11月7日、前日の板橋校舎に於ける全体会を受けて、「大東文化大学創立90周年記念・国際学術シンポジウム」の分科会が東松山キャンパスで開催された。
海外から招待した報告者5名と本学部の教授3名が「台頭する中国とアジアの新秩序」を主題として尖閣諸島問題、中国とインドの関係、中国とASEANとの関係などからみえる今後の中国の立場やアジアの展望についての報告が行われた。シンポジウムは第一・第二・第三分科会の3回に分け行われ、各分科会の最後に質疑応答の時間を設けていたが、質問が多く回答者も回答に力が入り時間を過ぎた分科会もあった。
また各分科に会司会がいて報告者の発表を要約し学生にも理解できるよう工夫をした。さらに日本語と英語の同時通訳が聞けるため英語が苦手な学生も日本語で聞くことが出来た。ものめずらしさにシンポジウムを見聞しに多くの学生が来場した。
第一分科会(10:55~12:25)
スターターは本学部の岡本信広教授による「中国の都市化とその課題」についての報告であった。都市化の歴史と現状から見える、計画経済時代に作られた制度の改革の必要性について話してくれた。
次に北京外国語大学日本語学部学部長の邵建国教授が、日本の安倍政権の価値観外交を中心とした「価値観外交の虚像と実像」について報告を行った。
最後に本学部の鹿錫俊教授が「台頭する中国の光と影―多角的検証から見る対中認識のあり方―」をテーマに、知られていない本当の中国の強みと弱さについて報告を行った。
第二分科会(13:15~14:45)
インドから招いたオブザーバー研究財団のラジェスワリ・ピライ・ラジャゴパラン上級研究員は「Rise of China and the Emerging Asian Strategic Order: An Indian Perspective(中国の台頭と勃興するアジアの戦略的秩序:インドの見解)」でインドから見た中国との関係について報告を行った。
ベトナム社会科学院中国研究所所長のド・ティエン・サム教授は「台頭する中国とASEAN・中国関係」をテーマにASEANと中国の10年間を振り返り分析をし、新たな関係性の展望について報告を行った。
第三分科会(15:00~16:30)
上海復旦大学国際関係学院副院長の沈丁立教授は「China’s Rise and Asia’s Response:Settling Maritime Disputes Peacefully(中国の台頭とアジアの対応―海洋紛争の平和的解決―)」、ノルウェー科学工科大学のポール・ミッドフォード教授は「Sino-Japanese Conflict and Reconciliation in the East China Sea(東シナ海における日中の対立と和解)」と両教授とも領有権問題についてそれぞれの立場から報告を行った。二人の報告に共通していることは妥協が必要であるということであった。
最後の報告者は本学部の中野亜里教授。「中国の 『南進』と東南アジア諸国の対応」をテーマに、上記の両教授同様に領有権にも触れながらASEANと中国の関係について互恵関係を構築する可能性について報告を行った。