北京大学 春季短期語学研修参加報告
2026年3月に北京大学への短期留学に参加した中国語学科の学生(参加時1年生)による、留学体験記です。
本学が主催する短期留学に参加した学生には、受講時間に応じて単位が認定されます。
出 発
今回私は、中国の北京大学で行われた春期短期語学研修(国際交流センター主催)に参加してきましたので、そこでの生活について報告します。研修は2月22日(出発)から3月21日(帰国)までの1ヶ月間行われました。
私は今回が初めての海外であり、さらに当時は日中関係があまり良くない時期でもあったため、出発前から不安を感じていました。行きの飛行機では機内食を食べるなど落ち着いて過ごしていましたが、中国に近づくにつれて緊張も強くなっていきました。そして、中国上空に入ったあたりから機体が大きく揺れ始め、特に着陸前はまるでタワー・オブ・テラーのようで、絶叫系が好きな私でもさすがに怖いと感じました。そのため、不安を抱えたまま現地に到着しました。
北京に着いて
中国に着くと、当たり前のことですが周囲からは中国語しか聞こえず、「本当に中国に来たのだな」と強く実感しました。
実際に生活してみて感じたのは、想像していたよりも生活しやすいということです。タクシーや食べ物、特にフルーツが安く、フルーツが好きな私にとってはとても魅力的でした。また、キャッシュレス化が進んでおり、スマートフォン一つで支払い(QRコード)や予約、デリバリー、配車サービスが利用できる点はとても便利だと感じました。
一方で、スマートフォンが使えないと生活が難しいと感じる場面もありました。実際に、一緒に行った友人が現地に到着してから数日間ネットに接続できないトラブルもあったため、事前の準備や下調べはしっかりしておくことが重要だと感じました。
生活環境について
日本との違いに驚く場面も多くありました。路上で痰を吐いたり喫煙をしている人がいることや、車やバイク、電動スクーターが多く、歩行者にとっては危険を感じる運転も見られるため、道路では注意が必要でした。地下鉄での荷物検査や歩行者信号の待ち時間表示など、日本ではあまり見られない光景からも中国らしさを感じました。交通量の多い道路は道幅がとても広く、交通ルールの面からも「ここでは自分は運転できないだろうな」と感じました。
現地の人との交流について
中国で過ごす中で、現地の人々に対する印象も大きく変わりました。日中関係が悪化していたこともあり不安がありましたが、配車サービスを利用した際には、日本人だと答えると危険な目にあうこともあるとアドバイザー(留学担当)の方から聞いていたため、どこから来たのか聞かれたときはどう答えるべきか迷い、緊張しました。しかし実際に正直に日本人だと答えてみると、ドライバーの方はとても気さくで、日本人と仕事をしたことがある話や日本と言えば富士山だよね、などとたくさん話しかけてくれました。お寿司はあまり口に合わなかったという話もしてくれ、そうした会話を通して、中国の人のリアルな感覚や考え方に触れることができました。会話自体もとても楽しく、良い思い出となりました。
書店でも店員の方が会計を手伝うために一緒に移動してくれるなど、親切にしていただいたことがありました。こうした経験を通して、実際に関わった中国の人々はとても優しい方ばかりであると感じました。
中国語についても印象に残ったことがあります。感謝の気持ちを伝えると必ず“不客气(どういたしまして)”と返してくれることが多く、日本ではあまりないそのやり取りがとても心地よく感じられました。
授業について
授業は率直に大変でしたが、先生方はとても優しく、分からないところは丁寧にフォローしてくれたり、できたことはしっかり褒めてくれたりしたため、前向きに取り組むことができました。高校で少し中国語を学んでいたため、日本での授業にはあまり苦労はありませんでしたが、中国で日本語が全く聞こえない環境の中で授業を受けたことで、自分の語彙力の不足を強く実感しました。これまでの学習が限られた環境でのものであり、自分が井の中の蛙であったことに気づかされました。
食事について
食事は主に大学の食堂を利用したり、デリバリーを利用したりしていました。現地の食べ物は、見た目から想像していた味と違うことも多く、毎日少し運試しのような感覚もありましたが、全体的には私たちの味覚に合う美味しいメニューが多かったように思います。
中でも、宿泊先のホテルの近くにあった串焼き屋さんの茄子料理がとても美味しく、滞在中に5回ほど友達と食べに行きました。また、全聚徳(北京ダックの老舗)で食べた北京ダックがとても美味しく、フロアのスタッフの方が食べ方を丁寧に教えてくれたことも印象に残っています。さらに、中国の“酸奶(陶製の瓶に入ったヨーグルト)”はとても濃厚で、日本のヨーグルトとは違った美味しさに感動しました。一方で、野菜も油で炒められていることが多く、さっぱりしたものが少ないと感じることもありました。乾燥した気候やビタミン不足の影響もあってか、友達も私も口角が切れてしまうことがあったため、フルーツでビタミンを補給することはおすすめです。
観光、ショッピングについて
滞在中は観光やショッピングもたくさんしました。中でも印象的だったのは、故宮博物院(天安門広場北側に隣接する紫禁城)と万里の長城です。どちらもスケールの大きさに圧倒され、中国の歴史の深さや偉大さを強く感じることができました。また、天安門に行く予定がありましたが、全国人民代表大会(日本の国会に相当する重要会議で毎年3月に開催されます)と日程が重なってしまい、中国国家博物館(天安門広場南側に隣接)から遠目にしか見ることができませんでした。そのため、次に中国を訪れる際にはぜひ足を運びたいと考えています。
帰 国
帰国時、最後の最後でちょっとしたトラブルもありました。空港でアドバイザーの方と別れ、チェックイン時にスーツケースなどの荷物を預けた後、私たちは第3ターミナルから出発する予定でしたが、第3ターミナルへ移動のシャトルが電車であることを、バスだと勘違いしてしまいました。空港のスタッフに確認して案内されたバスに乗ったところ、第2ターミナルに行ってしまい、そこで別の人に確認すると「第3ターミナルだから戻るように」と言われ、少したらい回しのような状況になってしまいました。しかし、最終的には無事に帰国することができました。
おわりに
今回の留学を通して、私は素直に「行ってよかった」と感じています。出発前は不安やマイナスのイメージを持っていましたが、実際に行ってみると生活しやすく、多くの人が親切であることを知ることができました。そして、「実際に現地に行ってみないと分からない」(“百聞不如一見”)ということを強く実感しました。また、帰国時のトラブルも含めて、すべてが自分にとって貴重な経験であり、良い思い出になったと感じています。
短期留学での一か月という期間は、現地の生活に慣れ始めた段階であり、物足りなさも感じています。そのため、今後は長期留学にも挑戦したいと考えています。短期留学は、不安があっても一歩踏み出すことで新しい発見ができる貴重な経験だと思います。
この体験記が、短期留学に行きたい方の参考になれば幸いです。