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国際関係学科国際文化学科

「企業と雇用A」の『特別講演Ⅰ』が開催されました。

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◆PBLを導入した刷新版「企業と雇用」がスタート!

 キャリア講座「企業と雇用」は、10年以上の実績をもつ国際関係学部の「特色ある授業」の一つです。2016年度より授業のやり方を「1企業3回セット」のPBL型の授業に刷新します。
 1回目は企業の方から、仕事の内容、業界の魅力や将来性、そして業界に適した(あるいは業界に向かない)人物像などのトピックに関して率直にお話いただきます。これまでは、ここで、講話に対する学生の質問や意見をレポートにまとめて一区切りでしたが、刷新版はそれだけでは終わりません。講話のまとめで、学生に向けて「業界理解に関連する課題」をご提示いただきます。
 2回目の授業では、学生が5人1組となって、企業から提示された課題を解決します。プチPBLといったところでしょうか。3回目の授業には、再び企業の方に参加していただきます。学生たちが、2回目の授業で取り組んだ課題解決の成果をプレゼンします。PBLの成果について、業界の観点から、きびしいコメントや批評をいただくことによって、学生の業界理解がさらに深まることが期待されています。

◆特別講演Ⅰ「企業で働くこと-その魅力と覚悟-」

4月15日、8341教室において、刷新版「企業と雇用」の方向性や学びの指針を与えることを目的に、「企業で働くこと-その魅力と覚悟-」と題する特別講演を開催しました。講師は(株)らいふホールディングスの吉田伸一代表です。

現代人の感じる「息苦しさ」(満腹なのにもかかわらず、さらに食わされるような不快感)の原因について。「最近の20万年の視点を」(長谷川眞理子)という文章を手がかりに、この20万年で大きく変化したのは「技術」だけであり、人間のからだも脳も基本的な遺伝子構成に変化はない! それにもかかわらず、20万年で情報は「エクサバイト」の単位で増え続け、しかも21世紀の10数年で、情報の増加率は加速度的に上昇しているのだという。これが「息苦しさ」の大きな原因の一つであり、この「息苦しさ」を少しでも緩和するためには「20代のアンテナ」を信用するしかないのだと。自己のvividな感性を信じ、それを言葉にする努力を続けるしかないのではないか。さらに、現代の若者には「高齢社会」が「息苦しさ」をもたらすもう一つの条件として加わることになる。

大きな時代把握をふまえて、焦点はいよいよ「仕事」「働くこと」に。三つの視点から、常識的な仕事観に切り込んでいきます。

第一は「仕事に面白い仕事は一つもない」という見方。「面白い仕事をもとめて社会人になるのは、逆立ちして(手で)歩くようなものだから、すぐに疲れてしまう」。しかし「そのままで面白い仕事はどこにもないが、自分の努力で面白くすることはできるし、そこに自己の成長の証がある」。

第二は「仕事は誰のためにするのか?」という視点。「仕事は自分のため、自分の成長のためにするもの」。自分の能力を最大限に発揮しようと努力することが「一生懸命」ということであり、それは仕事を通じてしかできない、いわば仕事の本質である。したがって「自分を褒めてあげたい」「自分へのご褒美」「自信をもて」という類の言葉は、現状に甘んじ「明日への活力を奪う」だけの自惚れでしかない。不安や懸念や迷いや悩みがあって当たり前。それを根拠のない自信に摩り替えてはいけない。それを直視し乗り越えることなしに成長もないのだから。吉田代表のこの主張には、吉田代表のもとめに応じて「違和感」を発表してくれた学生もいました。

第三の視点。仕事に大きな仕事というものはない! 仕事は、例外なく「小さな仕事」の積み重ねであり「小さな仕事」の大切さに気付くことが成長へのきっかけとなるはず。

講演の最後に、採用する側の立場から「就職活動で最終面接までいける5つの条件」についてご教示いただきました。ぜひ参考にしてください!

◆まとめ

「そのままで面白い仕事はどこにもない。仕事は面白くするものだ」。吉田代表の経営者としてのご経験から紡ぎだされた、いささかも観念に流れることのない明確なメッセージに、学生たちの「キャリアの常識」が大きく揺さぶられているようにも見えました。

講演の中で「自分を褒める」批判に異議を唱えた学生がいたように、もちろん、時に挑発的な吉田代表の主張に、違和感や反発を感じた学生も少なくないはずです。しかし、その違和感や反発にしても、自分の感覚を確認する有益なきっかけになっていることは間違いのないところです。

特別講演が、これから自己の人生について現実的に考えはじめる学生たちが、さまざまに垂れ流される無責任な就職幻想に感染しないための「予防注射」になってくれたらよいと感じます。

「自分のための仕事を自分の感性で考える」。次回からの業界セッションが、一人一人の学生がそれぞれの「20代のアンテナ」を信じ、進路を模索するための刺激的な空間になっていくことを期待したいと思います。

 

一月に数回の海外出張をこなされるという超多忙なスケジュールの合間を縫って、特別講演をご快諾いただいた(株)らいふホールディングスの吉田伸一代表に深く感謝する次第です。

 

 来週(4月22日)から、「企業と雇用」の本格的なセッションがスタートします。第1セッションのテーマは「経営者の視点を知る」。講師は、社会保険労務士の平真理氏です。