2025年度 教職課程「特別インターンシップ」活動報告
~沖縄の教育現場と地域文化に触れ、学びを深めた8日間~
本学では、教職課程の学びの一環として「特別インターンシップ」を実施し、学生が多様な教育現場で実践的な学びを深める機会を提供しています。
このたび、2025年1月29日(水)から2月5日(水)までの8日間、沖縄県名護市にある屋部小学校・屋部中学校にてインターンシップを実施しました。
期間中は授業補助や児童・生徒との交流に取り組みだけでなく、週末には沖縄の自然・文化・社会状況を体感するフィールドワークを実施。現地の歴史的背景や地域課題への理解を深めました。今回はその活動の様子をレポートします。
1日目:1月29日(水)
・移動・教育委員会への挨拶
午後に沖縄に到着後、名護市教育委員会を訪問。自然と共生し、市民に開かれた市庁舎をめざした空間づくりなどを見学するとともに、教育委員会に挨拶に向かいました。
・屋部小学校への訪問
校長・教頭先生にご挨拶。地元の児童が活発に外遊びや縄跳びをしている様子が印象的で、翌日からの研修が楽しみになったという声が上がりました。
・屋部中学校への訪問
校内の雰囲気や設備について説明を受け、翌日からの研修準備を確認。中学生の挨拶が元気で、「明日から積極的にかかわっていきたい」と意気込みを語る学生が多くいました。
・民泊先へ移動
民泊先で旧正月料理や沖縄ならではのソーキそば、サーターアンダギーなどを味わいながら、沖縄の文化を学ぶ時間を過ごしました。
2日目:1月30日(木)
小学校組
・初めての授業見学・補助
朝8:15ごろ学校に到着し、まずは校長室へ挨拶。その後、各クラスに入って算数や英語などの授業を見学しました。児童が元気に手を挙げ発言している姿やICT(タブレット・電子黒板)を活用した授業が印象に残りました。
・給食体験
児童と同じテーブルで給食を取り、自己紹介や雑談を通じて一気に距離が縮まった様子でした。
・清掃・休み時間
休み時間には外遊びに誘われ、縄跳びやボール遊びをともに楽しむ学生が多く見られました。教員の指示がなくとも、児童みずから働いている姿が印象的だったようです。
中学校組
・朝の挨拶運動
7時50分から正門付近に立ち、登校してくる生徒に「おはようございます」と声をかける活動を体験。車での送迎が多く、沖縄の車社会を肌で感じました。
・授業見学・事務作業体験
1~4校時は入学説明会用の資料づくりなどを行い、改めて「教員は授業以外にも多くの業務を担っている」ことを実感。給食後は理科・英語などの授業を見学し、主体的に手を挙げる生徒と少人数教室の存在など、多様な教育の形を学びました。
・放課後
部活動の雰囲気を見学。生徒が挨拶や質問をしてくれ、早くも交流が生まれていました。
3日目:1月31日(金)
小学校組
・授業見学2日目
それぞれ別の学年やクラスに入り、前日とは違った雰囲気を体験。「幼稚園児との交流会」や、ICTを使った算数・国語の授業を目の当たりにし、子どもたちの柔軟な発想に感心する学生も。
・給食・清掃
「沖縄の給食は以外とメニューがシンプル」「牛乳の後片付けの方法が自分の地元とは違う」など、細やかな発見があった様子。
・放課後・古宇利島へ
下校後、小・中学校組合合同で古宇利島観光へ。透き通る海やオーシャンタワーの絶景を楽しみながら、沖縄の自然の美しさを実感しました。
中学校組
・挨拶運動&授業参加
前日同様に挨拶運動に参加後、自己紹介を行うクラスも。生徒からの「中国語を話してみてほしい」「大学生活の話が聞きたい」などのリクエストに応え、コミュニケーションを深めました。
・給食・掃除・部活動見学
休み時間や給食時の会話で名前を覚え始め、「先生!」と気軽に呼ばれることに喜びを感じる学生多数。放課後は複数の部活動をハシゴ見学し、真剣に取り組む生徒の姿を目に焼き付けました。
・古宇利島へ
小学校組と合流し、海辺やオーシャンタワーを観光。普段の学校研修とは違った交流の時間となり、「沖縄らしさ」をより一層感じたようです。
