多文化共生研究

2024.01.11

大東文化大学100周年記念シンポジウム2≪ジェンダーと身体―「帝国」を再考する―≫開催のお知らせ

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趣旨

 西洋文化偏重傾向が強まっていた大正時代、漢学を中心とした東洋文化の振興を図ろうとする「漢学振興ニ関スル建議案」(木下成太郎)が帝国議会で可決された。これを受けて1923年に設立されたのが、大東文化大学の前身大東文化学院である。そこには帝国的な思惑が透けて見える。

 創立100周年を迎えた本年度、大東文化大学100周年記念プロジェクト「多文化共生又は社会における多様性に関する総合研究」研究会では、海外から2名のゲストスピーカーを迎え、100周年記念シンポジウム第2弾として「ジェンダーと身体」を切り口に「帝国」を再考する。

 

タイトル

大東文化大学100周年記念シンポジウム2≪ジェンダーと身体―「帝国」を再考する―≫

 

日時

2024年2月17日(土)10:00~17:00

 

場所

■大東文化会館
〒175-0083 東京都板橋区徳丸2丁目4−21

■ZOOM ウェビナー

 

参加申し込み

申し込み締切:2月15日(木) お申込みは締切ました

 

プログラム

第1部
10:00~10:05 学長挨拶
10:05~10:10 趣旨説明
10:10~10:50 春日芳美(大東文化大学)
「健康的であることは美しいか?―明治期日本の体操とスポーツ」
10:50~11:30 金湘斌(高雄師範大学)
「日本植民地統治前期の台湾における学校女子体育の変容」
11:40~12:00 コメント 山口みどり(大東文化大学)
12:10~13:00頃 全体討論
第2部
14:00~14:40 井上浩子(大東文化大学)
「ネイション構築のなかの女性 ―東ティモールにおける DV禁止と堕胎禁止をめぐって」
14:40~15:30 ルーシー・デラップ(ケンブリッジ大学)
「20世紀後半イギリスにおけるポストコロニアル・フェミニズムとグローバルサウスの女性たち」(同時通訳付)
15:50~16:10 コメント 後藤絵美(東京外国語大学)
16:20~17:00 全体討論
司会:吉永圭(大東文化大学)

 

報告要旨

■春日芳美「健康的であることは美しいか?―明治期日本の体操とスポーツ」

 近代教育として明治期に日本に取り入れられた体育は、「体操」という科目名称で学校教育に定着した。中等教育段階における女子体育も、日本人の身体の改善という目的のもと重視されるようになったが、進学することのできる上流・中流家庭の子女に対して体操を指導することには大きな困難が伴った。それは、体操を行うことによる姿勢や体格の「改善」が当時の作法や価値観に照らして女学生の女性らしさを奪うと捉えられたことや、屋外で運動することによる日焼け、運動に適した服装の模索段階であったことによる問題など様々であった。特に、新しい価値観であったHealthの翻訳語としての「健康」が、当時の美人観に反する部分を多く含んでいたという点が女子体育の普及を阻害した。女子体育振興のために、知識人たちがどのように「健康」と「美」を論じていったのかを検討したい。

 

■金湘斌「日本植民統治前期の台湾における学校女子体育の変容」

 台湾で日本による植民統治が行われていた時期に、植民地政府が女子教育を導入した。その当初、旧社会の習慣と近代教育との間に価値観の対立が生じ、特に体育の授業でいくつかの問題が浮上してきた。当時、台湾では中国の纏足という風習が社会に浸透し、女性の小さい足は美の象徴であった。学校で教育を受けることができる女性のほとんどが纏足の女性であり、彼女らは立つことさえ難しく、まして歩いたり、走ったり、飛び跳ねたりすることは不可能であった。そのような状況にあって、纏足世代の女性たちは植民地政府が行う新教育内容に対して、どのように対応してきたのだろうか。統治の初期、纏足の風習は女子体育の導入において大きな障害となっていたが、纏足の風習を否定し纏足を解く解纏足運動が順調に広まり、植民地学校教育者たちの長年の模索、及び実験や経験を経て、徐々に纏足問題の克服に至った。また、女性の「足」の変化(纏足世代→解纏足世代→天然足世代)は学校女子体育の発展に大きな影響をもたらし、台湾人女生徒は次第に遊戯、体操、スポーツ競技に参加できるようになった。このような展開は台湾人女性の身体解放を意味し、新しい時代の始まりということができる。しかし同時に、彼女たちは植民統治者が求める帝国の新女性像に当てはめられるようになった。

 

■井上浩子「ネイション構築のなかの女性―東ティモールにおけるDV禁止と堕胎禁止をめぐって」

 東ティモールでは2000年代を通してDV禁止と堕胎禁止の法制化が議論された。東ティモールのジェンダー秩序、その中での女性の身体の位置づけに関わるこの議論は、東ティモール文化とは何かという議論とも密接に結びついていた。16世紀以来、長期にわたり外部勢力の支配のもとに置かれてきた東ティモールでは、「東ティモール文化」を擁護し、「東ティモール人」の独自性・自立性を明らかにすることは、あらゆる国内アクターにとって重要事項であり続けてきた。本報告では、女性運動、政治指導者、宗教指導者の他、国連機関や外国NGOを含む国際アクターなどがDV禁止と堕胎禁止をめぐってどのような議論を展開したのか、その背景にはどのような理念・利害があったのかを読み解いていく。

 

■ルーシー・デラップ「20世紀後半イギリスにおけるポストコロニアル・フェミニズムとグローバルサウスの女性たち」

 近年、フェミニズム史家の間には大きな変化がみられる。従来のヨーロッパ・アメリカ中心史観を改め、黒人、先住民、ラテンアメリカ系、アジア系、アフリカ系のジェンダー平等をめぐる活動家たちの主張や運動を認知するようになったのである。「ポリティカル・ブラックネス〔非白人が共通の人種的抑圧や差別に直面しているとする理念に基づき使われる用語〕」や黒人女性運動に目を向けることで、歴史研究は多様化して豊かになり、新たな議論の出発点や歴史的行為者(アクター)の存在も見えてきた。しかし、この時期のカテゴリのなかでも今日的な政治的アジェンダと共鳴しない課題に響きにくいものについては、あまり注目されていないのが現状である。本報告では、1970~80年代の女性運動におけるさまざまな「ブラックネス」概念の展開と緊張関係、そして「第三世界の女性」という新たな概念が受け入れられた様子を考察する。この新たな概念は、ポストコロニアル世界の地政学的な境界を行き来していた女性活動家たちにとって、重要な意味をもつものであったのだ。

 

お問い合わせ先

大東文化大学 研究推進室

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