2022.10.06

【河内利治教授インタビュー】5人もの素晴らしい先生との「奇縁」

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1人目の奇縁『新谷泰鵬先生』

 高校2年生の時の書道の教諭、新谷泰鵬先生。「将来、書道で身を立てないか」とお誘いを受けた。父親には反対されたが、結果、書を専門とする大学に進学した。

 

2人目の奇縁『今井凌雪先生』

 大学3年生の時の書道教授、今井凌雪先生。先生から、中国、北京言語学院で行われる2ヶ月間の漢語短期研修を案内される。研修後、中国の言葉をさらに勉強すれば、言語が身につくだけでなく中国文化の理解にも繋がり、書を極められると感じた。

 今井氏は1922年に奈良県奈良市で生まれ、現在の天理大学(旧天理外国語専門学校)や立命館大学で学び、早くから日展等で受賞を重ねた。後進の育成にも取り組み、書道団体を自ら立ち上げて多くの門下生の指導に当たった。その他にも筑波大学、大東文化大学等の教授も歴任し、昭和61年度(1986年度)には日本芸術院賞・恩賜賞に選ばれた。勲三等瑞宝章も受賞され、現代書壇を代表する巨匠として活躍された。

 

【ご活躍の一部】
・1985年に公開された黒澤明監督の映画「乱」の題字
・「朱雀門」のへん額
・文科省の看板の文字
・1970年の大阪万博では会場の「万国博ホール」の入り口近くに展示
NHKでは長年書道の番組の講師役を務めていたので、お茶の間にも広く知られていた。

 

3人目の奇縁『沙孟海先生』

 大学4年生の時、留学先の浙江美術学院(現中国美術学院)で出会った沙孟海先生。「修養のない者は字を書くな」と指導を受け、漢学の勉強をしなければ字の意味を理解して書くことができないと悟った。

 

4人目の奇縁『水澤利忠先生』

  高校漢文の非常勤講師を薦めてくれた、水澤利忠先生。中国古典学の勉強と指導とを並行することで、現代中国語と古典漢語(日本でいう中国漢文)とを結びつけて考えられるようになった。

 

5人目の奇縁『内山知也教授』

 博士課程で師事した、内山知也教授(大東大元教授)。
内山教授の勧めで、書跡や漢詩の執筆に励む。自らの作品から他者に「美」を感じ取ってもらうことを通して、「書の美しさとは何か」という疑問を抱く。

 


こうして、河内教授は1989年に、8人規模で読書会を通して論文執筆の活動をする明清文人研究会を組織した。特に黄道周という明末の文人に興味を抱き、その交友関係を詩文の読解を中心に考察しながら、書法・絵画の理論の研究や書法美学を研究範囲とする中国美学史の研究を現在も続けている。

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