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社会学科

熱い不自由のために

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熱い不自由のために

社会学科 学科主任 馬場靖雄 

 

 社会学科のポリシーの一つは、頭と手足を同時に動かし鍛えることです。すなわち社会学の豊富な文献を読みこなし、社会学の知見を踏まえたレポートや論文を作成する訓練を積むこと。頭脳をトレーニングするこの作業は、講義を聴いたりゼミナールでの発表・討議に加わったりというように、教室内で行われます。さらに加えて、大学のキャンパスから飛び出してさまざまな社会問題が生じている現場に足を運び、調査やインタビューを行う訓練や、実際に情自分の手による報機器の操作に取り組む中でIT関係の知識とスキルをも身に付けること。頭脳を磨く/手足を鍛えるというこの二つの構成要素が、一体となって「社会学を学ぶ」ということの内実を形成します。


 しかし現下のご存じのような情勢下では、この二つの作業を実行するのは極めて困難になっています。教室で直接皆さんに知識を伝達し質疑応答を交わすことも、学外での調査活動(フィールドワーク)も、手取り足取りの指導によって情報機器の扱いに習熟してもらうことも、ほとんど不可能な状況です。


 そのような状況下ではありますが私たち社会学科教員一同は、皆さんがこの制約の多い時間の中で、社会学の知識と語学や機械操作などのスキルとを着実に身に付けて、まもなく再開されるであろう、大学本来の、より広い学びの諸活動のための豊かな基礎を築くことができるよう、全力を尽くすつもりです。


 冬の土の下こそ、次のすばらしい芽生えのための、想像を絶するほど激しい活動の場なのだと、チェコの作家カレル・チャペックは『園芸家12カ月』のなかで述べています。この不自由で困難な時期を、一見すると凍っているように見える土の下での熱い活動を繰り広げつつ、過ごしていこうではありませんか。