2020年度の第一弾となるDaitoEyesは、2020年4月1日より学長に就任した内藤二郎学長のインタビューをお届けします。
まじめな話あり、ユーモアありと、人間味あふれる内藤学長の魅力に迫ります。何より学生への熱い思いが詰まったメッセージをどうぞご覧ください。
内藤学長は、これから大東文化大学をどのような大学にしていきたいですか
学生や教職員、本学に関わっているすべての人たちが、元気で、活気あふれる大学にしたいと考えています。
いま18歳人口がどんどん減っていく中で、大学の運営は大変になると言われています。大学というのは18歳から22歳という若者が中心に学ぶ場所ではありますが、それ以外にも、社会人や地域の方々、留学生も含めて、実に多様な人がたくさん混ざり合って成り立っています。
また、学内だけでなく地域との関わり、例えばキャンパスのある東京、埼玉、あるいは板橋や東松山を中心に、さらに広く他の地域とも交流していますから、こうした様々なつながりを大切に、皆が明るく、いきいきと活躍できる大学にしていきたいと思っています。それでこそ真の意味で「開かれた大学」といえるのではないでしょうか。
受験生や新入生に「大東文化大学の魅力」を紹介するならばズバリどこでしょう?
本学は2023年に創立100周年を迎えます。
長い歴史と伝統のある大学であるということが一つ。それから、いろいろなことにチャレンジできる大学であること。また、教職員が皆、面倒見がいい大学ですし、学生もまじめで素直な若者が多いことですね。そして先ほども言いましたが、開かれた大学であり、施設やプログラムを含めて、様々なことに挑戦できる大学です。
「歴史と伝統」とありましたが、大東文化大学の歴史と伝統、特色などを、今後の社会や世界にどう活かしていくのでしょうか。
本学が掲げる「文化で社会をつなぐ大学」というミッションがありまして、そのミッションを実行する上で、「共生社会で違いを認め、尊重する」ことや、物事に対して「寛容な心を持つ」ことはとても重要です。
特色、という点では、本学には「書道」があります。そして、「書道」からさらに広い意味で文字や言葉、文章がとても大切だと常々思っています。
文字や言葉はすべての始まりで、それこそ文化の中心にあるものだと言えるでしょう。最近は文字、文章を書く機会がすごく減っていますし、言葉の乱れがとても深刻になっているように強く感じます。逆に、正しい文章が書ける、きちんとした文字、文章が書ける、日本語をちゃんと使える・伝えられるということが評価される社会になっているのかも分かりません、少し寂しい気はしますが…。
スマートフォンやタブレットなど便利なものがあるからこそ、私たちは言葉をもっと重要視するべきですし、ますます技術が進歩する時代にこそ、その質が問われてくるのではないでしょうか。「大東の学生は言葉を大切にしているね」「正しい、美しい文章が書けるね」「きちんとした日本語で話しができて気持ちいいいね」などと是非言われるように、書く文字、話す言葉の一つひとつを大事にする。この点も大東文化大学が全学を通して取り組んでいきたい目標であり、使命でもあると考えています。
それから、これは私の外国での経験ですが、書道というと、毛筆で文字や言葉を書く、ということだけをイメージしがちですが、見方を変えると一つの芸術でもあるんだなぁ、と感じたことがあります。
実はちょうどいま、本学にタイの芸術大学から10数名の留学生が来ていますが、彼らの中には私たちが絵画を見るような感覚で、書道を芸術と捉える見方もあるようです。こうした多様な視点から生まれる新たな学びや文化の交流には、まだまだ多くの可能性が秘められていますから、今後さらに本学ならではの形で発展させていきたいですね。
アジアそして世界に羽ばたき活躍していく時代に、大東文化大学で学ぶ学生たちへ
グローバリゼーションが加速する中、学生たちへ期待することは何ですか。
学生時代に、できるだけ多くの経験をしてほしいです。
