歴史文化学科の学生有志は、2019年より、「ここから武蔵コンソーシアム(宇宙・産学官・地域連携コンソーシアム)」に参加しています。「ここから武蔵コンソーシアム」とは、自治体、大学及び企業などが連携して、比企地域の振興と発展に貢献することを目的として設立された団体です。
2022年度から2年間にわたり、2つのプロジェクトを立ち上げ、コンソーシアムから支援していただきました。1つは、「比企地方における信仰と巡礼についての考察」というプロジェクトです。大東文化大学東松山キャンパス周辺(比企地域)には、鎌倉時代以降に成立した坂東三十三所のうち、3つの観音霊場が存在しています。そこで、本調査では近世から近代の人たちが、どのようなルートを用いて3つの寺院に参詣に出かけたのか、その復元調査に取り組みました。自治体史などの文献史料と石造物(道しるべ)を総合的に考察し、巡礼道の一端を明らかにしました。
もう一つは、「比企地域に残る様々な伝説・伝承を探る」というプロジェクトです。都市化が進む現在、地域の民俗芸能を担う人たちが少なくなっているといわれています。そこで、本プロジェクトにおいては、比企地域に残る伝説・伝承を探るべく、特に、東松山キャンパスのある岩殿地区の年中行事について調査しました。年中行事とは、毎年慣例として行われる儀式や催し物のことです。調査の結果、岩殿地区では、現在でも集落の人たちにより年中行事が毎年継続して行われている一方、今では廃れてしまった年中行事があったことも確認できました。それには様々な要因があると思いますが、今後は、嵐山町の平沢地区の年中行事を調査して、比較検討し、比企郡の年中行事の特徴に迫っていきたいと思っています。
2年間の調査成果は、3 月21 (木) 、 第27 回地域連携ワークショップ(坂戸市文化施設オルモ)において報告をしました(写真はその様子の一部です)。席上、他の団体や自治体の皆様から貴重な意見を伺うことが出来ました。