学生取材企画

2023.01.13

【学生取材企画】「令和の発信力を考える」フリーランスWebライター山口恵理香さん講演会開かれる

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2022年11月19日。大東文化大学板橋キャンパスにて「令和の発信力を考える」と題して、webライターやコラムニストなど、幅広い分野でご活躍されている山口恵理香さんをお招きした講演会が開催されました。講演会には、学生取材企画に携わる学生や大学職員の約15名が対面参加し、対面参加が叶わなかった学生はZoomにて参加しました。記事執筆の際に重要にしていることや、良い記事を書くための方法など、第一線で活躍している山口さんから語られる実践的なメソッドに、学生たちは真剣な面持ちで耳を傾けていました。

 

山口恵理香さんのプロフィール

 

1990年 東京都生まれ。
中学生時代 3年間の不登校を経験。
2013年 専修大学法学部を卒業。webライターとして執筆活動をスタート。
2019年7月4日 『不登校だった私が売れっ子Webライターになれた仕事術』(自由国民社)を出版。
2020年8月 おひとりさま会議用紙専門店「Self0」(セルフレイ)を開業。
2020年 最愛の父を亡くし、約2年間死別うつの心と向き合う。
2022年11月24日 『あなたらしく生きるための「ひとり会議」ノート 自分と向き合えば、心は整い、夢は叶う!』(徳間書店)を出版。

「記事を通して“小さなきっかけ”を提供します。」をテーマにしながら、cinq、mer、bis、LITORA、JJnet、CLASSY.ONLINEなど、人気女性向けサイトにて執筆実績が多数。恋愛記事やライフスタイル記事を中心に、月間300記事以上を執筆。社会人経験ゼロ、人脈ゼロの状態から、フリーランスWebライター、コラムニスト、恋愛カウンセラーとして、自由な働き方と暮らしを確立。一番好きな小説は『西の魔女が死んだ』(著:梨木香歩)

 

公式サイト《 ERICA YAMAGUCHI OFFICIAL SITE
公式Instagram《 @erica_yamaguchi
公式Twitter《 @Ericactive811

 

──不登校から、フリーランスwebライターへ

 

私は、14歳の頃に学校でのイジメが原因で医師に適応障害と診断され、中学2年生の頃から学校に行かなくなり、不登校として自宅で日々を過ごすようになりました。そんなある日「自宅と学校以外に私の居場所はないのか。」と考えるようになり、学校に代わって学びの場を提供するフリースクールを知りました。父にフリースクールに行きたいと懇願したところ「学費が二重にかかってしまうから駄目だ。」と反対されてしまいました。でも、どうしてもフリースクールへ行きたかった当時の私は、イジメに遭っていたこと、苦しいこと、辛いことなど、 “わたしの気持ち” を “わたしの言葉” で一冊のノートに表現したんです。その経験が文字を使って、自分の気持ちを他者に伝えるキッカケとなりました。そのノートを受け取った父は、フリースクールに行くことを許してくれて、それ以来、文字を書くことへの抵抗が次第に減っていき、周囲に「筆まめ」と呼ばれるまでになりました。
大学卒業頃に母の「自宅で働けるお仕事なら、自分のペースで仕事を進められるんじゃない?」という何気ない発言から、フリーランスという自由な働き方に憧れを抱き「今の私には、文章を書くことならできるかもしれない!とりあえず始めてみよう!」と考え、フリーランスwebライターという道を選択しました。

 

 

──令和時代のキャリアとは  〜視野を広げて世界をみれば、キャリアが広がる〜

 

自分の将来キャリアを考えてみると、大学を卒業したら就職しないといけない、○○歳までに結婚しないといけない、女性は出産しないといけないといった数多くのキャリアやライフスタイルに関する既成概念が存在していると思うんです。それが、いつの間にか私たちの中に刷り込まれていて、そこから外れないように無理をしながら生きている。だから、その既成概念から少しでも外れてしまうと、苦しくなったり、辛くなったりしてしまう。私も、その苦辛を感じた一人でした。私が忘れられない言葉の1つに「今の世の中、いい子で優しい子は、みんな疲れちゃうんだよ。ここは、そういう優しい子どもたちが疲れたときに休みに来る場所なんだ。少し遠回りをしても、必ず元気になれるから大丈夫だよ。大丈夫だから。」というフリースクールの園長先生の言葉があります。園長先生は、不登校として視野が狭かった当時の私に、フリースクールという居場所を与え、不登校でも入れる高校を紹介してくれて、私の視野を広げてくれました。だからこそ、今の私は、フリーランスとして働こう!起業してみよう!と、既成概念から堂々と外れる自分に、自信を持てています。皆さんも、視野を広げて世界をみることで、既成概念に囚われることなく、あなたらしいキャリアや、これからの令和に適したライフスタイルを獲得できると思います。

