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青山杉雨賞を5人が受賞

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 2010年に設けられた「大東文化大学青山杉雨賞」の授与式が6月3日、板橋校舎で行われ、受賞者5人に賞状、目録、記念品が授与された。
 同賞は、本学元文学部教授の青山杉雨(さんう=本名文雄=)氏のご遺族から教育研究支援資金の寄付申し出を受けて制定。同学部書道学科、大学院文学研究科書道学専攻に在籍中に学内外の書活動において特に優秀と認められる者に授与される。
 太田政男学長は「このような栄えある賞を受賞することはみなさんの心の支えになると思います。これを支えに受賞者の皆さんのより一層のご活躍を期待します」と称えた。
 また市川理事長は挨拶の中で「こういった受賞を機により高く飛躍されることでしょう。これからも弛まず力強く歩んでもらいたい」と述べた。
 青山家を代表して長男の慶示氏は祝辞で「これをスタートラインだと捉え、文化芸術の発展に貢献したもらいたい」と述べた。

受賞者と受賞理由は次の通り(敬称略)

八木 一絵(平成24年度文学研究科書道学専攻博士課程後期課程 修了)

平成15(2003)年4月に大東文化大学文学部書道学科入学後、今春平成25年3月までの十年間、熱心に授業を受け、一貫して中国書学、美学・芸術学の研究に打ち込んできた。その成果が学位請求論文「書の概念図による研究方法の試論」であり、博士(書道学)の学位取得に繋がっている。「書の美の評価に客観性と普遍性をもたせたい」という大きく難しいテーマに一心に取り組んだ結果が評価された。また大東文化大学大学院書道学専攻の教育補助員、高等学校の非常勤講師も務め、教育面での活躍も期待される。

根本 知(平成24年度文学研究科書道学専攻博士課程後期課程 修了                                   大東文化大学文学部書道学科 非常勤講師 在職中)

書道学科に入学から博士課程後期課程にかけて、本阿弥光悦の書に焦点を当てて、研究に取り組みました。その経験を生かして研究を進めた「光悦筆和歌巻に見る書の独自性」は、査読のある平成24年6月に古典研究会編の『汲古』への掲載に繋がっている。また、書道学専攻博士課程前期課程における教育補助員および、高等学校での非常勤講師の経験があり、教育面での活躍も評価された。昨年度の博士号の学位取得については、書に対して意欲的に学んできた成果が報われたもので、今後研究者・教育者としての活躍が期待される。

鍋倉 翔織(平成24年度文学研究科書道学専攻博士課程前期課程 修了)

書学・書作とも熱心に真摯な態度で追及をしてきた。「『書法雅言』の研究」で、修士課程を修了し、書作においては楊峴の筆法をはじめ、陳淳の行草書も積極的に挑戦をしてきた。修了展ではその陳淳の巻子を臨書し、大胆な表現を試みており、研究意欲を随所に垣間見ることが出来る。その他、読売書法展の秀逸を4度、謙慎書道会展の特選を3度受賞するなど、公募展での活躍も顕著であり、今後は書学だけでなく書作面での活躍も望まれる。

廣田 ゆう(同)

授業態度・意欲について申し分なく、また後輩からの信頼も厚い学生であった。学部、大学院を通じて成績トップで、公募展における特段の実績こそないが、書学と書作のバランスがとれており、すこぶる向上心が強く、また学習意欲が極めて高い学生であったことが評価された。博士前期課程では「近代上海における日中交流‐『鄭考胥日記』を中心に」の論文で修了したが、完成度も極めて高い。現在は高等学校の非常勤講師を務めており教育面での活躍も期待される。

松岡 美佐希(平成24年度文学部書道学科4年 修了                                               平成25年度文学研究科書道学専攻博士課程前記課程 在籍中)

書道学科に在学中、常にリーダーシップを発揮し、学年をまとめ上げた。また学業面だけでなく、公募展の成績も顕著であり、本学全国書道展「学長賞」、全日本高校・大学生書道展「展賞」、全日本書作院展「全日本書道連盟賞」、また読売書法展「特選」など、多くの受賞歴を有している。現在は本学大学院文学研究科書道学専攻に進学し、さらなる書の研鑽に励んでいる。書作、書学の両面において今後の書道学科・書道学専攻の期待を背負った学生である。

※無断転載を禁じます

青山杉雨氏は1912年愛知県名古屋市に生まれ、親類の中に書道家がいたことから書の道へと進み、30歳で書道家の西川寧氏に師事し、本格的に書家の道を歩みはじめた。
55年4月から、本学の講師となり、59年から86年まで教授をつとめた。69年から85年の16年にわたり本学書道文化センター(現書道研究所)の初代所長をつとめ、松井如流氏、熊谷恒子氏、今関脩竹氏、宇野雪村氏、浅見筧洞氏らとともに大東書道の礎を築いた。
青山氏は、63年に『周易抄』で日展文部大臣賞を受賞したのをはじめ、65年には『詩経の一節』で日本芸術院賞を受賞。また、謙慎書道会理事長を歴任する傍ら、伝統の書に立脚しながら現代感覚の高い独自の表現様式を確立し、さらには後進の指導や団体の育成、国際交流にも尽力したその功績が認められ、88年に文化功労者、92年文化勲章を受章。