教育その他
2020.12.11
コロナ禍、SDGs…身近な疑問に迫る「経済学」。経済学部のまんなか、「演習成果発表会」レポート
経済学部のカリキュラムで2年次と3年次に配当されている「専門演習I、II」。
4年間の「まんなか」に位置するこの演習科目の成果を発表するのが、経済学部の「演習成果発表会」です。
今年度の演習成果発表会が、2020年12月5日(土)に板橋校舎にて行われました。
あなたの身近な問題を考察する「経済学」。興味深いテーマがぞくぞく登場!
「Go To キャンペーン、賛否両論だけど、経済効果としてはどの程度あったの?」
「バイトテロは実際どう企業に影響を与えるんだろう。」
「コロナ禍での転売対策、有効に働いたのかな?」
日々のニュースを見ながら、そんなことを誰もが疑問に思ったことがあるのではないでしょうか。
発表者のみなさんもきっかけは同じ。ネットやTV、新聞で目にする事象や意見に関心をもち、先行研究を調べる中で「本当にそう言えるのか」「先行研究に新しいデータを加えて考えることが必要なのでは」と研究をスタートしていました。
いずれの研究テーマも社会への関心や生活の中の問題意識から生まれており、経済学の万人に対する身近さ・自分自身の生活と切っても切れない学びであることをと改めて感じました。
各グループの発表内容は次の通りです。
ゼミ名 | チーム代表者 | タイトル | ゼミ名 | チーム代表者 | タイトル |
高安ゼミ | 須釜 晴 | なぜ!?服の大量廃棄問題 | 津布久ゼミ | 佐々木琉斗 | 訪日外国人が日本酒消費量に与える影響 |
石井ゼミ | 直井美穂 | PRICE DIFFERENCE~江戸時代から続く地域価格差が生じる理由はナニ?!~ | 布袋ゼミ | 渋谷 一生 | 外国人旅行客が宿泊業の生産性に及ぼす影響 |
中島ゼミ | 向田 柊生 | 学生アルバイトとコロナ禍 | 菅野ゼミ | 佐藤大斗 | オリンピックのメダル数とGDPの関係について |
岡田ゼミ | 栩内奏将 | ナッジが消毒液の消費量に影響する!? ~大東文化大学のフィールド実験より~ | 郡司ゼミ | 山口智輝 | 貸出と景気の関係性 |
菅野ゼミ | 森一樹 | 廃プラスチックが与える経済効果と環境問題 | 津布久ゼミ | 長谷川徹 | 女性活躍社会の今後 |
池田ゼミ | 飯島茜 | セブンイレブンの経営戦略 | 布袋ゼミ | 寺平拓未 | 最低賃金が生産性に及ぼす影響 |
高安ゼミ | 吉田叶夢 | Go Toキャンペーンの経済効果 | 古屋ゼミ | 佐藤充 | インターネット通販の拡大が物価に与える影響 |
石井ゼミ | 松本透 | 新型コロナウィルスと観光業 | 郡司ゼミ | 櫻井大輝 | バイトテロが株価へ与える影響 |
高安ゼミ | 山田 麗 | タピオカと経済の関係 | 岩木ゼミ | 田中亮圭 | キャッシュレス化はこの先日本経済をどのように変遷させていくか |
石井ゼミ | 中村太一 | よみうりランドの経営から見る―遊園地は衰退産業なのか― | 池田ゼミ | 田中 大空 | 企業の社会的責任 |
津布久ゼミ | 高屋純平 | 若者の車離れから考える意識の変化 | 岡田ゼミ | 忍田桂吾 | 感じたままに漢字間違い探しを使ってみたかんじ -実験室実験にて集中力に関する研究 |
中島ゼミ | 秋元 拓夢 | 動画配信はなぜ人気なのか | 土橋ゼミ | 田上 史弥 | スマートフォンの普及がテレビに与える影響 |
高安ゼミ | 諏訪智哉 | コロナウイルスによるテーマパークへの影響 | 岩木ゼミ | 佐藤 正明 | コロナ前後の株式市場の動向と効率性に対する調査、考察 |