 

──記事執筆で重要なこと① 〜普段の経験こそ “あなたの言葉” になる 〜

私は、記事を執筆する際に自分の感性や直感を最も大切にしています。私が主に執筆している恋愛記事ジャンルでは、一人が悩んでいることは他の人も同様に悩んでいたり、疑問を抱いていることが多いので、普段から人間観察をしたり、日々の経験の中で感じる些細な感情や気持ちを記録し、“わたしの言葉” で表現することを大切にしています。最近は「バズる」という言葉が流行っていますが、私はバズることを狙っていません。タイトルの引きや、キーワードばかりを重視してバズらせることよりも、一人でも多くの読者に共感していただける記事執筆を心がけています。爆発的にPV(ページビュー)数が増加するわけでは無いですが、自分の経験や生き方が含まれた “わたしの言葉” で表現するからこそ、“わたしの言葉” にファンがついてくださり、長期目線でPV数が増加し、結果としてクライアントにも満足していただけています。“あなたの言葉“ で、あなたにしか書けない記事を目指して欲しいです。

 

──記事執筆で重要なこと②  〜見えない努力が、記事に空気として含まれる〜

 

私が書籍化した「ひとり会議」とは、自分がライターとしてどのような立場なのか。記事化しようとするネタをどのような角度から表現すれば良いのか。対象とする読者の性別、年齢、役職などを、ひとりで考える。という一見すると生産性がなく、公開される記事では見えない努力です。しかし、その過程は記事の中に空気として含まれていて、読者に届いている実感があります。ライターというと、書くことばかりに注目してしまいがちですが、その手前で考える時間こそが、最もクリエイティブな時間なんです。そんな時間を大切にして欲しく思います。

 


──記事執筆で重要なこと③  〜あえて、100点を目指さない〜

 

記事執筆の際に100点を目指さないことも、webライターという仕事をする上で大切なことだと考えています。記事が公開されるまでには、クライアントである編集者さんのチェックが入るんです。先程も述べましたが、私には私の経験や感性があって、“わたしの言葉” がある。編集者さんには編集者さんの経験や感性があって、編集者さんの言葉がある。心苦しくはありますが、クライアントである編集者さんの意向に沿った形で記事を執筆しなければいけない場面が多々発生します。そんなときに、自分よがりの100点を貫き通そうとすると、仕事として成り立たなくなってしまうので、100点を目指すのではなく、編集者さんなどの意見や意向を取り入れる余地を自分の中に残しておくことも、記事執筆におけるポイントかなと思います。

 


──記事執筆で重要なこと④ 〜最適な文字数〜

 

web記事の最適な文字数は、短いもので1,500文字。長いもので3,000~5,000文字と言われています。ですが、中身がない文章を書き連ねて文字数を増やしても、飛ばし読みをされてしまえば意味がないですし、簡略化し過ぎて読者の興味を引けない記事になっても意味がありません。文字数はあくまでも目安にしながら、記事内容やテーマに合った文量にすることが重要です。

 


──記事執筆で重要なこと⑤  〜タイトル決めと、SEO対策〜

 

多くの人に読んでもらえる記事を執筆するうえで、タイトル決めは重要です。近年は、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで、あるキーワードが検索された際に、自分の記事が上位に表示されるようにするSEO(検索エンジン最適化)対策のテクニックもwebライターに求められています。単純に引きが良いと考えてタイトル決めをするのではなく、競合となるサイトや、ライターがどのような言葉を選択してタイトルを付けているのかを調査しながら、感覚だけでなく、知識や技術を習得することも必要です。

 

