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寄付者の声
特別研究支援による歴史研究と先端技術の融合
研究の推進、そして社会課題の解消を目指して
一般財団法人リモート・センシング技術センター
衛星地球観測事業部 部長 小野 敦 様(写真向かって右から2人目)
文学部 歴史文化学科 教授 落合 義明 先生(写真向かって右から1人目)
宇宙技術により社会の成長を目指すリモート・センシング技術センター
地域振興・活性化に寄与する落合先生の活動に共感し、寄付を決めた
小野様
リモート・センシング技術センターは、1975年8月に創立された一般財団法人です。人工衛星などを使い、対象物に触れずに調査・観測を行う「リモートセンシング技術」を通じた研究開発を推進し、社会経済の発展、国民生活の向上に寄与することを目指しています。
また当財団では、リモートセンシング技術の向上や普及につながる取り組みが促進されることを期待し、外部機関への寄付等も行っております。落合先生が主導されている活動への支援もその一環です。
私たちが落合先生と出会ったきっかけは、埼玉県比企郡の大学や自治体、事業者、民間企業、個人が中心となってつくる「ここから武蔵コンソーシアム(宇宙・産学官・地域連携コンソーシアム)」でした。
リモート・センシング技術センターの衛星地球観測事業部は、比企郡鳩山町にある「JAXA 地球観測センター」の運営業務を担っており、これらの縁もあり同コンソーシアムに参画しています。そこで、落合先生が地域の魅力の発掘、および学生主導の地域振興活動に従事されていることを知りました。
その地域の振興や活性に直接的に貢献するあり方に感銘を受け、また当財団も衛星地球観測事業部内の地域連携課を中心に地域との協力を目指していることもあり、特別研究支援(※2025年までは「指定寄付」)という形で支援させていただくことにしたものです。
教室を飛び出した実践的な学びの集大成ともいえる「公開シンポジウム」
支援のおかげで多くの方々と一緒に研究を深める機会を創出できた
落合先生
毎年、地域を学び、地域とつながる実践の場として、学生による地域観光ガイドに取り組んでいます。
2022年に放送されたNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」には、比企能員と畠山重忠という、東松山キャンパスやその周辺地域にゆかりのある歴史上の人物が登場しました。せっかくの機会なので、彼らと地域の結びつきについて授業で扱い、その過程で「学習した内容を一般の方にガイドするという企画を行ってはどうか」というアイデアが生まれたんです。
そこで、バスを手配して参加者を募り、「学生ガイドと巡る武蔵武士ゆかりの地」という企画を実施しました。
この企画は盛況を収め、翌年も実施。さらに2024年からは、川越に舞台を移して継続しています。今年度も比企地方を舞台に学生ガイドを行うことにしました。

そして、リモート・センシング技術センター様の支援を受け、2026年1月25日には公開シンポジウム「“川越の観光”を“河越の歴史”から考える」を開催しました。本学と川越市の観光課、教育委員会、NHK、そして一般のお客様とが協力して、学術的な側面から川越の観光課題について考えるイベントです。
川越には、インバウンドを含め数多くの観光客が訪れますが、そのほとんどが江戸時代〜明治時代につくられた比較的新しい街並みのみを見て帰ってしまいます。しかし、今回の企画の実施にあたって調査を深めていったところ、昔の川越の街はもっと広範に及んでいて、むしろ現在は郊外とされるエリアが中心地だったことがわかってきました。
そこで私たちは、川越周辺に広がる「川越の元祖」とも呼ぶべき史跡を、新しい観光の目玉にすべきだという提言をまとめました。そうして観光エリアが広がれば、リピーターになる観光客の増加や、人の一極集中による問題の解消も目指せるはず。その提言を広く発信し、多くの方と共に考えてもらうべく、公開シンポジウムを開催するに至りました。
産官学が連携した稀有な公開シンポジウムには、200名近くが参加
「本学×リモート・センシング技術センター」の可能性も感じられた
落合先生
