News

中国語学科

中国語学科・中国言語文化学専攻 学術シンポジウム開催のお知らせ

  • Facebookでシェア
  • LINEでシェア
  • Xでシェア

中国語学科では大学院中国言語文化学専攻と共催で第23回学術シンポジウムを開催します。

日 程

■期日:7月24日(日)

■Zoomミーティング方式

  URL: https://zoom.us/j/96838597243?pwd=cGVQR1FPaTVyLzVySmRZbWtOaHJUdz09

  ミーティングID:968 3859 7243

  パスコード:566770

プログラム

■12:10 入室開始

 12:30 開会の辞 大島吉郎(中国言語文化学専攻主任)

■ 研究発表

 ◇12:40~13:20 胡 春艶(博士課程後期課程3年)

    「認知言語学から見た『紅楼夢』における形容詞重畳式」

      司会 趙 葵欣

 ◇13:20~14:00 孫 云偉(東洋大学非常勤講師)

    「馮世傑著北京官話教科書に関する一考察―北京語文法を中心に―」

      司会 田村 新

 ◇14:00~14:10 休憩

 ◇14:10~14:50 李 冬松

         (語学教育研究所客員研究員・曁南大学外国語学院日語系副教授)

    「中国語における「国民性」語源論考(现代汉语中的“国民性”词源考证)」

      司会 吉田慶子

 ◇14:50~15:30 大島吉郎(中国語学科教授)

    「中国語における空間の文法化に関する研究(初稿)―“了1、了2”の文法的意味を中心に」

      司会 安藤好恵

 ◇15:30~15:40 休憩

■ 講演

 ◇15:40~16:40 李 媛先生

(関西大学東西学術研究所アジア・オープン・リサーチセンター ポスト・ドクトラル・フェロー)

    「日本古辞書における漢文節の意味注記『篆隷万象名義』を例に」

      司会 丁 鋒

◇16:40~17:40 落合守和(東京都立大学客員教授)

   「1950年の北京語と普通話」

      司会 大島吉郎

◇17:40 閉会の辞 竹島 毅(中国語学科主任)

 

(※画像はクリックすると拡大されます)

発表要旨

■胡春艶

要旨:重畳(reduplication)という言語手段は、中国語に多く使用され、主に形容詞重畳式および動詞重畳式を中心に行われる。重ねられる元の基礎形式は、基式と呼ぶ。重ねた新形式は、重畳式と呼ぶ。重畳式は、基式が単独で使用されるか否かによって、重言と重畳に分けられる。『紅楼夢』における形容詞重畳式は多様で、重言も重畳も多く使用される。本発表は、『紅楼夢』前八十回を言語資料として、その基式と重畳式の意味を分析したうえで、重畳式と基式の関係を検討し、文成分、文法意味、使用場面から基式(性質形容詞)と重畳式(状態形容詞)を比較し、個と類を抽象する。認知言語学の視点から、空間化の理論を応用し、基式の性質形容詞と重畳式の状態形容詞のプロセスを説明し、視点から性質形容詞の類と状態形容詞の個を述べる。
 

■大島吉郎

要旨:中国語における文法化の動機付けは、主題として描写する対象を実体化、空間化するための手段であることを主張する。動詞“了”から機能語化した動態助詞“了1”は、現実空間における動作主の動作に実体化をもたらすことで、動作主が空間に存在し、ある何らかの事態を引き起こした、あるいは何らかの事態が引き起される事を当事者事態把握型視点から客観的事実(実体)と見立てて描き、語気助詞“了2”は、現実に起こっている事態(存在)を話者の視点からどう捉えているか、話者の主体的認知の結果として傍観者状況観察型視点から主体的に陳述するものであることを述べる。

Keywords:認知言語学 空間 文法化 “了1、了2” 個別的具象化
 
■李 媛

 『篆隷万象名義』は平安初期に弘法大師空海により編纂された漢字字書で、中国南北朝・梁の顧野王の原本『玉篇』を簡約化したものである。従来の『篆隷万象名義』の意味注記についての研究は単字注を中心としていたが、次のように漢文節によるものも存在する。これは今日まであまり顧みられることのなかった論点である。

  甥 所京反。妻昆弟為甥。(第1帖67丁裏)

  音 猗金反。金石土革絲木匏竹八音。(第3帖25丁表)

 伝統的な文献学の手法では、多数の資料を総合的に扱うことや特定の内容の抽出は容易ではなかったが、筆者も構築に関わった『篆隷万象名義』の全文電子テキストデータベースを利用し、漢文節による意味注記を持つ項目を検索したところ、約16,000項目の中7,500項目(約45%)を占めることが明らかになった。本発表では、これら漢文節の意味注記の実態から『篆隷万象名義』の漢字字書としての性格を考察する。