──モチベーションの保ち方①  〜ひたすら書いて、好きになる〜

記事を書くモチベーションを維持するためには、まず書くことを好きになってみることが大切だと思います。私はwebライターの仕事を続けるからには、他のライターより多く書くのはもちろん、1日たりとも休まずに書き続けることが大前提だと思い、365日1日1本以上の記事を書き続けています。たとえ質が悪かったとしても書き続けていると、自然と言葉の紡ぎ方が出来上がっていきます。その執筆感覚が鈍らないように、どんな用事があるときでも、必ず書く時間を設けています。ですので、皆さんも、まずは書き始めてみて、書くことを好きになってほしいと思います。

 

──モチベーションの保ち方②  〜目標設定〜

 

また、目標を設定することも大切にしています。webライターを始めた頃の私は、昔から本が好きだったこともあり、自分の書籍を出版することを最大の目標に掲げました。その目標の通過点となる規模が小さいお仕事でも、全身全霊で取り組んできました。そうすると、最終目標達成までの道筋が鮮明になってくるので、そこから逆算して考えていくと、今に全力を注げるようになり、モチベーションの上がり下がりが減ると思います。

 


──モチベーションの保ち方③  〜私がこの世界から居なくなっても、社会は回る。でも…、〜

 

目の前にある事に全身全霊で取り組めるようになったのは、最愛の父がガンに罹患したことがキッカケでした。私の父はガンになったときに、会社から容赦なくクビにされたんです。そのときに、娘の私は「私がこの世界から居なくなっても、社会は回り続けるんだ…。」と、強い脱力感を感じました。でも、逆に言えば「今生きているなら、今に全力を尽くそう!」とも思えたんです。相反する考えなんですけど、死を身近に感じることができたからこそ、いま目の前にある事に全身全霊で取り組むことが、いまを生きるということなのかなと思っています!

 

──良い記事を執筆するために実践していること  〜書店は、パワースポット〜

良い記事を書く大前提として、自分で何度も読み返して、子どもが読んでも分かるくらい突っかかりのない文章であるかを重視しています。そのうえで、読者に共感してもらえるネタを引っ張ってくることが大切です。私は、そのようなネタを集めるために、最新の情報が詰まっている書店に足を運び、流行などの市場調査を行い、時代傾向やトレンドを把握するようにしています。書店は、私にとっては、神社よりも強力なパワースポットなんです。本や雑誌を何気なく眺めていても、今の自分に適した言葉が自然と視界に入ってくる。まるで神様からのお告げのように感じるんです。場合によっては、新たなビジネスアイデアまで降りてくることさえあります。Webライターというと、デジタルな仕事と思われがちですが、私はアナログな現実世界にこそ、人々の共感の種があると考えています。それを見つけるためにも、書店は有効的な手段だと思います。

 

──記事執筆の手が止まったときの対処法

 

私は、記事の納期内で少し時間を置くようにしています。その時間で、カフェに行ってみるなど環境を変えることで、記事執筆のモチベーションが上がってくるのを待ちます。そうすると、気分がリフレシュされて「書けるかも!」という瞬間が訪れるので、その瞬間が来るまで待つ。という対処法を行っています。

 


──学生取材企画の学生たちに、ひとこと  〜衝突を防ぐ “調整役” という緩衝材〜

 

学生取材企画は、チームで記事執筆をしているからこそ、チーム内で意見衝突が発生していると伺いました。私も大学時代に防災サークルに所属していたのですが、個性が強いメンバーばかりだったので、メンバー同士の衝突が日常茶飯事でした。各々の不平不満が正面衝突してしまうと、感情的になってしまい、伝えたいことが伝わらないばかりか、過剰な言い争いに発展してしまいます。そうならないために、私はサークル内の “調整役” として、メンバーが冷静なときに意見や不平不満を集約し、指示系統の中継地点としての役割を担っていました。チームとして活動するからには、調整役という緩衝材を活用しながら、みんなが冷静になってチームの方向性を考えることが大切だと思います。加えて、メンバーひとりひとりが「私はこのチームの一員である。」ことを自覚し、所属しているチーム内で果たせる役割を常に考えながら活動することも大切だと思います。
記事を書くことは難しいし、自分の想いを外に表現することは怖いと思います。でも、しっかりと想いを発信すると仕事の幅が広がり、自分の生き方を認めてくれる人が増えていきます。その先に新しい出逢いが待っていると思うので、これからも書くことに力を入れ続けていただきたいです。

 

山口恵理香さん。
このたびは、ご講演ありがとうございました。(編集者一同)

 

※本記事は100周年記念プロジェクトを学生が取材、発信していく「学生取材企画」によるものです。

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