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2020年度教員養成コロキアム教養イベントが開催されました!

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2020年6月13日土曜日、教職課程センター主催の学習会「教員養成コロキアム」(通算第8回)が行われた(後援:板橋区教育委員会)。

 

テーマは「コロナ下の子どもの貧困と教育の課題」で、埼玉県内で、貧困家庭の子どもたちに対する学習・生活支援を長らく手掛けてきた白鳥勲さん(彩の国子ども・若者支援ネットワーク)を講師に招き、新型コロナウイルスの感染拡大の中での子どもたちの状況について、講演が行われた。

白鳥さんは、子どもの貧困問題にいち早く取り組み、無料の学習教室を立ち上げて支援を行ってきた第一人者である。その教室は、「明日へのサポート」と「明日に向かって船出をする港(明日+ポート)」を組み合わせた造語である「アスポート」の名で親しまれ、全国のモデルにもなっている。

 

今回は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からZoomによるオンライン形式で実施されたが、学生、研究者、学校の教職員、マスコミ関係者、市民など、総計約350名が講演に聞き入った。

 

冒頭、内藤二郎学長が挨拶し、貧困という課題に取り組むことは多文化共生を掲げる大東文化大学の理念と通じるものであり、この講演から学生や教職員が多くを学んで欲しいという期待が述べられた。

白鳥さんからは、給食がなくなり痩せる子ども、親の収入が激減し1日100数十円で暮らす子ども、家族の「密室」状態のストレスに苦しむ子どもなど、支援ニーズが激増していることが報告されるとともに、学習教室が開けず、家庭訪問で食事を届けたりしているというリアルな実態が共有された。このような非常時に、手段が限られた中でも手立てを打っていくためには、普段の何気ない対話の中で培われた子どもとの信頼関係が重要であり、「結局は普段の学校教育の充実、日ごろの実践が問われる」とした。その上で、このような危機をばねに、管理・競争・自己責任を強調する教育から脱却し、より「平等」な社会を作るため、支え合い連帯できる心と技術を身につけるような教育に転換することが求められるというメッセージが力強く語られた。

また、今後の学習教室の再開に向け、ボランティアについての案内がなされるとともに、大東文化大学の教職課程に、「アスポート」で行うインターン科目が新設されたことも報告された。

最後に靜哲人教職課程センター所長が、緊急避難として目の前の現状に草の根レベルで手を差し伸べるのが大切であると同時に、状況の根本的な解決のためにはひとりひとりが市民として声を上げ、有権者としての投票行動で意思表示してゆくことが求められるだろうとして、締めくくった。