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平成25年度 座談会

日時
平成26(2014)年3月7日(金)※聴講自由
講 演 13:00~15:00
座談会 15:00~15:40
会場
板橋校舎 2号館2階2-0220会議室

2名の講師をお招きし、それぞれに講演をいただいたのちに、座談会に移行します。座談会は、2人の講師を通じて人文科学の他領域の情報を得ながら、共同研究体制のありかたのヒントにし、共同研究の活性につなげようとするものです。専門を越えて活発に座談いたしたく、ご参加をお待ちしております。

東京大学東洋文化研究所 板倉 聖哲 教授

題目
「東山御物」とは何だったのか?
梗概
足利将軍家コレクション、東山御物は、当時の中国趣味における象徴的存在であるばかりでなく、日本におけるその後の中国美術鑑賞の趣向を決定づけるものであった。今秋(10月4日~11月24日)、東京の三井記念美術館では「東山御物の美―足利将軍家の至宝」展を開催する。発表者は企画委員として参加しているが、ここでは実際に出陳が予定される作品を中心に具体的な作品を見ながら、そのコレクションとしての特徴を明らかにする。主として絵画と工芸で構成されるが、絵画は「宋元画」が中心となっており、日本にしか伝存しない画家のものも複数含まれている。近年新たに見出されたものや再発見されたものも紹介したい。その上で、東アジア美術のコレクション史の中で位置付けることを試みる。

東京大学大学院人文社会系研究科 大西 克也 教授

題目
戦国秦漢漢字研究の現在
梗概
1970年代の馬王堆帛書、睡虎地秦簡の出土を皮切りとして、近年の郭店楚簡、上海博物館蔵楚簡の公表に至るまで、この半世紀近くに相次いだ戦国秦漢期の出土文字資料の著しい蓄積は、秦の文字統一を挟む漢字の一大変動期に関する知見を一変させたと言っても過言ではない。中でも文字統一の本質が、字形の統一のみならず、公的文書における文字遣いの統一を中心とするも内容であることが判明したのは大きな成果の一つである。その一方で考古学的発掘によらない「骨董」資料の増加は、漢字研究に大きな影を落としている。本講演では出土資料の内容を概観しつつ、用字研究の現況と問題点を取り上げたい。