Asia education

キャリア特殊講義「世界遺産講座」の取り組みをレポートします。

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 7月3日(金曜日)、631と622教室を会場に「世界遺産検定」(準会場試験)が実施されました。3ヶ月にわたる「世界遺産講座」の取り組みをレポートします。

 「世界遺産講座」は、旅行業界や観光業界を目指す学生のキャリア支援を目的に「旅行産業論」「インターンシップ・イン・アジアⅠ」とともに今年度より開講されました。佐伯真以子氏(世界遺産アカデミー・世界遺産検定事務局)によれば ツーリズム産業の経済規模は22.4兆円(広告業のそれの4倍に相当)。昨今の“インバウンド”政策により、観光業に特化したプロフェッショナルな人材の育成が社会的(国家的)要請になってきているそうです(第二回キャリア講演会より)。

 授業では、100件ほどの世界遺産に関する学習を通して人間と文化を歴史的に考察し、学習成果の一つとして世界遺産検定2級もしくは3級の認定を目指しました。本講座は、将来、1級の認定後に「世界遺産スペシャリスト」として旅行業界で活躍するための「はじめの一歩」です。

ガイダンス

 初回授業(ガイダンス)には150名を超える学生が参加しました。履修登録者数は154名で、2015年度前期の国際関係学部開講科目中の第1位。初年度にして忽ち“超人気授業”の筆頭となりました。

初回 世界遺産学習の導入

 4月17日は「世界遺産学習の導入」。佐伯真以子氏に、著名な世界遺産を巡りながら、クイズ形式で世界遺産の学習方法や世界遺産検定のしくみについてご講演いただきました。

10回連続講座

世界遺産アカデミー認定講師の山口利光先生

 4月24日からは、世界遺産講座が本格化しました。10回の連続講座の講師は、世界遺産アカデミー認定講師の山口利光先生です。1000以上の世界遺産に関して「自分の意見をもつこと」がもとめられる「世界遺産検定マイスター」に認定され、現在は、筑波大学大学院で世界遺産を専攻されている、文字通り世界遺産のエキスパートです。

 授業ごとのテーマは「世界遺産の基礎知識」「日本の世界遺産」「人類の誕生とヨーロッパ古代文明」「アジア世界の形成と宗教」「中世世界」「アメリカ、アジア・オセアニアの文明と東アジアの変動」「近代国家の成立と世界の近代化」「世界の自然遺産」「危機遺産と負の遺産」等々。

 毎回、631教室は満席。ぎゅうぎゅう詰めの教室もなんのその。多くの学生たちが、3限特有の睡魔と格闘しつつ、チャイムにはじまりチャイムに終わる(正味90分!)山口先生の、ときに歌ありクイズありのメリハリのきいたわかりやすい講義に熱心に聞き入っていました。

 開講期間中には「『明治日本の産業革命遺産』の登録審査はどうなる?」というホットな話題がもちあがっていました。ちなみに、山口先生は、最終回の授業を終えた直後に、ドイツで開催されるICOMOSの総会にオブザーバーとして参加し、「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産への登録審査をつぶさに視察されています。

最終回

 こうして迎えた7月3日。万全の対策で臨んだ(!)検定結果はいかに。10日の授業では、自己採点を行ないましたが、学生の笑顔と教室の明るい雰囲気は、早くも高い合格率を暗示しているようにも見えました。認定結果が発表される8月中旬が待ち遠しいですね。

 2016年度には、「世界遺産講座Ⅰ」のクラスを増設するとともに、2級以上の認定を目指す「世界遺産講座Ⅱ」が新たに開講される予定です。「旅行産業論」や「インターンシップ・イン・アジア」のコンテンツもさらに充実します。旅行産業や観光業への就職を目指す学生には、積極的に活用してもらいたいと思います。

【追記】
 第20回世界遺産検定において、1名の学生が2級に、94名の学生が3級に認定されました。3級の認定率(合格率)は70.1%でした。ちなみに、最高は95点、平均点は65.1点でした(9月4日)。