Report

研究報告会

令和5年度秋季「研究班報告会」

日時

令和5(2023)年12月2日(土)13:00~

会場

オンライン( Zoom ) 開催

報告1 13:05~13:35

題目

虞世南「孔子廟堂碑」三井本中の〈描〉の内容

「中国書跡の鐫刻鉤摹研究」研究班

報告者

澤田 雅弘

初唐の孔子廟堂碑(虞世南の撰幷書)は、内剛外柔の楷書の傑作ながら、原石は建立後ほどなく火災で毀れ、則天武后の時の重刻も唐末に亡逸し、いまでは後世の摹刻本が伝わるだけである。また原石の字跡をうかがうことのできる拓は三井本 (李宗瀚旧蔵)のみであるが、それさえも半ばは陝西本の旧拓で補填されている。翁方綱は同本について、原石と摹刻を弁別し、原石拓に施された後世の「描」をも指摘するなど、孔子廟堂碑の字跡研究に大きな足跡を残し、同碑の知見はいまも翁方綱の偉業に依存する状態で、その検証はなされていない。本報告では、翁方綱が「描」と指摘する記述を総合したうえで、当該字について「描」の内容を具体的に考察する。

報告2 13:40~14:10

題目

唐代における『老子』解釈の概況について

「中国三教と景教の相互交渉」研究班

報告者

髙橋 睦美

『老子』に関しては、早くは漢代から多くの注釈が書かれてきたことが知られている。現存する古いものとしては河上公注・王弼注があるが、これらの扱いについて、唐代に問題となったことがあった。それは、唐玄宗による『老子』御注・御疏撰述に先立つ出来事であり、その経緯を詳しく見ることで、その当時の『老子』理解の傾向や、玄宗御注・御疏撰述における思想的な方向性などについても考えるヒントとなりうると考える。御注・御疏完成前後の『老子』解釈を広く見渡すことにより、当時の『老子』に関わる思想的状況を概観するとともに、その中で書かれた玄宗御注・御疏の位置づけについて改めて考察してみたい。

 

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