2023年度の第10回日展第5科(書)には8,822点の出品があり、そのうち入選は1,112点で入選約13%と狭き門であった。
本学関係者(学生・卒業生)の入選者数は、全体の約1割に及ぶ141人と昨年よりも多く、今年も本学関係者の活躍が目立った。
その中で、日展会員等に与えられる最高賞の文部科学大臣賞に、書道研究所の前身である書道文化センターの職員であった有岡俊高(号:シュン崖※)さんが選ばれた。有岡さんは1973(昭和48)年に本学日本文学科を卒業している。※シュン…夋+阝
有岡さんの授賞理由は以下のとおり(日展ホームページより)
全体的に筆力と変化に富み、豊かな表現に成功している。それぞれの文字が、筆圧・筆速を自在にコントロールして複雑な表情を見せるのみならず、文字の大小や傾きを工夫して、白地の美しい行間を生み出す章法も見事である。冒頭より落款に至るまで、リズムの良い筆運びを追うのが楽しい。現代的な作品に仕上っている。
特選に卒業生3人が選ばれる
また、入選作品の中から選出される特選10人の中に、今年は1978(昭和53)年中国文学科卒業の川上文敏(号:鳴石)さん、1979(昭和54)年中国文学科卒業の古溝茂(号:幽畦)さん、1992(平成4)年中国文学科卒業の石川圭一(号:靑邱)さんの3人が選ばれた。川上さんと石川さんは2回目の受賞。
特選の授賞理由は以下のとおり(日展ホームページより)
川上さん:たっぷりとした墨で大胆な動きの中にも絶妙な行の組み立てをし、曲線と直線の組み合わせの巧みさや、切断と連綿等の表現を加えた艶やかな作品は大字仮名の魅力を十分に感じさせてくれる作品である。
古溝さん:甲骨文を素材とし、古代文字のおもしろさを強調した優作である。繁画の字が多いが、余白を適度に設けて、呼応させ、明るくまとめたところが非凡である。また、輪郭を強く残して重厚感を加え効果をあげている。
石川さん:殷、周時代の古代文字に現代の息吹を参酌した制作技術は見事である。それは線の太細であったり、白黒のせめぎ合い、更に広狭、潤渇、粗密が微妙に混入されており、特選に相応しい作品である。
本学関係者の入選者は以下のとおり(敬称略)。
今年も在学生(学部生・院生)の活躍が目立ち、2人が初入選を果たした。
【北海道】山田起雲/川人 進
【青森】菊池翠汀/西谷昇仙
【岩手】大河原節子/澤藤華星
【山形】板垣雅峰/渡部梅祥/工藤聖泉/佐藤勝/青柳祥雲/奥山秀山
【茨城】辻敬齋/小野江華/羽根田修/佐川峰章/若泉裕明
【栃木】松尾光晴/磯翠茗
【埼玉】藤森大節/遠藤栄久/來司信博/山﨑慎也/比企百夏/飯島冰壺/初雁穆風/月木萬里/滑田燿齋/日暮恵理/徳永雪魄/北里朴聖/富永蘇泉/権田逸廬/安島可奈子/芹澤翔華/山本山罍/井上淑恵/江原見山/大田潤/松浦龍坡/角田大壤/湯淺光峰/管鶴泉
【千葉】後藤石鼎/飯田善一/藤咲温偉/小室墨汀/関根悟牛/髙野清玄/津本泰水/坂井楓弥/深山煌龍/玉手いづみ/鈴木竹園/新井唯真/井上広登/原沢游古
【東京】中村大郁/渡邉富岳/石渕江美/川内伯豐/谷口成孝/田村由美/荒井湧山/勝山歡彩/小西北翔/松尾碩甫/赤冨士北祭/竹山昶伯/海老隆成/河﨑鵬堂/小池功逸/得丸鵬仙/平賀敬子/山下睦未/青木聴雪/飯濵晋川/石丸真弥/上籠鈍牛/遠藤昌弘/栗原紫翠/竹内藍山/長谷川翔波/共田優尽/宮本耕成/福井淳哉/鈴木華水
【神奈川】萩原寛大/小山蘇龍/山口大梦/齊藤紫香
【新潟】桑原正明/阿部嘉美
【富山】専徒伸夫
【福井】酒井玉簫/松島魏山
【山梨】大橋翔/天野白汀/伊藤雅一
【長野】大澤逸山/寺尾碩雲/前川知里
【静岡】岡田明洋/三森春蘭
【愛知】後藤啓太/今田昌宏
【三重】髙橋華堂
【滋賀】疋田惜陰
【京都】大原蒼龍
【大阪】形川清光
【兵庫】遠周宏員/岸本聖城/山下啓明
【奈良】髙見廣流
【岡山】小野玲華/有信柏翠/三宅厚史郎
【広島】金谷雷聲
【徳島】森上象玉/森上洋光
【愛媛】渡部英子
【高知】山本智子
【福岡】長沼龍雲/光瀬松團/中村喬華/森田草藍/下川蒼田/二宮欣山/二宮侑山
【佐賀】森山南斗/古賀正蘭
【長崎】江副景舟/相川瑛石
【鹿児島】東瀬戸桜華/久保南翠
【沖縄】池宮城南麟/幸喜洋人/仲本清子
※入選者名は書道研究所が調べたもので他に入選者がいた場合は、その非礼をお詫びするとともに書道研究所までご連絡ください。
【連絡先】e-mail:shodoken@jm.daito.ac.j