Information

所長からのごあいさつ

社会はあるか

「社会など存在しない。あるのは個人とその家族だけだ」といったのは英国の故サッチャー元首相で、新自由主義と個人主義を推し進めました(1987年)。一方、新型コロナウイルスに感染して自己隔離中だったジョンソン首相は、英国をコロナ禍から守るために退職した医師や薬剤師らに復職を呼びかけました。2万人が応じました。さらに75万人もの市民がボランティアに名乗りを上げました。その時の国の党首によって「社会」はあったりなかったりします。一体、「社会」とはなんでしょうか? 

一般には、ある国の人たち「国民」が暮らしている生活組織を「社会」といっています。そこには、政治も、経済も、外交も、教育も、すべて関係しています。これらの日常の生活にとって必要な物事はすべてその国の人たちが自由に話合って決めることが出来ます。これを民主主義と言います。また、一部の権力者だけですべてを決めるのを独裁主義と言います。これもまた社会です。社会は国民の望むことを実現する仕組みになっています。民主主義の社会では、国民の選挙で選ばれた人たち「国会議員」が国を運営するのです。でも、世の中余り政治に興味がない人たちもいます。いまの自分の生活がある程度満足するものであらばそれでいいとするのです。この人たちを「大衆」といいます。社会には「国民」であると同時に「大衆」でもある人たちが共存しています。

社会について大事なのは、社会には、政府も、国民も、企業も、大学などの教育機関も、その国のすべての人たちや組織が所属しています。従って、この人たちや組織が活躍する社会は、なんらかの問題を抱えていて、それを解決しようとして、新しい組織を作って問題解決をはかり、社会がさらに立派に成長します。そこから、当然、大きな利益が出ます。これは参加した人と組織のものです。この利益を甘受するのは「ステークホルダー(利害関係者)」です。そこには、当然、個人としての国民も含まれます。優れた社会は、多くのステークホルダーを生みます。社会改革に参加している人はすべて、経営者も、労働者も、生活者も、婦人も、学生・生徒も、すべてステークホルダーとして利益配分を受けることが出来ます。社会を良くして、利益の受容者にもなるのです。そういった「社会」もあるのです。

この社会学研究所では、幅広く「社会」について、国民であり大衆である私たちの生活に、大きく影響を与える日々の世の中の出来事をとりあげて具体的に考えていきたいと思います。

社会学研究所所長
鶴田佳史