石井ゼミ | 岡田透弥 | 観光から見るコロナ政策 | 岡田ゼミ | 髙橋優斗 | 若者の一日を選挙でデザイン |
中島ゼミ | 藤原融哉 | コロナ禍と日本の医療体制 | 土橋ゼミ | 加藤 柊也 | 転売対策の有効性についてのゲーム理論分析 |
郡司ゼミ | 佐藤洸輔 | 新型コロナウイルス感染拡大による貯蓄率への影響 |
今年は特に、会自体も大きな影響を受けた、新型コロナウイルス感染症に関わるテーマが多く取り上げられていました。
また、それ以外にも「江戸時代、地域価格差はなぜ生じたのか?」に迫るもの(石井寿美世ゼミ(代表 直井美穂さん)「PRICE DIFFERENCE~江戸時代から続く地域価格差が生じる理由はナニ?!~」
)や、「手指の消毒を促すためにどのような仕掛けをしたら効果的なのか?」という疑問をきっかけに実際に大学構内で実験を行ったもの(岡田ゼミ(代表 栩内奏将さん)「ナッジが消毒液の消費量に影響する!? ~大東文化大学のフィールド実験より~」)「オリンピックのメダル数とGDPの関係」(菅野ゼミ (代表 佐藤大斗)「オリンピックのメダル数とGDPの関係について」 )、「若者の投票率を上げるためにどのような仕組みが考えられるか」(岡田ゼミ (代表 髙橋優斗さん) 「若者の一日を選挙でデザイン」)など、経済学の手法を用いた幅広い研究成果が発表されました。
文学部や法学部、国際関係学部、経営学部、スポーツ・健康科学部、社会学部など、それぞれのテーマに関連する他学部の学生さんも発表に接することで、新しい発見や知識の広がりが生まれるのではないでしょうか。
今後ぜひそのような「CROSS」も期待したいところです!
栄えある最優秀賞に選ばれたのは・・・!?
31組の発表者のうち、最優秀賞に選ばれたのは
新型コロナウイルス感染症による自粛が家計に及ぼした影響を、地域による自粛期間の違いに着目して分析・考察した、
K26郡司ゼミ:代表 佐藤洸輔さん「新型コロナウイルス感染拡大による貯蓄率への影響」でした。
その他の結果は以下の通り。
表彰内容 | ゼミ名 | チーム代表者 | タイトル |
優秀賞 | 岡田ゼミ | 栩内奏将 | ナッジが消毒液の消費量に影響する!? ~大東文化大学のフィールド実験より~ |
優秀賞 | 郡司ゼミ | 櫻井大輝 | バイトテロが株価へ与える影響 |
奨励賞 | 津布久ゼミ | 高屋純平 | 若者の車離れから考える意識の変化 |
奨励賞 | 古屋ゼミ | 佐藤充 | インターネット通販の拡大が物価に与える影響 |
奨励賞 | 郡司ゼミ | 山口智輝 | 貸出と景気の関係性 |
奨励賞 | 岩木ゼミ | 佐藤 正明 | コロナ前後の株式市場の動向と効率性に対する調査、考察 |
敢闘賞 | 石井ゼミ | 直井美穂 | PRICE DIFFERENCE~江戸時代から続く地域価格差が生じる理由はナニ?!~ |
敢闘賞 | 土橋ゼミ | 加藤 柊也 | 転売対策の有効性についてのゲーム理論分析 |
敢闘賞 | 津布久ゼミ | 佐々木琉斗 | 訪日外国人が日本酒消費量に与える影響 |
敢闘賞 | 岡田ゼミ | 忍田桂吾 | 感じたままに漢字間違い探しを使ってみたかんじ -実験室実験にて集中力に関する研究 |
敢闘賞 | 布袋ゼミ | 寺平拓未 | 最低賃金が生産性に及ぼす影響 |
プレゼン賞 | 石井ゼミ | 岡田透弥 | 観光から見るコロナ政策 |
プレゼン賞 | 岡田ゼミ | 髙橋優斗 | 若者の一日を選挙でデザイン |
2年生特別賞 | 中島ゼミ | 秋元 拓夢 | 動画配信はなぜ人気なのか |
演習成果発表会 実行委員会委員長 岩木先生に今年度の演習成果発表会について伺いました!