公開シンポジウムは大成功だったと評価しています。
資料の配布状況から推測するに、200名近くが来場。アンケートには「長く川越に住んでいるが、土地の歴史を学んだのは初めてだった」「学生さんの目線で川越の魅力を掘り下げてくれてうれしかった」「産官学が連携した有意義な取り組みだった」といったポジティブな声が多数見られました。
また、リモート・センシング技術センター様とつながるきっかけとなった「ここから武蔵コンソーシアム」でも成果報告を行ったところ、「研究のレベルが年々向上していると感じる。さらなる進化を期待している」というコメントをいただいています。
このようにみなさまから期待を寄せていただき、本取り組みをしっかりと続けていかなくてはと感じていますね。学生たちの成長にとっても、ガイドの企画を継続することで先輩から後輩へノウハウが引き継がれ、年々ブラッシュアップもしていくでしょうから。
なお、シンポジウムの内容は書籍化する予定です。広く閲覧できる状態にすることで、単発での発信に終わらせず、引き続き研究を深めていきたいです。
小野様
今回のシンポジウムのように、学生さんが主導し、産官学の組織が関わるイベントは、ほかではあまり見られないのではないでしょうか。画期的な取り組みに間接的ですが協力することができ、とてもうれしく思っています。
また、今回の取り組みにあたり、当財団の理事長からご参加のみなさまに、川越の歴史と衛星画像とのつながりをご紹介する機会がありました。昔の川越の街とその周辺地域の地理的関係がよくわかる衛星画像からは、落合先生や学生さんの歴史研究の成果が正しいものであることが伺えます。つまり、「衛星画像は歴史研究の客観的な情報になりうる」ということです。
私は、歴史研究とリモートセンシング技術を組み合わせることは、あらゆる地域のよりよい未来を描くヒントになるのではと考えています。例えば気候変動などの問題が街に与える影響を検討するようなケースでは、衛星画像で詳細な地形を把握しつつ、歴史的な観点から街の役割などを考慮すれば、どのような影響が考えられるか推定することが可能になるのではないでしょうか。
今回のシンポジウムは、当財団と大東文化大学とが協力することの可能性を感じられるものでもあったと捉えています。
寄付によって実現できた「研究を社会に還元し、優秀な人材が育つ環境」
今後も協力して、大学の地域貢献やよりよい社会づくりの方法を模索したい
落合先生
本学の文学部 歴史文化学科は、歴史の知見を観光に活かすコースを創設するなど、日本で初めて歴史と観光のドッキングに挑戦しています。しかも、今回取り上げたガイドやシンポジウムのように、実践的な経験を積める環境も整っている。これは学生にとって、今後の大学生活および将来にわたって、大きなアドバンテージであると同時に、研究を観光業へ還元することにもつながっていると自負しています。
そんな状態を実現できているのは、リモート・センシング技術センター様が継続的に寄付をしてくださっているからこそ。支援に深く感謝しつつ、今後も地域の課題に向き合い、また「歴史を知って、未来を描ける人材」を育てていきたいと考えています。
小野様
私たちとしても、落合先生の活動は今後も長く継続していただきたいと考えています。
そして活動の支援を通じて、大学という教育機関が地域で担える役割やよりよい社会づくりの方法について、ぜひ一緒に模索していきたいですね。
そして、我々との取り組みに携わってくれた学生さんたちに「宇宙技術は社会生活から遠いものではない」と知ってもらい、やがて社会に出て何らかの課題と向き合うときに、宇宙技術の活用を選択肢にしてもらえたらうれしく思います。
プロフィール
一般財団法人リモート・センシング技術センター
衛星地球観測事業部 部長 小野 敦 様
財団入社後、宇宙航空研究開発機構(JAXA)での勤務などを経て、2024年より現職。「ここから武蔵コンソーシアム」への参加や本学への寄付などを通じ、地域連携活動にも尽力している。
文学部 歴史文化学科 教授 落合 義明 先生
2018年に本学に着任。准教授を経て、2020年より現職。専門は日本中世史で、『中世東国の「都市的な場」と武士』(山川出版社)、『中世東国武士と本拠』(同成社)、『瓦から探る中世寺院』(勉誠社/共著)など。