少し極端な言い方かもしれませんが、「日本だけ見ていてはだめだ」ということです。これからは、学生時代に、さらに卒業後に活躍する場は、むしろ日本以外の場所にあるかもしれません。それにチャレンジしていく力が大切です。そのための努力、チャレンジする前向きな気持ち、適応する精神力といったものを、自ら養っていく姿勢を大切にしてほしいと思っています。
各学部・研究科でそれぞれの専門分野を学ぶことは大切です。外国へ出ようと思うと、当然言葉も必要でしょう。しかしそれだけではまだ十分ではなく、それ以上に重要なのが、外国などの違った環境で出会う苦労や困難な状況にも簡単にあきらめずに「よし、ここで頑張ろう!」と踏ん張るたくましさや頼もしさです。ぜひこうしたたくましさを学生時代に身につけてもらいたいですね。これは外国へ行く場合に限ったことではなく、日本国内でのいろんなことにも当てはまるでしょう。それには、自ら行動して心と体で体験することが最も有効な方法ではないかと思います。本学には学びの機会が数多く用意されていますから、積極的に参加したり活用したりするとよいでしょうね。
失敗を恐れずに自分で挑戦、体験できるのが学生時代の醍醐味です!少しでも多くのことに触れ、経験して欲しいと願っています。地域・領域・時代を越えた多彩な出会いが、たくさん待っていますよ!
内藤学長は国際交流センター所長という経歴もお持ちですが、留学や国際的な関わりを持ちたい学生へのサポートについてお聞かせください。
大東文化大学には色々な奨学金留学の制度が用意されています。
外国語学部や国際関係学部などを中心に例年定員を上回る応募があるようですが、逆に定員に満たない学部もあるという残念な状況が過去にはありました。せっかく充実した制度があるのにもったいないな、という思いです。是非もっと利用してほしいと願っています。また、国際交流センターにも多くの留学制度があって、色々なサポートが受けられますので、少しでも興味がある、どうしようか迷っているという時には、まずは国際交流センターに行って是非スタッフに相談してほしいと思います。
留学を経験した学生の話を聞くと、皆さん口をそろえて「行ってよかった!」と言います。それに、最初は短期で行った人が、次は長期で留学するというケースが非常に多いですね。2~3週間の短期留学を経験したことをきっかけに、次は半年、一年とチャレンジするのは、やはり体験したからこそわかる良さががいっぱいあるからでしょうね。
そして、私自身の経験からも言えることですが、留学先の現地の人との交流はもちろん、そこに他の国から来ている留学生たちとの出会いは、その時だけでなく将来長く続いていく貴重なものとなる場合が多く、生涯の財産になりますから、たくさんの経験を積んでほしいと思います。海外の協定校は100を超えていますし、チャンスはたくさんあります。全力でサポートします。
共生社会を目指す上で重要なことは何でしょう。経済学に精通された、内藤学長ならではの切り口でお聞かせください。
「共生」は、人間同士の問題であると同時に、人間と自然とのかかわりにおいて重要だと考えています。
共生社会を目指す上で考えなければならない課題はたくさんあります。経済、社会が発展し便利になり豊かな生活が送れる一方で、激しい気候変動、地震や台風などの大規模な災害が頻繁に起こり、地球の存亡が危ぶまれる時代になっています。これは人間が、ある意味人間のおごりが自然との共生に失敗した結果であるとも言えるでしょう。人間同士についても、世界では紛争や争いごとが未だ絶えず、また貧困や飢餓の問題も解決されず、それどころか益々深刻化しています。このままだと、いずれ人間社会が持続不可能になってしまうでしょう。若い学生には特にこのことをしっかりと受け止め、それぞれの立場で自分にできること、世の中に少しでも貢献できることを探究してほしいと思います。
それから、経済とのかかわりでの一例ですと、いま日本で労働力不足が深刻になっているのに対して、外国人を受け入れることについて議論されていますよね。あくまでも個人的な意見ですが、日本の都合や事情だけで、外国人を単に労働者とだけみなして、日本に必要な職業に限定して門戸を開く、とう考えには違和感を覚えますし、残念な思いがあります。
