Professor

教員紹介

滝口 明祥(たきぐち あきひろ)

【自己紹介】
太宰治と井伏鱒二を中心に、日本近代文学を研究しています。私は若い頃、太宰といえば「暗い作家」というイメージがあって敬遠していたのですが、ある日気まぐれでふと読んでみると、イメージとは全然違う面白さにあふれており、夢中になって彼の作品をいろいろと読み漁りました。作家や作品のイメージというのは、案外当てにならないものであって、実際に読んでみないとわからない、ということをそのときに学びました。しかし、そうしたイメージ(先入観、と言ってもいいかもしれません)は、持たないようにしようとはしていても、どうしても持ってしまうものですね。ときには、実際に読んでみたのに、イメージに引っ張られて読んでしまう、ということもあります。だから、何度か読み直してみたときに、初めてその作品の(イメージとはちがう)面白さに気づく、ということにもなります。そんなときには、自分はこれまで全然その作品が読めていなかったのだな、と思うのですが、しかしそれが小説を読む楽しさなのだとも感じています。

 

【学生へのメッセージ】
自分のなかにある「もやもやとした思い」を言葉にしようとしても、なかなかうまくいかない、ということはないでしょうか? それはあなたの中に、言葉がたまっていない、ということです。「もやもやとした思い」は適切な言葉を得ることによって、他者に伝わるような形をとることができます。言葉をためるためには、いろいろな本を読む必要があります。たとえば、ある小説を読んでいるときに、自分がふだん思っているようなことが、自分がふだん思っている以上に適切に表現されている言葉に出会うこともあるかもしれません。また、そのように自分の「もやもやした思い」がふさわしい言葉を得て、くっきりした形をとることができれば、それはより深い思考へと発展していくことにもつながっていくでしょう。ぜひいろいろな本を読んで、いろいろな言葉をためてみてください。

 

【滝口ゼミではこんなテーマで卒業論文が書かれています】

  • 太宰治論
  • 谷崎潤一郎と耽美主義
  • 友情と恋愛 ―武者小路実篤『友情』を中心に―
  • 現代ミステリーにおける後期クイーン的問題について

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