古代武蔵国の謎に迫る

講座内容

≪ 古代中世の東国史を学ぶ Part36 ≫

武蔵国府の成立~なぜこの地が選ばれたのか~(5/8)
古代武蔵国は、現在の神奈川県横浜市と川崎市の大部分、東京都と埼玉県のほぼ全域に広がる大きな国でした。その地方政治の中心となったのが武蔵国府で、現在の東京都府中市に所在したことは、皆様も御存知のとおりです。講座では、これまでの発掘調査で明らかになった、この古代武蔵国府の概要を御紹介するとともに、どうして武蔵国府がこの場所に置かれたのかを御一緒に考えてみたいと思います。
(担当講師:宮瀧 交二)

武蔵国分寺の造営と在地社会(5/15)
国際色豊かな天平文化が栄えた奈良時代の日本は、政権中枢を担う人々が権力抗争を繰り返し、巷間では疫病・飢饉が大流行するなど、未曾有の混乱に直面していました。聖武天皇は仏教の力で国を鎮めるため、天平13年(741)に全国60余国へ国分寺の造営を命じます。その場所は国華にふさわしい好所にあり、武蔵国は現在の東京都国分寺・府中市付近の地が選ばれました。しかし、国を挙げての建設工事は順調に進まなかったようで、その様子は文献史料や発掘調査の成果からも窺えます。講座では武蔵国分寺を例にとり、その造営に在地社会がどのように関わったのか考えてみます。
(担当講師:依田 亮一)

古代武蔵国と上円下方墳(5/22)
列島各地で前方後円墳が築造された古墳時代から、天皇中心の国づくりが行われた奈良時代への過渡期にあたる7世紀、上円下方墳という珍しい形状の古墳が登場しました。国内で全6基確認されている上円下方墳のうち、武蔵国には3基が所在しています。本講座では、上円下方墳の分析を通じて、特殊な墳形を導入するに至った背景を考察し、武蔵国の様相に迫っていきます。
(担当講師:平野 寛之)

多摩で発見された古代東北地域の土器の謎(5/29)
帝京大学八王子キャンパス内に眠っていた平安時代の遺跡から古代東北地域の特徴を持つ土器が次々と発見されました。なぜ東北から離れた、武蔵国多磨郡と呼ばれた多摩でそのような土器が発見されたのでしょうか。そこには古代東北に住んでいた「エミシ(蝦夷)」と呼ばれていた人びとをめぐるドラマが隠されていました。発掘された土器から古代武蔵国とエミシに関する謎に迫ります。
(担当講師:堀越 峰之)

土器からみた古代武蔵国の地域性(6/5)
土器は遺跡から普遍的に出土する遺物です。考古学では土器について、時期ごとの移り変わりや地域による違いを研究しています。前者は遺跡や遺構の年代を知ることができ、後者は土器の移動による地域間の交流がわかります。古墳時代後期になると武蔵地方の中でも、土器の地域性が明確になり、この地域圏は奈良・平安時代に引き継がれます。このような地域圏が生まれた背景を考えます。
(担当講師:田尾 誠敏)

「武蔵」という国名の謎に迫る(6/12)
武蔵国の「むさし」とは何のことなのでしょうか? また、現在では「むさし」には「武蔵」の字を当てることが一般的になっていますが、古代では「胸刺」や「无邪志」と書くこともありました(『国造本紀』)。つまり、複数ある「むさし」の表記は、すべて当て字であって、むしろ「むさし」という音の方が優先されていたことになります。今回は、この「武蔵」の由来を御一緒に考えましょう。
(担当講師:宮瀧 交二)

テキスト

レジュメを配付します。

講座番号(会場)
104(東松山キャンパス)
回数
全6回
曜日・時間
金曜日 10:00-11:30
期間
5月8日(金)~6月12日(金)
日程詳細
5/8・15・22・29
6/5・12
定員
34名
受講料
一般 12,000円 (学生 9,600円)
受付前

講師紹介

宮瀧 交二(みやたき こうじ)
大東文化大学文学部歴史文化学科教授
図書館長
1961年生まれ。立教大学大学院文学研究科博士後期課程史学専攻(日本史専修)博士予備論文提出退学。博士(学術)[新潟大学大学院現代社会文化研究科]。専門は日本古代史、博物館学、観光歴史学。著書に『岡倉天心 思想と行動』[共著]他。(公社)日本博物館協会 平成25年度棚橋賞受賞。
依田 亮一(よだ りょういち)
国分寺市教育委員会
東京学芸大学大学院修士課程 文化財科学専攻修了。専門は日本考古学(奈良・平安時代)。論文に「武蔵国分寺の文字瓦と古代の豊島郡」他。
平野 寛之(ひらの ひろゆき)
川越市教育委員会文化財保護課 史跡担当副主幹
駒澤大学文学部卒業。専門は古代官衙遺跡、中世城館跡。論文に「古代入間郡家の復元に向けて―川越市霞ケ関遺跡群の再検討―」他。国史跡山王塚古墳、同河越館跡の史跡整備事業に携わる。
堀越 峰之(ほりこし みねゆき)
帝京大学総合博物館学芸員
東京学芸大学大学院修士課程修了 教育学修士。専門は博物館学・歴史学。論文に「古代多摩に生きたエミシの謎を追え」他。帝京大学総合博物館学芸員として、「帝京大学総合博物館企画展 キャンパス遺跡発見伝 古代多摩に生きたエミシの謎を追え(2019年開催)」を担当。。
田尾 誠敏(たお まさとし)
大東文化大学文学部歴史文化学科非常勤講師
東海大学文学部卒業。専門は考古学、博物館学。論文に「相模国における土器編年上の実年代」(『東国古代遺跡の定点』高志書院、2024年)他。観光考古学会常務理事として活動中。