研究所の活動/Report
2024年度 研究班活動報告
中国三教と景教の相互交渉
- 代表者
- 髙橋 睦美
活動の内容
今年度の中国三教と景教の相互交渉研究班の研究活動は、5名の研究員によって、2006年に発見された新たな景教碑(洛陽碑)における中国三教と景教の相互交渉を探ることであった。
昨年度に引き続き、最重要テクスト「洛陽碑」前半の「大秦景教宣元至本經」を共同で分析した。次に、中国三教の各専門家が、それぞれの間テクスト性を指摘した。具体的には、他の景教テクストとの間テクスト性を武藤氏が主に担当した。同様に、道教テクストとのそれを高橋研究員が、仏教を宮井研究員が主に担当した。また、儒教を湯城研究員が、景教の影響作用史を新居研究員が担当した。
方法としては、「洛陽碑」の狭義の文脈と広義の文脈の両方を研究する方法を採った。具体的には、まず共同でテクストの邦訳とその註釈を行って、全体のテクスト内照応を明らかにした。その際、既出の翻訳や先行研究についても調査を行い、参考にすべきものを注記した。次に、テクストの各々の部分の背景として、三教の多くのテクストとの照応関係を広く辿っていった。最後に、相互に発見したテクスト外照応関係のある可能性があるテクストを持ち寄り、それぞれのテクストと「洛陽碑」のテクスト内照応とを照らし合わせていった。
なお、この研究成果を踏まえ、武藤・湯城・新居・宮井の4名が2025年度開催の国際宗教史学会においてパネル発表を行う予定である。
活動の日程
- 第1回 2024年5月27日(月)
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16:30~18:00
(対面開催 於板橋キャンパス中国文学科研究スペース)
今年度の研究会の打ち合わせ、「洛陽碑」読み合わせ(湯城)
- 第2回 2024年9月2日(月)
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15:30~17:30(zoom開催)
「洛陽碑」読み合わせ(湯城・新居)
- 第3回 2024年10月28日(月)
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14:00~16:00
(zoom/対面併用開催 於板橋キャンパス中国文学科研究スペース)
研究発表(武藤)
- 第4回 2025年1月6日(金)
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13:30~15:30(Zoom開催)
「洛陽碑」読み合わせ(新居)
- 第5回 2025年3月4日(火)
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13:30~15:30
(zoom/対面併用開催 於板橋キャンパス中国文学科研究スペース)
国際宗教史学会参加打ち合わせ、「洛陽碑」読み合わせ(新居・髙橋)
学びと育ちの共同体
- 代表者
- 田尻 敦子
活動の内容
本研究班においては、「学びと育ちの共同体」に関する研究を行った。理論的な視座としては、状況的学習論や関係論における学びの共同体、学習共同体、実践共同体、文化人類学の共同体論、芸術論などをもとに、多様な立場から対話を行った。
学校に加え、保育所や社会教育施設、地域、工房や画廊などにおける「学びと育ち」の生成する場に焦点を当てた多角的な研究が本研究班の特徴である。教育、福祉、医療、保育、建築、芸術など多様な領域の研究班のメンバーと共同研究を行うことができた。
フィールドとしては、ヨーロッパ、アフリカ、マレーシア、インドネシア、ブラジル、日本など多様な地域における研究を行った。インドネシアのバリ島の国立芸術大学デンパサール校のカルジャ氏、国際的な芸術家のブディアナ氏らと、数十年に及ぶ国際交流を基盤とする共同研究を行うことができた。
研究代表者と班員の今井は、ドイツのハンブルク、イギリスのオックスフォードやスロベニアなどにおいて、インタビューなどを行い、多様な分野の研究者と対話を行った。兼任研究員である上野正道氏ともドイツのベルリンで研究交流を深めることができた。それらの成果を研究報告会で報告し、紀要に論文執筆をし、報告書などにまとめた。
研究活動日程
- 2024年4月22日(月)
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人文科学研究所 部会
研究班の編集委員による報告書や紀要執筆などの相談
- 2024年6月11日(火)
