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2020(令和2)年度「研究報告会」を2020年11月28日(土)に開催します。

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 今年度は新型コロナウィルス感染拡大防止のため、Web会議システム(ZOOM)に定例の人文科学研究所報告会を開催いたします。研究班員以外にも聴講を可としております。

希望される方は、①所属、②氏名、③メールアドレスをご記入の上、人文科学研究所(jinbunken@ic.daito.ac.jp)まで申し込みください。後日招待リンクをお送りいたします。

日時

2020(令和2)年11月28日(土)13:00~

会場

オンライン研究報告会(ZOOMにて開催)

開会の挨拶 13:00~13:05

報告1 13:05~13:05

題目

太宰治「女生徒」と豊田正子『綴方教室』―戦時下における女生徒と女工

報告者

滝口 明祥日本文学における歴史的事象の研究班(代表:美留町 義雄)

研究発表内容

 太宰治の「女生徒」は、1939年に発表され、文壇における太宰治に対する評価を一変させた作品である。
現在においても、それが十代の心情を描いた普遍的な価値を持った作品であると評されることも多い。
だが忘れてはならないのは、この作品が発表された時代において、女学校に通える層というのはきわめて限られていたことだ。
 この作品は、太宰の愛読者である有明淑から送られてきた日記をもとにしているが、その日記が書かれていた時期のベストセラーの一つは豊田正子『綴方教室』であった。
実は有明淑と豊田正子は同世代と言っていいが、両者の境遇は全く異なる。
 今回は、その両者の関係を読み解きながら、有明の日記が「女生徒」へと変貌を遂げるまでの改変と発表の力学について考えてみたい。

報告2 13:35~14:05

題目

地域の実践共同体へ参加する総合的な学習の時間の理念と評価
~子ども達の対話をもとに学びを深める教育方法の実践~

報告者

田尻 敦子/地域文化と教育実践研究班(代表:厚 香苗)

研究発表内容

 総合的な学習の時間は、2000年から段階的に導入され、2017年に学習指導要領が改訂された。今回の改定の趣旨のひとつが「探究的な学習の過程を一層重視」している点である。文部科学省(2018)によれば、「特に、探究的な学習を実現するため、『①課題の設定→情報の収集→整理・分析→まとめ・表現』の探求のプロセスを明示し、学習活動を発展的に繰り返していくことを重視してきた[文部科学省,2018,p5]」。
 この探求的な学習は、大学での論文執筆等にもつながる実践である。OECDによる総合的な学習の時間に対する評価や課題を整理した上で、インタビューや実践事例等をもとに、状況的学習論の視点を用いて地域に参加する学びのあり方を考察する

報告3 14:05~14:35

題目

「〈⿲彳人亍〉字の研究」

報告者

亀澤 孝幸/東アジアの美学研究班(代表:河内 利治)

研究発表内容

 十字路をあらわす〈行〉と〈人〉とを組合せた〈⿲彳人亍〉という構成の字が殷の甲骨文に多数見える。同字は春秋戦国時代の秦の《石鼓文》に二例あることが古くから知られていたが、なぜか西周金文には見えない。この字をどう釈すべきか、清末民初以降の学者のあいだで見解が分かれてきた。
 近年、戦国時代から秦漢三国にいたる簡牘(竹簡・木牘)があいついで出土し、戦国時代の楚簡などに〈⿲彳人亍〉字が多数見られることがあきらかになった。また、近出の春秋時代の秦の金文に一例あることがわかった。
 歴代の文字資料に見える〈⿲彳人亍〉字例を集めて整理するとともに、文献資料をまじえて同字の謎に迫りたい。

報告4 14:35~15:05

題目

「ウェルシュ・エール」(Welsh Ale)とは何か―
アングロサクソン人社会の中で継続したブリトン人文化についての試論

 

報告者

小池 剛志/言語学・文献学研究班(代表:猪股 謙二)

研究発表内容

 アングロサクソン時代の先住民族である古代ブリトン人は、アングロサクソン人と従属する形であっても共存し続け、次第に文化的、言語的に同化していったとする見方が一般的である。古代ブリトン人を指す古英語の名称 wealhや形容詞形のwylisch(Welsh)の古英語文献の中での使われ方を検証することで、アングロサクソン人社会でのブリトン人の在り方を垣間見ることができる。本発表では、Welsh Aleと呼ばれる飲料に言及しているピーターバラ土地譲渡証(Charter)を資料とし、Welsh Aleが少なくともこの文献ではブリトン人文化の一要素としてのエールを指していること、またピーターバラ周辺にブリトン語を話すブリトン語共同体が存在した可能性があることを論じてみたい。

閉会の辞 15:05~15:10