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平成24年度冬季「研究班報告会」

日時
平成25(2013)年2月23日(土)13:30~
会場
大東文化大学 板橋校舎 2号館2階2-0221会議室 ※聴講自由

所長挨拶

「言語学と文献学」班 (13:40~14:10)

題目
「時(トキ)のヤヌス(Janus)は何處を見る―時間概念と言語表現を考える―」
報告者
猪股 謙二
梗概
F. de Saussure以来の一般言語学の歴史でも時間概念と言語表現を正面に据えて取り組んだ研究は余りなされていない。人間は「如何に時(トキ)の流転を捉え言語表現化するか」という問題は有限な存在である我々にとって重要課題であるにも係らず未だ「Sapir-Whorfの仮説」を超えていない。今回は時制(Tense)概念を例にふたつの目をもつ神ヤヌスの視点を模索して時間概念の言語化を考察する。

「日本前近代における信仰と地域社会」班 (14:15~14:45)

題目
「岩殿・南新井の旗塚について」
報告者
磯貝 富士男
梗概
南新井とは、本学東松山キャンパスが所在する辺りの小字名で、“旗塚”はそのはずれに列立していた小塚のことである。今まで、聞き書きや現状の地理的調査、『武蔵志』や『新編武蔵風土記稿』等近世の地誌類の記録や他地域の事例の調査、この地域に関する中世史料の収集などの作業を行ってきたが、本年度はそのまとめを行い、これら旗塚が、南北長期の貞治2(1363)年8月の「岩殿合戦」の呼称で知られる戦闘における勝者側の戦死者が葬られた墓であることを明らかにした。

「東アジアの美学研究」班 (15:00~15:30)

題目
「鎌倉時代における中国書論受容の一端」
報告者
橋本 貴朗
梗概
似絵研究の資料として知られる「似絵詞」は三国・呉の八絶に準じて当代の名手を論じたものであるが、その「似絵」項については北宋の類書『太平御覧』が主な典拠と判明している。本報告では「似絵詞」のうち「能書」項に着目して、その典拠と内容について検討を行い、関連する藤原定家『明月記』の記述にも考察を加えたい。

「中国古代における正史の展開」班 (15:35~16:05)

題目
「蜀漢政権の国際関係-諸葛亮の北伐を中心に」
報告者
渡邉 義浩
梗概
中国三世紀の蜀漢の丞相である諸葛亮の北伐は、直接、長安・洛陽を攻めるものではなく、涼州を拠点として長安を目指すものであった。そのために、涼州の背後にあたる西域の異民族にかけた積極的な外交攻勢を考察する。