2025年11月8日(土)午後、板橋校舎にて教職課程センター主催「2025年度秋季教員養成コロキアム」が開催されました。
教員養成コロキアムは、本学教職課程センター主催のイベントです。コロキアムとは、ラテン語の「コル」(一緒に)と「ロキアム」(話す)に語源を持つ単語で、「人と人との対話を大切にする学びの場」を意味します。
夏に教養系、秋にキャリア系の年2回開催しており、2017年に始まり、今回で通算19回目となります。今回も500名近い学生・教職員が参加し、教育現場の実際について情報交換や交流を行いました。
第1部 働いて分かった教職の実際
第1部では、本学の卒業生である原田敏生先生(2024年度法学部政治学科卒業)にご登壇いただき、新任教員としての教員生活についてお話を伺いました。
着任した高校は様々な背景や課題を抱える生徒もいる学校で、2年生約90名の授業を担当している中で対人関係に苦手意識のある生徒がおり、半年経った今でも声を聞けていない生徒が2名いるとのことでした。それでも、社会科(歴史)の授業や生徒指導、野球部の顧問として、懸命に生徒と向き合っておられます。教員になっての感想は「とにかくきつい、疲れる、けど楽しい」と述べ、同僚(先輩)に助けてもらいながら、日々生徒たちと充実した教師生活を送っていると、いきいきとした表情で語りました。
授業では、生徒の「なぜ」「どうして」を大切にした授業を心がけているとのこと。生徒たちが関心をもって取り組めるように、ICTなども活用していることが語られました。また、生徒との関わりとともに、同僚との関わりも大切にしているとお話しされました。最後に、教職や他の職業においても、1年目はうまくできないことが多いかもしれませんが、サポートしてくれる同僚や大学時代の仲間といった周囲の支えに感謝し、またそれを大切にしながら頑張ってほしいとエールをいただきました。
講演終了後には、「『なぜ、どうして』を大切にするというのがとても印象に残りました。私も原田さんと同じく社会科の教員を目指しているので大学での模擬授業だったり、教育実習の現場でも生徒の疑問を大切にしてみたいなと思いました。」などの感想が寄せられました。
報告後には、原田先生と児玉佳一准教授(教職課程センター)のクロストークが行われました。クロストークの中では、生徒から「先生、4月はめっちゃ無理していたよね」と言われたエピソードが語られました。着任当初は、「生徒指導は厳しくしなければならない」と思い指導していたが、それでは生徒とうまくいかないため、自分の「生徒像」を更新していったことをお話しされました。また、同僚とのコミュニケーションを大切にすることを述べていた原田先生ですが、自身の歓迎会ではどう振る舞えばよいかわからず、1時間トイレに引きこもったエピソードも語られました。最初の失敗はあったけど、そこから経験を積みながら同僚との関係づくりを進めていったとお話しされました。
全体会を通して、「これから教育実習に行くのでとても不安であったが、色々チャレンジする場であるので失敗しても良いというお話に、自分なりに良くするために挑戦してみようという気持ちになった。」「私自身、来年から埼玉県の教員として働くので、覚悟と自覚を持って、働きたいと強く感じた。「疲れた」けど「楽しい」という感想が全てだと感じた。」といった感想が寄せられました。
第2部 行って分かった教育実習の実際
以下に学生の声を紹介します。
まずは3年生から。
| 教育実習でのトラブルや授業の準備期間など気になっていたことをたくさん聞けたが、一番印象に残ったことばが「授業を助けてくれるのは、結局生徒さんだから、生徒さんとのコミュニケーションは積極的に取った方がいい。」というアドバイスだった。 |
| 特に印象に残ったのは、「もっと生徒とコミュニケーションを取ればよかった」という先輩の後悔の言葉だった。授業の準備に集中するあまり、生徒との関係づくりを後回しにしてしまったという話を聞き、教師として大切なのは子どもとの信頼関係だと改めて感じた。自分も教育実習では、授業面だけでなく日常の会話や観察を通して生徒を理解しようと思った。この分科会は、教育実習への心構えを具体的に考える良い機会になった。 |
| 学んだことは研究授業及びそのほかのことも前々からしっかりと準備を行うことである。時間を多く取れればその分自身の学びにつながっていく。先送りにしてしまうと自身を苦しめる結果につながってしまう。自身のためになるようにちゃんとやることが大事だと学びました。 |
| 学校によって、内容のスタイルや雰囲気が異なっており、貴重なお話を聞くことができた。教育実習に向けての必要な準備や今のうちからできることを教えていただいたので、計画的に進めていきたいと思った。 |
| 先輩の話では、特に大変だったのは「授業準備の時間」と「生徒への声かけ」だそうです。最初は授業の流れを組み立てるだけでも時間がかかり、実際にやってみると予定通りに進まないことが多かったため、常に板書を簡潔にしたり、説明を短くまとめる工夫を重ねたと聞きました。また、生徒との距離感をつかむことも難しく、ただ注意するのではなく、まず共感してから話すことで関係づくりがスムーズになったそうです。 |
参加した4年生からも、肯定的な感想がたくさん寄せられました。
| 私も1年前までは、教育実習に対して強い不安と緊張を覚えていたことを今でも思い出します。しかし、実際に実習に行き、先生方の丁寧なご指導や生徒との交流など、新しい発見と学びがありました。3年生の方には、できる限りの前向きな言葉をかけました。少しでも不安が和らいでくれたらいいなと思います。 |
| 4年生どうしの回答を聞き比べることで、「自分とは違う工夫があったんだ」「学校によってそんなに違うのか」といった気づきが自然に生まれ、副次的に意見交換のようにもなった点がとても有意義だった。 |
| 時間があっという間だったので、もう少しゆっくり意見を交わせるともっと良かったなと思います。4月からの教員生活に向けて、今できる準備をしっかりとおこない、生徒のために一生懸命取り組める教師でありたいと思いました。 |
3・4年生のみなさん、本当にお疲れさまでした。
本学教職課程センターでは、今後もこうしたイベントを通して、教育の本質に迫るための活動を推進するとともに、学生・既卒生に対するキャリア支援を探求し、地域や本学卒業生との交流・連携を推進していきたいと思います。