Q1.今年はコロナ禍での開催ということで、準備など大変なご苦労をされたことと思います。
manabaを利用した準備活動や、Zoomを利用して、密を避けた発表会の運営など、今後の学内での学会や発表会などの一つのモデルになるかと思いますが、工夫されたこと・大変だったことなどお聞かせください。
----演習成果発表会 実行委員会委員長 岩木 宏道先生(現代経済学科 講師)(以下岩木委員長)
まず、本年度の発表会の運営方針として「極力WEB で対応できることは WEB で行い、会場への入場者は必要最低限度の参加者に限定する」を掲げ、これまでの工程を少人数の委員でいかに効率的に運営するかという点に注力しました。
当該コンセプトは委員内共有することはもちろん、早期に学部内で合意形成をし、その後参加学生向け資料でも記載するなどしてすべての関係者が同じ目線で発表会に向き合うことを意識しました。
具体的な対応例としては、対学生において今まで学生を直接集めて情報伝達してきたことを止め、様々な情報発信のみならず提出物や個別連絡含むすべての発表会関係事項をmanabaで完結させるようにしました。その結果、対学生においては当日まで紙媒体は一切使わず、対面することも一切なく本番を迎えましたが、意思伝達の点での支障は一切発生しませんでした。
当日の運営に関しては今まで経験したことのないオンラインツールの活用による発表会運営を当初より目指しました。さりとて前例はないため、委員間で実際に何をどうしたらよいのかというところから話し合いを重ね(話し合い自体、ほとんどをWEB会議で行いました)、目標とする発表形態(対面、オンライン、及びその併用)からブレイクダウンして必要機器を選定し、発表会当日以前に実証実験を繰り返しました。
学生や関係するすべての教職員のご協力もあり、結果として全体として予定通りの運営となりました。とはいえ、当日において、選定した機器が予想外に動かない場面があったこと、重要な場面の写真撮影や録画の対応といった人の手に頼る部分で一部対応しきれなかった部分もあったことも事実です。
そのほかにも、最大の課題として大学としての感染症対策に順じた運営をするために、当該対策として具体的に何が必要であるかについて関係各部と調整し進めましたが、最後までこれでよいのか安心できずにいました。事後的に感染のクラスターを発生させてはならいことはもちろんのこと、もしそうなれば学部、大学としての問題にもなりかねず、担当委員としては発表会終了後の現時点でも尚、完全に安心できているわけではありません。
Q2.とても多くの学生がご参加されていますね!今年度の参加状況は例年に比べていかがですか?
----岩木委員長
例年はパネル部門(ボードにポスターを貼って発表する形式)と口頭部門(今回採用した形式でスクリーンに資料を投影して発表する形式)が併存していましたが、今年度は密を避けるために口頭部門に一本化しました。
経済学部では演習を対面で行うことを許容していますが、制約的な環境下であり、さらにはオンラインのみで演習を行うゼミもあるなか、応募するチーム数はかなり少ないものとなることを覚悟していました。
しかし、例年35チーム前後は応募している中で、結果として発表チームは31チームであり、例年とほとんど遜色ない応募数であったことに、担当委員として率直にうれしく思います。
Q3.発表者である学生のみなさんも、大学に来る機会が格段に減った中で、やはり例年と比べてご苦労されたことと思います。先生からご覧になって、準備の仕方など、学生たちの様子はいかがでしたか?
----岩木委員長
これまでの学生はどちらかというとスマートフォンの扱いには慣れていても、パソコンになると途端に右往左往している場合もありました。しかし、オンライン授業が展開されるようになり、ほとんどの学生がパソコンを所有し、あらゆるオンラインツールを容易に扱うようになりました。その結果、WEB上の情報取得能力、リサーチ力、情報処理能力といった点で平均的に格段に上がった印象を受けます。
私のゼミ生に関して言えば、お互いに離れた地域に住む自宅生ばかりでしたので、チーム内でのライブ打ち合わせのほとんどをオンライン上で行い(夜9時から始めることも)、実際の共同作業についてはクラウド上で行うなどして結局準備中は一度も対面で集まることなく本番を迎えました。しかし、彼らはかなり効率的に進めていました。
したがって、一見すると対面でなければ難しいと捉えがちですが、学生側にオンラインに対応した環境が整っていてやり方さえ掴めば準備に支障が生じることはないのだろうと思いました。
Q4.最後に学内外の方に向けて一言お願いいたします。
----岩木委員長
今回参加した学生のやり切った表情に接し、受賞に関係なく出てよかったという声を聞くにつけ、困難な環境下であっても学生らが切磋琢磨して取り組んだ研究を発表する場や機会を委員会として今年も提供できたことにほっとしております。
また、委員としてのミッションとはいえ今回は私個人としても非常に貴重な経験をさせていただきました。
最後になりましたが、当発表会実現に向けてご協力いただいた全ての方々に心より感謝いたします。
ありがとうございました!また来年度も楽しみにしています!