考えてみてください。そう言っている間に、実際日本の少子高齢化がどんどん進んでいます。このままいったらどうでしょう。労働力不足がいっそう深刻になるでしょうね。その時になって、本当に労働力が足りずに困って、「外国人の方はどんどん受け入れますよ」と、これもある意味で日本の都合や事情で言ったとき、果たして日本が外国に振り向いてもらえるような魅力ある国でいられるのかな、という点では、正直不安です。
もし日本の経済、日本社会が活力を失っていけば、外国から見て、日本の魅力は低下していくでしょうし、日本に来ようと思う人も減っていきますよね。そして、チャンスが日本の外にあるとしたら、逆に日本人がどんどん外国へ出ていくようになるでしょう。もちろんこうした状況に備えておくことが必要でしょうが、それ以上に、外国の人たちを単に労働力として捉えるのではなく、多文化共生社会を実現することが日本にとっても他の国や地域の人たちにとっても非常に大切ですから、もう少し広い視野で外国の人たちとの関係を考えないといけないように思います。
日本という国はこれまで先輩方が努力をしてこられ、アジアの中では特に先んじて経済、社会が発展し、豊かな国になりました。
色々な背景があるにせよ、日本は先に発展できたのだから、もう少し他の国や地域のことも考えられるゆとりを持ち、周りにGIVEすることを惜しまず、世界の人々から信頼され、尊敬される国でい続けられるように努力していかなければなりません。あえて「かろうじて」と言いますが(笑)、まだかろうじて、日本が経済的に豊かだし、いい国だと思ってもらえているでしょうから、少し謙虚になって、あるいはおおらかな気持ちで努力しておかないと将来は大変です。
このような状況ですから、10年後20年後を支える若い人たちへ向けられる期待と責任も、非常に大きなものになるでしょう。ぜひ学生の間に、自分の目で見て、耳で聞いて、肌で感じることで、広い視野を養ってもらいたいです。そして、共生社会のあり方を大東の学生一人ひとりが真剣に考え、行動し、学生時代、そして卒業してからも社会で主導的な役割を担える人材として活躍してくれることを強く願っています。
ビジュアル・アイデンティティー 100周年記念ロゴ「これからの青桐たちへ」
もうひとつ発表があります。
2023年に迎える創立100周年を記念して、大東文化大学の新しい象徴となるビジュアル・アイデンティティー(VI)を制作しました。100周年記念ロゴ「これからの青桐たちへ」です。
デザインの核となるのは本学を象徴する「青桐」。
100年の蓄積(年輪=歴史、様々な文化Crossing)と、これからの成長(芽吹く若芽=若さ)を表しています。開校当時の校舎が梧桐(あおぎり)に囲まれており、そのことから青桐が現在まで学園章のモチーフとなっています。
さらに本学の独自性となる“Future Green”を開発しました。
青桐のもつ色彩をベースに「自然」「芽吹き(躍動)」「調和」を表現しています。
この100周年記念ロゴ「これからの青桐たちへ」の制作に当たっては、最終選考に残った3案を学生・教職員・学園関係者らで投票してもらい、1,366票もの参加がありました。
最後に、新入生と在学生に向けてメッセージをお願いします!
大学に入るということは人生の中でも非常に大きな節目ですし、自ら決断したことですから、いま一度その意味をかみしめて、日々学びと向き合っていきましょう。繰り返しになりますが、本学にはたくさんの学生支援プログラムや、学びのチャンスが用意されていますし、施設も含めて非常に充実しています。こうしたチャンスを存分に活かして、失敗を恐れずいろんなことにチャレンジしてください。
数ある大学の中で大東文化大学に来られたということは、もちろん学生の皆さんの努力や周りの方々の多くのサポートもあってのことでしょう。でも、そこには理屈では説明できない、「ご縁」もあってのことだと思います。是非、このご縁を大切に、大東文化大学で有意義な学生生活を送り、かけがえのない青春時代を悔いなく過ごしてください。
内藤学長、ありがとうございました。