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オンラインのメール会議
編集委員のミーティング 紀要や報告書の執筆申し込みなどの確認
- 2024年6月25日(火)
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人文科学研究所 研究部会
編集委員によるミーティング
- 2024年9月23日(月)
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人文科学研究所 研究部会
編集委員会によるミーティング・紀要や報告書、報告会の検討
- 2024年11月30日(土)
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人文科学研究所 研究発表会 発表者 研究代表者 田尻敦子・今井崇恵
「学校と学問共同体に同時に参加する教育実習の未来像―異文化体験を経て教員をケアする共同体を立ち上げた学生の語り―」
- 2025年1月22日(水)
- 研究報告書の編集会議
東アジア美学史研究
- 代表者
- 河内 利治
今年度も、昨年度に引き続き、「東アジア美学史」という大きな共通テーマを掲げながら、班員それぞれの興味関心に応じた研究を進め、その成果を月例研究会で発表するというかたちで一年間の研究活動を行った。
活動の日程
- 第1回 2024年4月29日(月)
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19:30~21:30(オンライン)
今年度研究計画の打ち合わせ
- 第2回 2024年6月24日(月)
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19:30~21:30(オンライン)
研究発表「白居易の動物救済詩について」(秋谷幸治)
- 第3回 2024年7月29日(月)
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19:30~21:30(オンライン)
研究発表「陶淵明の詩文に見える「真」について~儒家か道家かそれとも道教か~」(三枝秀子)
- 第4回 2024年9月30日(月)
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19:30~21:30(オンライン)
研究発表「連綿論」(承春先)/「「哭」字を有する詩について」(鈴木拓也)
- 第5回 2024年10月28日(月)
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19:30~21:30(オンライン)
研究発表「「書画同源」説について」(陳達明)
- 第6回 2024年11月25日(月)
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19:30~21:30(オンライン)
研究発表「陶淵明詩に見える「真」に纏わる問題-先行研究をもとに-」(三枝秀子)/「『全唐詩』「哭」用例」(鈴木拓也)/「『詩人主客図』にまつわる諸問題」(秋谷幸治)
- 第7回 2024年12月16日(月)
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19:30~21:30(オンライン)
研究発表「〈道〉は会意字か?」(亀澤孝幸)
日本文学における歴史的事象の研究-近代文学の再検討
- 代表者
- 美留町 義雄
活動の内容
本研究班では、明治以降の日本文学を題材にして、近代化にともなう歴史的な変遷に目配りをしつつ、その時代性の中で文学テクストを読み直す作業を行ってきた。基本的には、研究員の専門とする作家を扱い、研究会で口頭発表を行い、質疑を通じて多角的に批評しながら、それぞれの研究を深めるという作業を行った。以下にその成果をまとめる。
5月18日に、大西由紀研究員による口頭発表、「イエローフェイス」をめぐる議論と実践の現在地──《ミカド》の事例を中心に」を行った。白人がアジア人を演じる際の演出上の問題性と、その時代的変遷について理解を深めた。
11月2日に、美留町義雄研究員による口頭発表、「森鷗外とドイツ貴族―『文づかひ』をめぐって」をテーマにして、研究会を実施した。鷗外の『文づかひ』を「宮廷小説」と捉える視点が紹介され、王族の社交や舞踏会など、当時のヨーロッパの貴族文化からの分析が論じられた。
