている。とげ抜き地蔵尊高岩寺ご参詣者向けに実施している本店の休憩所“おもてなし処”は1922年以来20年以上に渡り実施している。

「金融機関はサービス業である」。これは、金融機関にとって面倒なこと、手間のかかることは逆にお客さまが喜ばれることだという認識となって、地域企業の振興に結び付いている。

たとえば、金型職人が障害者向けに開発したツメ削りを、一般ユーザー向けの商品とすることを提案し、パーケージの調査を行って魅力的なものに変えた。巣鴨信金は、一日3000人以上の集客があり、日本一のシルバーマーケットといわれる“すがもビジネスフェア”「四の市」を開催しているが、ここで職員が販売をサポートし初回400個を完売、また、東急ハンズなどへの販路開拓も実現している。

また、空室の多いオフィスビルオーナーについては、地域の市場調査を実施し、その結果、高齢者が多く所得水準も高いことに着目して、空室にクリニックを誘致して医療モール化するという実践を進めた。

全国的に事業所の減少が金融機関の融資残高の減少をもたらしているが、巣鴨信金は、地域と連携し、創業や営業でのコンサルティングやサポートを行うことによりホスピタリティーを根幹とする企業文化、「利益が後からついてくる」という考え方を実践している。


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