---さっそくですが、政治学科にとって、「政治学インターンシップ」はどのような科目ですか?
法学部長 加藤 普章 教授: ひょっとすると意外に思われるかもしれないのですが、政治学というのは元来、抽象的な学問です。
今我々が生きているこの社会では、多種多様な問題がありますが、これらの具体的な問題をそのまま取り上げるのではなく、そのような問題をいかに抽象的に政治現象として説明するか、というのが、政治学の学問的手法となります。
しかし、この抽象的な学問なり議論なりに至るそのスタートには、やはり実際に起こる政治的な問題や社会的な問題があるわけです。
実際の問題とかけ離れたところに学問があるわけではありません。将来社会で活躍する学生たちに、現場の話をいかに伝えていくかということも政治学科としてきちんと押さえておくべきことであろうと考えています。
政治学インターンシップは、座学としての学問に加え、「現場」からの視点、意見や立場の異なる「現場」の人々とのリアルな交流を通じて学生のみならず教員もまた学生とともに学ぶ、そんな科目となっています。
福島研修の例を挙げるならば、原発事故の問題に関してきちんと理解しようとするには、政治や社会のことだけではなく、理工系の素養も必要となります。
政治学科には物理学を専門とされている平尾先生がおられます。このことによってさらに「現場」を見る目が立体的なものになったと思います。
政治学科主任 平尾 淳一 教授: そうですね、原発についての問題を取り上げることで、政治学をエネルギー・環境といった側面から見直すことができるようになります。
また、このような世界共通の問題をそれぞれの地域で直に感じて学ぶことができるのが「政治学インターンシップ」の特徴であると思います。グローバルな問題をローカルに学ぶといったところでしょうか。
この研修に関連して福島を訪れた際、駅のコンコースに新エネルギーに関する展示がありました。現地では災害復興もさることながら将来を見据えた産業振興・地域振興に向けて動き出していることに気づき、「政治学インターンシップ」においても積極的に未来に向けた学びを志向する必要性を感じました。そしてここでの学びが就職という形でそれぞれの地域への貢献につながるように進められると良いと考えています。