4日目:2月1日(土)
フィールドワーク(小・中学校合同)
・屋我地島・塩ちんすこう工房見学
「屋我地の塩」で製造工程を見学。伝統的な製塩方法や地域に根差した産業の話を伺い、沖縄の産業文化を学びました。
・カフェ巡り・海岸散策
民泊先のおばあの紹介で地元のおしゃれなカフェに立ち寄ってリフレッシュ。沖縄ならではのスイーツを堪能しました。
・美ら海水族館・海洋文化館 見学
ジンベエザメやイルカショーに大興奮。「生き物との距離が近く、展示のスケールが大きい」と感動の声が多く聞かれました。
5日目:2月2日(日)
フィールドワーク(小・中学校合同)
・辺野古基地周辺視察
埋め立て工事が進む海をグラスボードから見学。サンゴ礁や豊かな生態系への影響を考えさせられました。「自然の尊さを再認識すると同時に、基地があることで助成金が発生する面もあるなど、問題の複雑さを実感できた」という声が挙がりました。
・ヤンバルの森散策
沖縄本島北部‟ヤンバル”の豊かな自然を体感し、南国の特産品の歴史や経済について知見を深める機会となりました。
6日目:2月3日(月)
小学校組
・授業見学3日目
低学年から高学年まで幅広いクラスを見学し、計算や縄跳び大会の練習、昔の道具を学ぶ社会科見学などに参加。子どもたちとの会話を通じて「名前を呼んでくれるようになった!」という嬉しいエピソードも。
・ICT活用への驚き
算数や国語でタブレットやデジタル教科書を自在に使う様子を見て、「自分たちの頃の小学校とは大きく変わっている」との声がありました。
中学校組
・授業見学3日目・こども食堂準備打ち合わせ
社会や英語、理科などを見学。発問の仕方や板書の工夫など具体的に学ぶ点が多く、民泊先から帰ってから「主体的な学びを促すためにはどう授業を組み立てるか」について考えました。
・部活動・生徒交流
給食後の休み時間や掃除時間でさらに生徒との関係が深まる様子が見られ、「もっと自分から話しかけていきたい」「最終日までにクラスの雰囲気をしっかり掴みたい」といった意欲が高まっていました。
7日目:2月4日(火)
小学校組
・分校見学
1~4年生合わせて十数名という少人数ならではの複式学級の実態を見学。学年を越えた関わりや、地域や保護者が積極的に学校を支える姿に感銘を受けました。
・最終日の授業補助
社会科見学や音楽・体育など、多彩な教科を見学しながら児童をサポート。「短い滞在でも子どもたちが懐いてくれてうれしい」という声も多数。最後に記念写真を撮り、名残りを惜しみました。
中学校組
・こども食堂体験
朝まだ暗いなか調理から参加し、大量の野菜をカット・調理。生徒や地域の大学生と協力して運営する「子ども食堂」の朝食提供の仕組みに驚きながらも、「食を通して地域や子どもがつながる大切さ」を感じたという感想がありました。
・最終日の授業見学・入学説明会準備
国語や理科、技術などの教科を見学し、放課後は入学説明会の受付や誘導を担当。資料を渡す際の丁寧な対応に気を配るなど、教員の実務をリアルに体験する機会となりました。
8日目:2月5日(水)
小学校組/中学校組
・午前:受け入れ校へのご挨拶
お世話になった校長先生や教頭先生に感謝を伝える時間をいただき、児童・生徒と短い別れの挨拶を交わしました。
・振り返り・帰路へ
名護市教育委員会を再訪し、実習報告と御礼を述べ、那覇空港から帰路へ。沖縄の文化・教育現場の魅力と課題を肌で感じた8日間の学びを胸に、それぞれが帰着しました。
おわりに
短期間ながら小学校と中学校の両現場で得た経験は、学生にとって教育者としての原体験となりました。
明るく人懐っこい子どもたちに迎えられ、学生たちはすぐに打ち解け、生徒一人ひとりを深く理解することができました。今後は、このインターンシップでの学びを土台として、教育実習や研究活動にさらに力を入れ、将来の教職への準備を進めてまいります。
末筆になりましたが、本プログラムにご理解・ご協力いただきました名護市教育委員会・屋部小学校・屋部中学校の皆様、そして地域の方々に心より感謝申し上げます。