2月9日に催された今年度最後の研究会では、滝口明祥研究員の著書『井伏鱒二 ハナニアラシノタトヘモアルゾ』ミネルヴァ書房(2024年8月)の合評会が行われた。井伏の若き日における性被害が議論の発端となり、そうした彼の危機とその後の作家的営みとの影響関係が話題となった。
活動の日程
- 2024年5月18日(土)
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15:00~17:00(Zoomにてオンライン開催)
大西由紀:「イエローフェイス」をめぐる議論と実践の現在地──《ミカド》の事例を中心に」
- 2024年11月2日(土)
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15:00~17:00(Zoomにてオンライン開催)
美留町義雄:「森鷗外とドイツ貴族―『文づかひ』をめぐって」
- 2025年2月9日(日)
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15:00~17:00 大東文化会館にて
滝口明祥:『井伏鱒二 ハナニアラシノタトヘモアルゾ』合評会
近世絵入り本の研究-『絵入り徒然草』を中心に-
- 代表者
- 德植 俊之
活動の内容
本研究班は、『徒然草』の絵入本を中心に、文学作品がどのように享受されていったのかを多角的に検討し、明らかにすることを目的とする。
本年度は、昨年度に引き続き江戸時代に刊行された『徒然草』の絵入版本を収集・整理しながら、その基礎的データを作成することに注力した。『徒然草』は近世に入って版本が刊行されたことに伴い、読者層を広げていった作品である。江戸時代には、多くの『徒然草』の本や注釈書類が刊行されたが、その中でも絵入本が読者層拡大に大きく寄与したことは疑いない。事実、江戸時代に出版された『絵入徒然草』の種類は、『伊勢物語』と同様に非常に多く、その全貌はいまだつかめていないのが実態である。本研究班では、可能な限り、近世出版の絵入本『徒然草』を収集し、その書誌的データを整理するよう努力した。
また、それと並行して、研究員の小枝駿を中心に、『徒然草』の海外における翻訳の歴史と現況について調査した。その結果は、研究報告会での発表および、『水門』第32号(2025年2月)への論文掲載に結実した。
活動の日程
- 2024年4月27日(土)
- 研究方針について打ち合わせ・研究方法の具体的検討
- 2024年6月22日(土)
- 研究検討会
- 2024年9月7日(土)
- 研究検討会
- 2024年11月30日(木)
- 人文科学研究所研究報告会(小枝駿「『徒然草』翻訳攷 ─近代以降の翻訳書目、研究史を中心に─」)
- 2025年1月21日(火)
- 総括
日本および中国の書の多角的研究
- 代表者
- 髙橋 利郎
活動の内容
2年間の研究期間では、日本書道・書道史、中国書法・書道史に関する多方面にわたる研究を並行して行うこととした。
具体的には、日本班と中国班を作り、次の4つのテーマについて各班が研究を進め、適時研究の進捗状況と成果を交換し合う。
- 日本近世の能書の書的事象の考察を目的に書状を解読する
- 中古から近世にかけての日本の書跡に関する書法的考察
- 中国秦漢時期の書跡を主たる対象に、鐫刻に関する事象の研究を掘り下げる
- 中国の著名な書跡上の諸問題に関する新研究
日本班
山内香雪編『名家手簡』の翻刻を中心とすることと定め、日本班研究員がそれぞれに今期の担当箇所の作業に当たることにした。逐次翻刻を進めている。
中国班
本年度の中国班は、来年度末の研究成果刊行を目標に、それぞれの関心にしたがって研究テーマを模索し、逐次研究を進めることとなった。中国班研究員の研究対象は以下のとおりである。なお、中国班班長は澤田が務めた。
安藤:秦漢石刻 小西:前漢骨簽 権田:篆刻 澤田:碑帖校勘 中村:宋代書法 栗:璽印篆刻
活動の日程
- 日本班
- 2024年6月18日(水)
- 研究員間のメールで今年度の方針を相談
- 2024年6月29日(土)
- 研究員の当面の担当箇所を共有
- 中国班
- 2024年4月26日(金)
- 研究員間のメールで今年度の研究方針を相談
- 2024年5月12日(日)
- 研究員間のメールで今年度の研究方針を共有
- 2024年6月15日(土)
- 『人文科学』誌への投稿希望の問い合わせ
- 2024年7月6日(土)
- 栗躍崇の『人文科学』誌投稿希望を代表に連絡、栗の投稿を決定
- 2024年8月1日(木)~10日(土)
- 研究員間のメール(栗は来日)による研究状況を共有
- 2025年2月9日(日)~16日(日)
- 研究員間でメールによる研究状況を共有