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学部長からのごあいさつ

経営学部長 髙沢 修一

経営学部は、2000年に、時代の要請に合わせて経済学部から分かれ誕生しましたが、2020年に設立21目年を迎えました。当初、経営学部は、経営学科と企業システム学科の2学科で構成されていましたが、学部の組織改革を経て、2016年から経営学科の1学科になりました。そして、2021年から経営学部は、IT時代を迎え日進月歩する現代のビジネス環境に対応するために、経営学科のなかに、「経営」・「会計」・「マーケティング」・「知識情報」の4コースを設けることになります。

 

受験生からは、「経営学部は、何を学ぶ学部ですか?」という質問を受けることがありますが、経営学部は、企業経営のなかで重要な役割を占める「経営」、「会計」、「マーケティング」、「情報」という4つの学問分野を総合的に学習する学部です。例えば、経営学の研究分野には、「組織」と「戦略」という二つの専門領域がありますが、アルフレッド・チャンドラーは、「組織は戦略に従う」と提唱し、イゴール・アンゾフは、「戦略は組織に従う」と述べます。チャンドラーは、「組織」と「戦略」の関係について、デュポン社等の大企業を事例に挙げて、企業経営では、多角化(戦略)を実現するために事業部制(組織)が編成されると説明します。一方、アンゾフは、ゼネラルモータース等の経営史を分析して、経営環境の変化に伴い組織の規模・形態が制限されるならば、採用・選択できる戦略も自ずと限られたものになると説明します。しかし、現代の企業経営では、必ずしも「組織」と「戦略」は主従関係にあるとはいえません。そのため、学生諸君には、学問に対する問題意識をもち相反する学説を研究して欲しいと思います。すなわち、経営学部とは、「経営学に係わる専門知識について知的探求する学部」です。
但し、流動的な経営事象を研究する場合には、社会科学の視点に立ち、「経営」、「会計」、「マーケティング」、「情報」という4つの学問から研究することが求められます。

 

また、本学の経営学部は、「ヒト」・「モノ」・「カネ」・「情報」という経営資源を効率的に活用できる人材の育成を目的として他大学の経営学部とは異なり、学部のなかに「経営」に加えて、「会計」・「マーケティング」・「知識情報」のコースを設けて学際的な研究ができるようにしています。実際、学生の間では、「マーケティング」に対する興味や関心が高いため、学生ニーズに対応できるようなカリキュラムを組んでいます。そして、経営学部では、グローバル企業の登場に伴う国際化や科学技術の進歩がもたらしたIT化に対応するために、英語等の「語学教育」や「海外留学」を充実させると共に、「海外インターンシップ」を実施し、情報分野に関連する科目も開講しています。
しかし、現代の大学教育では、専門知識の習得だけではなく、「就活支援」も大切な役割だと考えます。そのため、経営学部では、実際の経営環境を学ぶことを目的として「キャリア教育」に力を入れ、「企業と経営者」、「国内インターンシップ実習」、「ベンチャービジネス実践講座」等の科目を開講しています。そして、会計スペシャリストの養成を目的とした「会計専門職養成講座」からは、税理士試験の合格者や国税専門官(国家公務員)の採用者が誕生しています。

 

最後に、学生諸君にメッセージを送りたいと思います。
私は、学生時代に、自己の進路に迷いが生じた時に『淮南子』(えなんじ)等の中国思想書を読んでいました。淮南子は、前漢の武帝の治世下、淮南王劉安が編纂させた思想書であり『淮南鴻烈』(わいなんこうれつ)とも呼ばれています。
淮南子は、道家の思想を中心にして、儒家、法家、陰陽家の諸思想を交えて、“老荘思想”をまとめた思想書ですが、淮南子のなかの「塞翁が馬(人間万事塞翁が馬)」という故事に強く感銘を受け、私の座右の銘になりました。この故事は、人生において「禍福というものは予測できないものである」ことを教えてくれます。大学生活では、予期せぬ出来事に遭遇することもあれば、判断に迷うこともあると思いますが、失敗したと思ったことが、逆に幸運を運んできてくれたりするものです。しかし、独りで悩みを解決できない時には、経営学部の教職員に相談して下さい。

 

また、大学生活とは、最後の“学びの場”であり、自己の“キャリア形成”を模索する時期でもあります。そのため、学生諸君が、講義やゼミ(少人数クラスで専門分野を研究する専門演習)で学習や研究に真摯に取り組むと共に、部活やサークル活動に励み、素敵な友人に出会い、大学生活を有意義に過ごしてくれることを願っています。