Activity

民刑合同研究班

同じ事件を同じ法概念を用いて解決しているにもかかわらず、民法上の結論と刑法上の結論に食い違いが生ずることがある。

こうした食い違いは「なぜ生ずるのか」そしてそれは、「当然のこと」なのか、それとも「可能な限り統一されていくべきもの」なのか。

本研究班では、こうした課題について民法と刑法の研究者が共同研究を行っています。

学外ゲストをお招きして2022年度民刑合同研究班研究会を開催しました

2023年2月24日14時より、zoomを利用して民刑合同研究班研究会を開催しました。特別養護老人ホームにおけるドーナツ誤嚥事件を取り上げて検討するため、看護師であり、同事件に関する論文も公表されている平塚志保先生(旭川医科大学)をゲストとしてお招きしました。

 

法律というと、裁判官や弁護士といった法律専門家だけの議論と思いがちですが、法律と関係のない仕事はほとんどありません。たしかに裁判所で審理を行うのは検察官や弁護士ですが、たとえばドーナツ誤嚥事件は老人ホームで発生していますので、その現場のことも考える必要があります。第一審の有罪判決によって介護現場が萎縮するという指摘が広くなされていることからもわかるように、法的な結論が実態に即しているかも重要だからです。

 

さらにまた、法律上の責任は「有罪・無罪」という刑事責任だけでなく、損害賠償の有無といった民事責任なども問題になります。そのため、民事刑事それぞれの専門家でこの研究会を構成し、現場の実態も踏まえて検討を行うためにゲストもお招きして研究会を開催しました。分野によって用語の意味が異なっていることも珍しくなく、分野を超えた対話はスムーズに進まないことも多いのですが、民事責任と刑事責任の異同を踏まえて異なる理由を明らかにすること、結論が現場の実態と乖離していないかをつねにチェックすることは重要なことであり、有益な意見交換ができました。

 

テーマ

民事過失と刑事過失の異同

報告担当

山本紘之(大東文化大学法学部教授 刑法担当)

ゲスト

平塚志保(旭川医科大学看護師)

日時

2023年2月25日(土)14:00~15:30

場所

zoom開催